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「助けて」と声をあげられぬ事情(ワケ) - データからみる若年層自殺者 -

ご無沙汰しております、Slivia です。
不定期とはいいつつ、更新をすっかりサボっていました。ごめんなさい。ログを見たら半年以上前で私自身も驚いています。

さて、大層なタイトルをつけて書きはじめたこのnote ですけれど、先日いつものようにニュースを読んでいたらこんな記事を見つけました。

実際、恥ずかしながら私も自殺未遂の経験があります。だから、人一倍関心をもって、この手の報道を読むことが多いです。加えて、昨年はコロナウィルスという未知のウィルスとの戦いにより生活が大きく変貌した年でもありました。
今回は、厚労省のデータや新聞各社の社説等々を見ながら、私が常日頃思っていることを綴っていきたいと思います。
なお、ここでいう「若年層」とは、10代を主に指し示すこととします(小学生から高校生まで)。

概要

「2020年の全国の小中学生と高校生の自殺者数は前年比140人(41・3%)増の479人(暫定値)となり、過去最多を更新した。文部科学省が15日、明らかにした。文科省は「新型コロナウイルスの感染拡大による社会不安が影響した可能性がある」(児童生徒課)としている。」(上記ニュースより引用)
全体の自殺者が20,919人ですから、単純計算で50人にひとりは若年層ということになります。これは自殺者の総数でも相当なウェイトを占めるのではないでしょうか。
自殺要因ですが、「進路に関する悩み55人▽学業不振52人▽親子関係の不和42人――」としており、文科省は「前年までであれば踏みとどまっていた子どもたちが、『コロナ禍』による先行きの不透明感や社会不安によって自殺に至ってしまった可能性がある。新型コロナの影響は今後も続くため、予防教育や相談体制を強化していきたい」と話しています。

厚労省のデータから

ニュースのあらましがわかったところで、『令和2年度版自殺対策白書』を見てみます(以下、参考にリンクを張っています)。

まず始めに、年齢階級別の自殺者数の推移について、グラフ[第1-5図]を見てみると、昭和53年の調査開始以来、2,000人を超えることはなく、概ね横ばいの状況です。また、死亡率[第1-6図]の推移を見ても、他の年代と比較して、さして多いとは見受けられません。むしろ、壮年期と言われる年代の自殺者数が目立つ傾向にあると見受けられます。
しかし、その下の「死因順位別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率・構成割合」を確認すると、総数として10代から39歳までの死因のトップは「自殺」となっています。また、男性は10代から壮年期の44歳、女性は34歳までの死因が「自殺」となっています。
この現状は世界の先進国(G7)の中でも日本のみという結果です。

さて、本題の若年層についてですが、同サイト「職業別の自殺者数の推移」から「学生・生徒等の自殺者数の推移」[第1-11図]をみると、調査を開始した昭和53年は829人、一時は500人を割る数字になったものの、最新の令和元(2019)年には888人と調査開始の数字を上回る結果となっています。
また、「令和元年の自殺の状況」には若い世代及び学生・生徒の自殺の要因として「学校問題」が多くを占め、次いで「健康問題」「家庭問題」があげられています。
加えて、2020年は新型コロナウィルスによる世界的なパンデミックが起こり、自宅にいることが多くなったことがあげられると思います。ですから、昨年は主に「学校問題」というよりも、「家庭問題」が要因として多くあげられるのではないかとも考えられます。

結論として、若い世代の自殺はけして数自体多くない。しかし、学校での学業や対人関係(いじめなど)、家庭問題を苦に自殺する若い世代が後を絶たないというのも見過ごすことのできない事実であると言えるでしょう。

自殺防止のために何ができるか

昨年は、コロナウィルスの流行によって学校ではなく自宅にいることが多く、近年SNSが発達しているということはあれど、孤立した状態が長く続きました。また、これが収束するかわからないという不安の中で自殺をしてしまったというケースが多かったのではないかと推測します。
さて、ではそんな彼らに対し、私たちは何ができるでしょうか。
はっきりいって、できることは多くないと考えます。疫病が流行している中で直接対面で話すということは以ての外でしょう。

では、彼らが求めていることって何でしょうか。ここからはSilvia なりに考えてみたいと思います。
私は冒頭でも述べたように、いじめを苦に自殺を考え実行したことがあります。その経験から考えるに、彼らが(当時のSilvia が)考えていたことは「助けて」「この状況から抜け出たい」だと思うのです。ですが、声をあげられない。どうしてか。おそらく、以下の三つなんじゃないかと思っています。

「声をあげることが恥ずかしい」
「声をあげること自体が苦だ」 
「助けを乞うことは迷惑だ」

「声をあげることが恥ずかしい」というのは、皆も同じく苦しんでいるのに、自分ばかりが助けてもらおうなんておこがましい。白い目で見られるのではないかという恐怖や辱めを受けたくないという思いからきているのではないかと考えています。
「声をあげること自体が苦だ」というのは、実はこれが危険であると考えています。すなわち「助かる方法はないのだから、助けを求めても無駄だ」というそもそも助けを求めることすら頭にない、あるいは諦めてしまっているということです。どうせ助からない、助けてくれないのに声をあげても意味がない。そういう理由から助けを求めること自体を「苦しいことだ」としてしまっているのです。
最後の「助けを乞うことは迷惑だ」というのは、以下のサイトを参考にしています(https://kokoronotanken.jp/naze-tasukewo-ukeirenaihitga-irunoka/)。つまり、助けられるというのはいつかお返しをしなければならない。その人の都合のいい時にお返しをしなければならないという面倒臭さからきているのだと考えています。

これら三つの大きな障壁の為に、声を上げることができないのではないでしょうか。
さて、これらを解決するのは、とても時間がかかります。特に真ん中の助けを求めることを諦めているケースというのは厄介です。だからといって、助けないのか、というと話は違います。
彼らに共通して言えるのは、「『助けられる』というのは非常に厄介なものだ」ということです。相談する相手によっては、きちんと相談に乗ってくれない。その場その場できちんとしたヘルプを出せるわけでもない。ましてや実際に解決の為に行動していくのは助けを求めてきた方であって、彼らは舌先三寸で適当に言っていればそれでいい。そういう風に誤って認識しているのではないだろうかと思うのです。
ではどうするべきなのか。

「助ける」のではなく「寄り添う」

これが肝要なのではないかと考えます。彼らはまだ「助け」を受け入れられる環境にありません。そんな中で「助ける」と安易にいってしまうのは逆効果で、彼らは身構えてしまうのです。
そうではなく、「相談者に寄り添う」ことで、「私たちは敵ではない」「君のことを少しでもわかりたい、辛い気持ち、苦しい思いに共感したい」ということを常に持ち続け、また伝え続けていくことからまずはじめていくべきなのだろうと考えます。そして、この気持ちが十分に相手に伝わった時、彼ら自身から初めて「助けて」というSOSを聞くことができるでしょう。

まとめ

ここまで、若年層の自殺について、厚労省のデータやいくつかのニュースを用いながら筆者なりにこの問題を紐解いてきました。長い間ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。
近年、自殺というのは大きな社会問題になっています。特に、若年層の自殺は他年代よりも世間の注目を集め、国も一緒になって考えなければならない大きな問題です。また、このパンデミックによって本当に支援を求めている人たちが孤立し、助けを求めることができないという状況があります。

筆者がここまでで言いたかったのは、国や自治体だけに対策を委ねるのではなく、国民ひとりひとりが真剣に自殺問題について考えていかねばこの国は変わらないということです。よりよい未来はないということです。

この記事を読んで、自殺問題、特にこれから未来を担う若者たちの自殺について少しでも考えていただけると、筆者としても幸いです。

参考

参考として、いくつかのサイトを載せておきます。ご興味がありましたら、どうぞお読みください(いずれも2021. 2. 24を最終確認とする)


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