デンマークの学校に行ってきました
こんにちは、すかいだいびんぐです🪂
今回はデンマークの学校訪問と自分の教育観についてお話ししたいと思います。
私はデンマークの教育について学ぶ授業の一環で、週一回の学校訪問を5週間に渡って行いました。実を言うと第一回目はアウトドア教育のキャンプの次の日で、体調を崩してしまい休んだので、実際は4回のみ参加しています。アウトドア教育についての記事はこちらから。
このnoteでは学校見学の中で行ったことや感じたことについて簡単に紹介していこうと思います。北欧教育は世界でも特に最先端と言われていますが、見学している中でそれを実感することができました。また反対にデンマークの学校現場が抱える問題も知ることができました。
※ここで一度注意しておきたいことは、私はデンマークの一校だけ(と1日だけ別の学校で学校訪問)を見学し、私の個人の感想を述べています。学校によって異なる点は多いですし、私はまだ大学2年生で教育に関する知識も浅いです。それらの点をご理解していただけると嬉しいです。
最先端授業が行われている。
日本でも最近教育制度が変わりつつあります。例えば生徒一人ひとりにタブレットが配られて授業や課題で使われるようになったり、グループ活動などでの主体的教育が始まっています。しかしデンマークでは、これらの教育法はもう少し前から行われています。
生徒たちは1人一台PCを持っていて、授業のメモをとるのも、教材配布もPC上で行われていました。授業ではペアワークやグループワークもよく行われていました。中学1年生が歴史の授業でパワポを使いながらプレゼンをしていたのには驚きました😳
生徒たちはとてもアクティブで、積極的に手を上げて発表していました。(日本での教育や文化についてめちゃくちゃ質問攻めされました笑)
私がとても印象に残っていたのは、生徒が登場人物になりきって、内容を深める授業です。きちんとは知りませんが、前回の授業からロンドンのホームレス問題を取り上げているようで、それをテーマにした映画に出てきたメインキャラクター2人を、クラスから生徒を選んで演じさせていました。生徒ふたりがお互いに役になりきりながら質問し合ったり、他の生徒もふたりに質問したり…(もちろん英語で行われています)!この活動で生徒達は簡単な質疑応答をする英語の技術をあげられるだけでなく、ホームレス問題を自らの問題として共感しながら知ることができるのではないかな?と思いました。デンマークの教育は全般的に教科の壁があまりないような気がします。
教師も働きやすい環境
将来教師を目指している上で特に気になる点のひとつに働きやすい環境ができているのかということです。もちろん教師という仕事は授業だけでなくその準備や生徒指導などやることが多く忙しいのは明らかです。ただ日本の学校はひたすらブラックなイメージが付きがちです。しかし見学する上で、デンマークの学校は教師にとって働きやすい環境を備えていると思いました。
まず、教師専用の大きな休憩スペースがあること。私が見学した学校では、学年ごとの担任の先生の部屋とは別に大きな休憩所のような部屋がありました。様々な大きさや形のテーブルと椅子(ソファもありました)が置いてあり、先生達はゆっくりコーヒーを飲んだり集まってお昼ご飯を食べたりしていました。これによって十分な休息と先生同士の情報交換が出来て良いと思いました。
先生たちが楽しんでいる姿が見えたこと。ある日、1人の先生が赤ちゃんを連れて学校に来ていました。その周りをたくさんの先生が囲み、赤ちゃんをあやしているのがとても微笑ましかったです。またある先生が誕生日の時はその看板が休憩スペースに置いてあり、そのお子さんとほかの先生たちがケーキを持ってお祝いしてました🎂
また1番驚いたことは、動物園の遠足に行った日のお昼ご飯。なんと先生達が生徒がいる前でBBQをしていました😳(私達も参加させてもらいました!お肉美味しかった〜!)日本では遠足や修学旅行は特に先生達が忙しいイベントです。学校によっては、教師は一睡もできずに生徒たちを見ていなければならないと聞いたことがあります。先生達が遠足でこんな自由時間があるなんて…!!とびっくりしました。
見学中感じたことは、教師も人間だからその人たちが働きやすい環境があるのは当たり前ということ。生徒の身近な見本であり、彼らの命を預かるという大きな使命を持っていますが、それと同時に先生達も同じように人間で尊重されるべきなのは当然のこと。日本も働きやすい環境が整っていれば、きっと教育も良くなると思うのになぁ…と感じました。
デンマークが抱える教育問題
ここまでデンマークの学校見学で感じてきた、デンマークの教育の良さをお話してきましたが、もちろん問題点や懸念点もあります。ここでは私が気になった点を幾つか書きたいと思います。
まず少なからず学校間の学力差が生まれてしまっていること。デンマークでは私立校が少なく、1番近くの学校に通うのがベストとされています。しかし学校によって学力に差が生まれてしまっていることは事実です。私が見学した学校では小学5年生のクラスのほとんどの子が日常会話程度の英語を話せていましたが、1日だけ学校訪問した同じ学年の子達とは数人しか英語でコミュニケーションを取れませんでした。ほかの学校に見学に行った友人と話をすると、同じように学校によって英語力は様々でした。私が小学生の時はまだ英語学習が始まっておらずどの学校の子でも年齢以上のハイレベルな英語力を持っているのは確かですが(そもそも英語力だけでは学力を定めるには不十分です)、暮らす地域の経済力の違いなどによって学力差は生まれてしまうのだなぁと思いました。そこに対してどのような対応をしているのか、とても気になります🤔
また教師の生徒指導が難しくなっているということ。デンマークでは生徒と教師の関係がとても近く、お互いをファーストネームで呼び合います(日本では〇〇先生と呼ぶのだと言うと、先生は驚いていました)。そのためか授業中生徒がなかなか席に座らなかったり、お喋りが止まらなかったりと生徒達をまとめるのに苦労しているように感じました。大学の教授は、デンマークでは教師の権威が失われているのが問題だとお話してくださいました。私は日本では教師は絶対的権威な存在であっても、そこには尊敬というより支配に従うしかない…という関係性なのかもと思いました(もちろん私の周りはそれとは違う尊敬できる先生ばかりです!)先生の呼び方や関係性に関わらず、教師・生徒がお互いに尊重しあえる関係性作りはどの国にも必要でかつ難しい模索点なのかな…と思いました。
生徒たちの授業参加率の低さも気になります。デンマークは小学校から大学院まで無償で通うことができます。こんな最先端教育を無料で受けられるなんて、さすが福祉国家だ!と感動と憧れを感じますが、実際その恩恵を十分に受けている人は少ないように感じました。見学した公立校(基本的に小中一貫)や通っている大学では、いつも誰がが休んでおり、その出席率がとても低い子も。もちろん体調不良などで出席できないことはありますが、先生達が懸念しているのも事実。また国がお金を出してくれているためなかなか留年も厳しいらしく、授業にあまり参加していなくても単位をあげることが多いんだそう。私は日本で教育を受けるために高い授業料を奨学金でどうにかまかなっているためその環境はとても羨ましく、デンマークで学べることは凄いんだぞ!と勝手に熱く伝えたくなりました(笑)
実際に見て学ぶことの大切さ/自分の夢に関して
今回デンマーク現地の学校見学をして感じたことは、実際に見聞きすることは重要だと言うことです。日本では既にデンマークなどの北欧の教育は高く評価され、それについての本やインターネットでその良さを多く知ることができます。私も北欧教育に興味を持ったきっかけは、日本のニュース番組で取り上げられたことでした。
しかしデンマークを訪れ学校見学をしてみると、どれだけ進んでいるのか、そしてどのような問題点があるのかを実感することができました。福祉国家デンマークの教育も失敗を重ねながら改善されていき、今も懸念点改善点を抱えていることを知って、ある種の安心感を感じました。
というのも私は興味のある北欧教育を学んで日本の教育を改善させたい!という夢を持ちつつも、それは単なる北欧教育の真似事では無理だ、変革なんてできるのか、そもそも変わる必要があるのかと悩む時期(今もかな?)がありました。しかし教育とはとても長い目で見るもの。デンマークのように長い時間をかけながらもその国にあった教育を発展させていくこと、そして目の前の問題の解決を模索することが重要なのかなと思いました。
今回も読んで頂きありがとうございました!