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オカダマニラでFIRE!!!———SPACクソ株編 vol.1 NKLA


新しい年度になりました。オカダマニラマニアの皆様、暖かい春をいかがお過ごしでしょうか。最近新聞とテレビををめっきり読まなくなりましたが、twitterをななめ読みしていたらこんな記事が目に留まりました。


米証券取引委員会(SEC)は30日、特別買収目的会社「SPAC」による開示を巡り、新たな規制案を公表した。新興企業との合併時に、誇張した業績見通しを提示し、個人投資家のマネーをひき付ける行為を防ぐ。合併後に不正が明らかになったり、業績見通しを引き下げたりする例が発生しており、投資家保護の強化が急務と判断した。(中略)「取引の当事者が、投資家に案件を売り込むために、過度に楽観的な言葉を使ったり、将来の結果を過剰に約束したりすべきではない」
日経新聞 米SEC、SPACに開示規制案 「誇張」業績見通しにメス より

SPAC上場は先にシェルカンパニーを作って上場し後で中身を決める裏口上場ですが、スピード重視のこの手法自体が悪いのではありません。普通に上場してる東芝みたいな老舗企業でも実は中身が腐っていたり、グレイステクノロジーみたいにCFが健全でも巧妙な粉飾にまみれていたりと潜在的に市場にはクソ株がたくさんあふれています。

ただ、モラルハザード案件が頻発するとSECとしても対応に踏み出さぜるをえません。


今日はこの記事で問題となった米国SPAC株のうち、興味深い二コラ(NKLA)を紹介したいと思います。

1.二コラ(NKLA)と水素自動車FCEV


二コラコーポレーションは米国NASDAQ上場の流行りのEV企業です。ティッカーシンボルはNKLA。会社の名前はかの有名な天才発明家二コラ・テスラからのようですね。私たちの使う電気は交流によって遠くまで送電することができますがその生みの親が二コラ・テスラです。先行しているイーロン・マスクのEV会社テスラの二番煎じかのように聞こえますが、電気自動車と水素燃料電池車の開発を続けている新興EV企業です。

一口にEV (電気自動車)といっても、

BEV      バッテリー式電気自動車・・・電池でモータを駆動する車
HV,HEV   ハイブリッド車 ・・・電池を搭載したガソリン車
PHV,PHEV    プラグインハイブリッド車 ・・・充電できるハイブリッド車
FCV,FCEV      水素自動車・・・水素を電気に変換してモータ駆動する車

と種類があります。特に電気=モータ駆動を強調したい場合は"E"をつけることが多いようですね。二コラはBEVとFCEVを開発しています。FCEV(燃料電池車)は2023年発売のようですね。

TRE FCEV /NIKOLA

FCEVの代表例はトヨタ自動車のミライですね。水素をエネルギー源とするメリットは電力エネルギーを化学エネルギーに変換して安定的に貯蔵できること、燃焼時にCO2が出ないこと、原料が豊富であること。デメリットは水素を製造して発電するのに効率が悪いこと。水の電気分解と燃料電池による発電のエネルギー効率は0.6×0.6=36%とかなり低いのです。

まあそれでも、太陽光や風力の無尽蔵で不安定な自然エネルギーを使って電気の元となる水素を貯蔵することでエネルギー事情が解決できると期待されていますが、根本的な問題として必要とするエネルギーに対して自然エネルギーで得られる電力がごくわずかしかないので需要と供給がバランスしません。ポツンと一軒家みたいな土地が広いところで太陽光発電して暮らすならよいのですが、我々が日々使っているエネルギーが膨大すぎるのです。

水素製造が高コストなのと水素ステーションの普及課題もありますが、本当によい技術なら規模の論理で乗り越えられますので、ウン10年たっても水素社会が到来しないのはつまりそういうことです。個人的な見解を述べると水素社会は待っててもミライにはやってこないと思っています。


すごい話が脱線しましたが、水素自動車FCEVとは現時点でそんなシロモノです。二コラはEVトラック開発が順調に進んでいると投資家にアピールする目的で、水素自動車NIKOLA ONEが道路を疾走する動画をプロモーションとして流しました。


このサムネイルの人が二コラ創業者トレヴァー・ミルトンです。確かにEVトラックが軽快に道路を走っているように見えます。でも実はこのFCEVは坂道をコロコロと重力で走っているだけだったのです。


2.ヒンデンブルグリサーチ

この詐欺を見破ったヒンデンブルグリサーチはネイサン・アンダーソン(38)率いる少数精鋭のリサーチ会社です。彼らは入念なリサーチに基づき暴露レポートを発表し、事前に空売りしておくことで儲ける「正義の空売り屋」です。


2020年9月8日、二コラはEVとFCEVのピックアップトラックに関するゼネラル・モーターズ(GM)との資本業務提携を発表します。GMはニコラ株の11%に相当する20億ドルの株式を取得し、試作車の設計や生産を引き受ける予定でした。テスラに続く期待のEV企業と多くの投資家が胸を膨らませましたが、2日後の9月10日、このヒンデンブルグリサーチが報じたレポートによって地獄に突き落とされます。

上記レポートの書き出しは、

Today, we reveal why we believe Nikola is an intricate fraud built on dozens of lies over the course of its Founder and Executive Chairman Trevor Milton’s career.
We have gathered extensive evidence—including recorded phone calls, text messages, private emails and behind-the-scenes photographs—detailing dozens of false statements by Nikola Founder Trevor Milton. We have never seen this level of deception at a public company, especially of this size.
Trevor has managed to parlay these false statements made over the course of a decade into a ~$20 billion public company. He has inked partnerships with some of the top auto companies in the world, all desperate to catch up to Tesla and to harness the EV wave.
Nikola: How to Parlay An Ocean of Lies Into a Partnership With the Largest Auto OEM in America

「トレヴァー・ミルトンよる手の込んだ数々の嘘で二コラはできていると信じる理由を明らかにする。録音された電話、テキストメッセージ、私的な電子メール、舞台裏の写真など、ミルトンの何十もの虚偽の発言を詳述する広範な証拠を集めた。上場企業、特にこの規模の企業でこれほどのレベルの欺瞞を見たことがない。」

で始まります。なぜだか少しわくわくしますね。

We reveal how, in the face of growing skepticism over the functionality of its truck, Nikola staged a video called “Nikola One in Motion” which showed the semi-truck cruising on a road at a high rate of speed. Our investigation of the site and text messages from a former employee reveal that the video was an elaborate ruse—Nikola had the truck towed to the top of a hill on a remote stretch of road and simply filmed it rolling down the hill.

「ニコラは、トラックの機能性に懐疑的な意見が増える中、「Nikola One in Motion」というビデオを制作し、セミトラックが高速で道路を走行している様子を撮影したことを明らかにした。この動画は、ニコラ社の元従業員によるテキストメッセージとサイトの調査から、巧妙な策略であったことが判明した。ニコラはトラックを人里離れた道路の丘の上まで牽引させ、丘を転がり落ちる様子を撮影しただけだったのだ

In October 2019, Nikola announced it would revolutionize the battery industry. This was to be done through a pending acquisition, but the deal fell through when Nikola realized (a) the technology was vaporware and (b) the President of the battery company had been indicted months earlier over allegations that he conned NASA by using his expense account to procure numerousprostitutes.

「ニコラはバッテリー業界に革命を起こすと発表した。これは係争中の買収によって行われるはずだったが、ニコラが(a)その技術は空想の産物であること、(b)電池会社の社長が、自分の経費口座を使って多数の売春婦を調達し、NASAをだましたという疑惑で数カ月前に起訴されていたことに気づき取引は決裂した。」

、、、原文を記載すると長くなるので以下アウトラインの訳して列記します。

  • ニコラはGMのバッテリー技術に加え生産能力と燃料電池の能力も利用しようとしている。ニコラがGMにもたらすものは、コンセプトデザイン、ブランド名、そして生産に関わる費用として最大7億ドルをGMに支払うこと以外にないようである。

  • トレヴァーは、同業他社に比べて水素のコストを81%削減することに成功し、すでに水素を生産していると主張している。ニコラはこの価格で水素を製造しておらず、いかなる価格でも製造していないことを、後にメディアの取材に対して認めている。

  • トレヴァーは、ニコラ本社の屋根には3.5メガワットのソーラーパネルがあり、エネルギーを生産していると主張している。屋根の航空写真とその後のメディアの報道で、そのパネルが存在しないことが判明した。

  • ニコラは一時期、自社で天然ガス井戸を所有していると主張していた。しかし、それを裏付けるような証拠はない。この主張は、最終的にニコラのウェブサイトから静かに削除された。

  • トレヴァーは、ニコラはすべての主要部品を自社で設計していると主張しているが、単にサードパーティから購入したり、ライセンス供与したりしているように見える。その一例として、ニコラが実際にカスケーディアという会社からインバーターを購入していることがわかった。ニコラは、「自社製」インバータを紹介するビデオの中で、カスケディアのラベルをマスキングテープで隠していた。

  • トレヴァーは、ニコラ・ワンの側面に「H2」と「Zero Emission Hydrogen Electric(ゼロ・エミッション・ハイドロジェン・エレクトリック)」というステンシルを施したが、水素機能は全くなく天然ガス用の部品で構成されていたことが、メールや元パートナーのインタビューでわかった。

  • ニコラが大々的に発表した数十億円規模の受注台帳は、ふんだんに盛り込まれていた。U.S. Xpressはその予約の3分の1を占め35億ドルの受注と伝えられたがU.S. Xpressの前四半期の手持ち現金は130万ドルしかなかった。(※この受注詐欺はLordstown Motors($RIDE))で模倣されています。

  • トレヴァーは、自分が泥船と一緒に沈むことがないようにIPOの際に7000万ドルを現金化し、株式のロックアップを1年から180日に変更した。もし彼が解雇された場合直ちに利確し2年間で2000万ドルを回収するだろう。

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読んでてだんだん食傷気味になってきました。もうめちゃくちゃです。下の文章も読んでみましたが息を吐くように嘘をつくとはこのことですね。超絶行動力のある天才、イーロンマスクの成功があったからでしょうか、超絶行動力のある嘘つきに世界が騙されました。

ヒンデンブルグリサーチのような空売りファンドも命がけでしょう。実際アンダーソン氏は告発によってさまざまな会社から訴訟をうけその費用で資金が枯渇し生活もままならない日々が続いたといいます。正義は自分にあるとしても、真実を証明するために裁判は人も時間もお金もかかりかなり精神的にしんどいビジネスだと想像します。


3.その後の二コラ


このレポートの後、SEC(米国証券取引委員会)は調査に乗り出し、米司法当局はニコラの創業者トレヴァー・ミルトンを投資家に対する詐欺罪で起訴しました。結局GMは二コラとの業務提携を解消。しかし、ミルトンはレポート後に即日辞任したのちに速攻保有株を利確するという鬼畜ぶりを発揮しています。ここまで来るとむしろ清々しいですね。

株主なんてカモだとしか思ってないんでしょうね。(ええ、カモですとも。)
ミルトンは経営者にありがちなサイコパスかもしれません。小学校で道徳を叩き込まれた凡庸な日本人の私には彼の行動は理解できません。

最終的にミルトンは制裁金140億円を科されました。ざまーみろ。


二コラも紆余曲折あって、昨年末になんとかBEVの電気トラックを納入したようですね。めでたしめでたし(こんな嘘にまみれた会社が本当に販売できたんですかねえ?)。


4.オカダマニラのSPAC上場への影響は?

最初の日経新聞の話に戻りますが、SECも激おこですのでこれから上場するSPACについては厳しい審査が行われるでしょう。ただ、先日の株主総会でフジモンがSECと第3回目のやりとりでうんたらかんたらってほぼ予定通り言ってましたし、この話は一昨年には周知の話ですので織り込み済みだと思います。

次に、イケメンジェイソン氏が提示したオカダマニラの業績見通しは「過度に楽観的で将来の結果を過剰に約束」したりしていないでしょうか。

まず、オカダマニラは二コラと違ってフィリピンで随一のカジノを保有して運営している事実があります。業績見込みは多少お化粧している気はしますが、ここがすごいよオカダマニラ10選で書いたような他のIRにはない魅力と事実に基づいてますし、GGR(Gross Gaming Revenue)2000億円×EBITDA比率30%=600億円≒$5億ドルと私のクソ予想にも近い数値なので市況が回復してフィリピン経済成長の波に乗れば実現できる数値だと思います(いつもの妄想)。


こういう発表があった後ですが、誇張と思われないように理論武装してそれをSECに通すのがイケメンジェイソン氏の仕事です。彼の経歴を見る限りはこれぐらい朝飯前だと思いますよ。事実彼今回の取引でン十億円近く儲かりますから、気合い入ってるはずです。


5.おまけ


最後に、私の大好きな米国株花子さんが二コラを分析紹介する動画があったので紹介します。花子さんいつも楽しそうだな~離婚はしたけど娘もいるしばりばり稼いでいるし私の追い求める理想のFIREかもしれません。



6.本日のオカダマニラ


インスタを斜め読みしていたら久しぶりに飛び込んできたWESTSIDE CITYの名前。オカダマニラのすぐ北側ではマニラエンターテインメントシティ4つ目となるWESTSIDE CITY RESORTS WORLDの開発が進んでいるのをすっかり忘れていました。2019年に訪れたときは全くと言っていいほどできていなかったので「こりゃあまだ当分先だな」と感じました。先にコンドミニアムが出来上がりつつあるようですが、肝心のカジノIR本体のリリースがほとんど聞こえてきません。周辺のエンターテインメントシティは開発がまだら状態で施設同士の距離がある寂しい状況ですが、周辺開発が埋まってラスベガスのように真のエンターテインメントシティになれるのはきっと2026年ぐらいでしょうか。キーワードは26です。


7.本日のFIRE


平和な東京で遅い朝飯をと開店間もない噂のアトリエデリーに。本日は濃厚なエビカレーのプレート。イラン風カバーブと蒙古風ゴビもいい味してるがとにかくカレーが「エビっ」と旨い!胡瓜と玉葱のアチャールが本店を偲ばせます。
明日世界がどうなるかわからないから、私は今日もカレーを食べるんだ。

※有料記事に掲載してしまったため再掲します。ご購入いただいた皆さま、ありがとうございます!今後もオカダマニラとFIREとカレーと…を楽しんで発信していきたいと思います。

当ブログでは全国の、特に東京の本当に美味しいカレー屋さんを感謝と応援の気持ちを込めて紹介していきます。社畜の私はカレーに救われて、癒されて毎日を生きています。あんまり難しいことは考えず、んまそう!と思ったら是非お店に足を運んでみてください。



当ブログに掲載されている事項は、特定銘柄および株式市場全般の推奨や株価動向の上昇または下落を示唆するものではありません。投資は事故責任ですね。


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