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片袖の魚を観て

そらです。
7月15日と17日に、東海林毅監督の「片袖の魚」という映画作品を観に行きました。
今回は観た自分の感想と、そこから派生した自分の話を
書かせていただきます。

まず、初めて観に行った15日、Twitterで大分騒いだの
ですが、この作品を観てボロボロ泣きました。
映画を観て泣くのは初めてでした。
鼻啜ったし声も出そうだった。
その当日は、怖くて、辛くて泣いたのかなと
自分で思っていました。
実際主人公のひかりが「男の人ですか?」と何気ない
声色で聞かれるシーンは、聞いた側とっては
何気なくとも、ひかりにとっては核心をつく問いかけ
かもしれなくて、アドリブで演技されているそのシーンのリアクションはとてもリアルでした。
僕も周りの友達に「女の子だよね?」「トランスジェンダーなの?」「スカートが嫌は感じ?」「恋愛対象は男?」など、今まで聞かれたことがあります。
どれも全然隠そうと思ってはないし、話す機会が
あるならこういう人間もいるんだよって
発信していきたい内容です。でも、日常的な会話の
中で突然投げかけられると、いつも言葉が詰まります。傷ついている訳ではないと思います。ただ、その場で
すぐに最適な回答を見つけられなくて、言葉を濁したり、「女だよ」なんて言ったり。そういったことが
あった日はそこからずっと、なんで言いたいことを
言えなかったんだろう、なんであんなに焦ってしまうんだろう、と後悔します。
まだ、真っ向から自分について話すことが怖いのだと思います。だからあのシーンでクマノミの性転換の性質を「変な生き物」と言った流れから、突然「男の人?」と聞いてきたこと、地獄のように感じました笑 怖かった。

そこのシーンで感じた「こわい」が初見ではあまりにも大きすぎて、多分そこら辺から泣いてたし、怖かった
から涙出てたのかな、て思ってたんです。
でも落ち着いて、自分の感想を文字に起こして、塾の先生や友達に観たことを話して、その後に東海林監督からツイートに反応を頂けて、監督のツイートを見て、
ひとつ腑に落ちたことがありました。
東海林毅監督から「映画『片袖の魚』がそらさんの物語になれていたら嬉しいです」という言葉を頂いて、
そうか、これは僕自身の物語でもあったのか、と
気づけました。
元々感情の起伏が薄かったり、外的要因から気持ちが
動くことってなかなかないなと自己分析してるような
人間です。今まで本や映画などで見る物語は面白くても
憧れやエンタメとしか見れなくて、強く共感したり
感情移入したりすることがなかったのかも。
だから初めての経験だったのかも知れません。
自分の感じたことのある気持ちが目の前で流れてる、
経験したことのあるものがそのままなぞられてる、
「片袖の魚」は正に僕自身の物語にもなったのかも
しれません。

それに加えて、僕は自分の性別の名前を知ったのが
最近なこともあり、僕はまだ身近に性的マイノリティの
知人がいません。知らないだけでいる可能性、自分が
把握していないだけの可能性は全然ありますが、
マイノリティであるために感じた気持ちや体験を気軽に話せる相手がいません。
ずっと自分自身とのみ向き合って、ぐるぐると考える。
元々この傾向にある自分ですが、性的マイノリティに
関してはこと更にこれでした。
何回も何回も自分が何者なのかわからなくなったり、
周りの人が気になったり、それでもずっと自分の内だけに留めていました。

だから「片袖の魚」を観て、思わぬ所で、
その自分の柔らかくて弱く、脆い部分に触れられたような、感じだったのかなと思います。
今まで誰にも見せてこなかった、肯定も否定も、共感も得たことがなかった自分の感情や経験を、ヒカリが
共感して、肯定してくれたような気持ちです。
そう気づけた瞬間に僕の中で初めてのマイノリティ
当事者の知人?話し相手?はヒカリになりました。
とても幸せで光栄なことだ。

僕はこの作品を観て、作品を観て人生で初めてこんなに泣いて、沢山の自分の感情にまた気づけて、とても未来に前向きな気持ちをくれて、沢山の温かい人達にも出会えました。幸せな2日間だった。
この作品はきっと観た人によって感じるもの、
心に残るものが違うと思います。きっとというか、
絶対違ってくると確信があります。
だから僕以外の観た方々が、どんな感想を抱いているのか、凄く知りたいなあとも思いました。
意見の共有がしたい。
Twitterやインスタにも書きましたが、自分ではない人間の経験や物語を疑似体験出来て、感情移入がしやすいのは、実際に役者さんが演じ、映像のある物語になる映画ならではだと思います。映画で、この微かで、でも確実に揺れている、繊細な感情が描かれていることに感動と感謝しかありません。
きっとマイノリティでない人達にも残るもの、考えさせられるものが生まれるのではないかと思います。
どうにかして色んな人から感想聞けないかな笑

長くなった上、自分の話が多くなってしまい感想文か
疑問な所はありますが、この文を読んで気になる、
観てみたいと思って頂ける方がいたら幸いです。
もう新宿の映画館での上映は終わってしまいましたが、
東京以外の地域の上映も決定したようで、
とても嬉しく思います。
これからも何かしらの形で、沢山の人に見て欲しい作品です。ここまで読んで頂きありがとうございました。


プロフィール

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そら
高校3年 17歳
高校2年の時にノンバイナリジェンダーであるとを
自覚する。性別にとらわれない、一人間としての自分を表現、発信したく被写体の活動を始める。
東京在住。

ph (@OLYMPUS__)

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