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紀行文 20/01/02 巻01

南町田グランベリーパーク

位置:東京都町田市鶴間

商業施設へ

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初売りの賑わい
2階レベルまでに抑えることで空への広がりが開放的に感じられる.回遊型の平面となっており,通路幅にも変化が見られ,各方向に回遊する客の滞留と通過の動線を適当に捌いている.

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2階通路からの視認性
見通しも確保されていて,手摺りの形状や階高,幅には,離れてしまった連れが互いに視認しやすい工夫がみられる.建物の雨仕舞,雨水処理にも配慮がある.中央のコアに駐車場を据えたプランも機能的である.
店舗外装もシンプルで堅硬な素材と色に仕上げている.

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駅構内からのアプローチ
ホームレベルから改札レベルへの末広がりと上方向への移動により消費行動への期待が演出されている.自然光を取り入れつつ,グレー系やベージュ系の落ち着いた背景色の中に,一帯のキーとなるマスコットを印象的に配し,落差のある水景や植栽で静かに期待を膨らませている.

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車や自転車によるアプローチ
個別の交通手段を立体的に処理することで,パーク内の一帯性をもたせ,平面交差による動線の相互干渉とトラブルを避けている.植栽に視覚的な緩衝の機能をもたせ,パーク外へと向かおうとする視線を和らげている.

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雁行的な配置,または段階的なセットバック
中央施設は大きなファサードを見せ,足を向かわせるとともに,適当に植栽を配し,歩行の速度と動線をコントロールしている.

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円に近い多角形のプランによる鈍角
入隅出隅の鈍角は優しい印象を与え,動線の急激な角度変化を抑えている.シンプルな舗装のパターンの中にも色調の違いにより,今後生ずるであろう風雨による劣化具合の差やエイジングの差を馴染ませる工夫を施している.水勾配をつけ,目立ちにくい雨水排水を配し,雨天時の足元の不快感を緩和することを試みている.

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植栽桝の周りの人だまり
桝をスポット状に配し,小さな人だまりができるように処理している.縁石による立ち上がりを避け,バリアを排除することで,歩行者のつまづきを軽減している.

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コーナーでの催事やストリートパフォーマンス
人寄せや賑わい演出のイベントが通路上で行われた際に,それを客が弧状に囲むことを妨げないような工夫がある.2階の立見席から通りがかりにパフォーマンスを眺められるようつくりにしている.

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アクティビティによる非日常
アウトドアを扱うテナントと合わせ,水平的な水上アクティビティや垂直的なクライミングを上手に客の動線の中に持ち込んでいる.

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季節的な仮設空間
スケートのスクエアを季節的に設けて,見る楽しみや,実際に氷上に立つ楽しみを商業空間の中に持ち込んでおり,訪れる客を引き留め,飽きさせない.

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フードコートとキッズコーナーの合体
子ども連れのグループが気軽に利用できるよう配慮されている.ベビーカー置場,靴を脱いでのカーペット区画でのくつろぎ,遊び場が一帯的に配置されている.

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パーキングからエントランスへ
ゆったりとした幅とゆるい勾配で商業空間へ出入できるできるように都市と繋いでいる.グレーの色調はここでも都市景観との連繋をみせている.

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展望スポット
丹沢山系の奥に富士山が展望できる位置と方向に植栽であしらったスペースを配置し,商業空間の商売っぽさを緩和している.隣接し一帯として整備された鶴間公園のメタセコイアも視界に取り込んでいる.

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公園と接する西側のエントランス
リスを象った疑似トピアリーが迎え入れる.斜面を利用した植栽と展望台が鶴間公園との連繋と連続性をみせている.レベル差とヴォイドを利用して開けた空へ向かう視線を統御している.

鶴間公園へ

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水道みち
2列のケヤキの列植の間に直線的な通路がみられる.1887年に給水が開始された横浜水道が通路の下に暗渠区間として通水されている.
水道の縦断方向にもレベル差があり,ケヤキの根元の処理からも,通路部分を高く盛り,横断方向の動線に自由度をもたせる処理がなされたことがわかる.

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芝生広場と疑似ウッドデッキ
芝生部分にもマウンドがみられるが,樹脂製ウッドデッキを組み上げ,利用者のヨリシロを確保している.グラウンドレベルとの差が植栽桝の穴として現れ,デッキ面との著しいレベル差が取られている.

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アスリートなアクティビティとの連動
境川などと連なるより広域へと向かうジョギング,サイクリングなどの速度あるアクティビティの動線を公園の中に絡めとっている.

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休憩施設の透過性
雨よけよりは,こもれび程度の光を透過させるパターンによる屋根状のものを架設している.藤棚とは異なるが,光や雨などをいくらか許容し,開放性のある空間としている.鳩や烏など都市の鳥類が留まりにくくするような排除の仕組みもやや匂わせている.

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高木の根元の刈り残し
かつての粗放的な管理の名残りとしてネザサを根元に残して刈り,林床の明るさと通行性を確保している.

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園路の縁の止水シート
園路の縁を縁石等で硬く納めることなく,隣接する表面との境を柔らかく処理している.また拳大の地産と思われる自然石を詰めることで地面と園路の間に幅をもたせ,縁切と道路側溝の機能を持たせている.

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商業施設付近の園路通路の側溝
解説板にもバイオスウェルの仕組みを紹介しているが,ここでも側溝に石を詰めて下流への雨水の流れを減速させ,景観や歩行にも配慮をみせている.

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駅ホームの背面に現れた植生シート
フレキシブルな樹脂管にカバーされた配線が自由にのたうちまわっている.関東ロームらしき土目のみえる法面の浸食をシートでカバーしている.

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