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コーチとして人の「諦め」を聴き続けていたら、その裏に大きな願いが潜んでいることを確信した話

「あなたのあきらめたことを教えてください」
こう問われたことはありますか?

就職活動の面接官から「諦めずに最後までやり切ったことは何ですか?」という質問をされたことはあるでしょうか。

金メダルを獲った選手が「諦めそうになったとき、最後までがんばりきれた理由は?」とインタビューされている様子をTVで見たことはあるでしょうか。

諦めるという言葉には、根性がないとか、気合が足りないとか、がんばりが足りないやつだというニュアンスが含まれている気がします。

■諦めてしまった自分への悔しさ
■諦めないといけなくなった環境への恨み
■諦めずに成果を出したあの人への嫉妬

そんなドロっとジットリしたイメージも連想されてしまいそうです。

でも。
諦めるって、そんなに忌み嫌われるべきものでしょうか?

私は違うと思います。

いままでコーチとして600時間ほど、さまざまな人の話を聴かせていただき気づきました。「諦めた話」には、一人一人の信念と価値観が詰まった愛おしさがあります。

誰かが諦めたことには、何十年とここまで歩んできたからこそ生じる痛みと悔しさと、切望と絶望があり、さらに奥の芯には美しく光る「核」のようなものがあります。諦めたことを聴くことは、「核」を聴いていることと同じです。

もちろん「諦めたこと」そのものには、不甲斐なさやら悔しさがありまずが、諦めの裏側には、その人の大きな願いが潜んでいます。

「諦めた」が出尽くした後に生まれるものは?

10月3日。ふと思いついて、皆さんの諦めを話していただく音声の番組を始めました。『あきらめラジオ』という名前で、X(旧Twitter)上のスペースで配信することにしました。

30分から60分間じっくりと「あなたの諦め、おしえてください」と、じっくり「諦め話」をきいています。

いろんな方の諦めを伺っていると、「諦めを誰かに聴いてもらう」ことが、話しているご本人にとって、想像以上に癒しになったり、心が洗われる体験になることがわかってきました。

話した方には、優しい気持ちや赦しが生まれ、だれかの「あきらめた話」を聴いた方は、癒しや感動、更にはエネルギーが生まれるということもわかってきました。

『あきらめラジオ』で伺うことは、シンプルです。

「あなたの諦めをおしえてください」

なぜ諦めてしまったのですか?
諦めずに頑張りることはできなかったのですか?
どうすれば諦めずに済んだのですか?

こんなことは聞きません。
ただじっくり、頷きながら諦めた話を聴かせていただきます。

なぜ、ただ諦めた話を、最後の一滴まで話しきっていただくのか。
それは諦めたことの裏側には、諦めたくなかった願いや、諦めたことと引き換えに選択した何かがあるからです。

大きな諦めの裏側には強い願いがあり、こうしたい!というエネルギーがあると私は信じています。だからこそじっくり諦めを聴き続けます。

諦めの効能とは?

『あきらめラジオ』の第1回にスピーカーになってくださった大高あみさんがこう書いてくれました。

そのあきらめが今でもこんなに悔しかったんだ、とわかったからこそ、
これからはそうしたくないなって15年後の足を出せなくなった私は思えていることに気がついたりして。
もう、やらずに諦めるのはやめよう、と深く胸に刻んだ。
時間はかかったけれど、やっとあの時のあきらめを、交換できたのかもしれない。

今回のこの、諦めを切り口とした問から考えをめぐらせたことで、
「口ばっかでやらない私」
「飽きっぽい私」
「挑戦しない私」
そんな自分の嫌いな自分を、すこし書き換えられた気がする
逆に、納得してる諦めにもたくさん気がつけて、自分は子供や夫が大好きでそのためならなんだって諦めていい!みたいな無敵感があることも嬉しくて。
なんだか爽快です、いま、とても。

「諦めたんだ」と気づいて、それを受け入れた時、なんだか爽快な気持ちになるようです。この声を聴いて、聴き手の私の心もぽかぽかして、爽やかな気持ちにさせていただきました。爽快さとは伝染するようです。

誰かに聴いてもらうことで「諦めちゃったんだよ」という昔の傷が癒やされ、諦めた過去の自分を今の自分が書き換えるような不思議な効果が現れます。

中途半端で終わってしまった何かを、「私の諦めたことはこれです」と自分の言葉で話すことで、「諦め供養」になるのだと思います。

すっと涙を流し、「諦め供養」が済むと、力が湧いてきます。誰かに無理やり前に押し出されるわけではなく、自分からすくっと立ち上がって動き出す感覚です。

諦めの効能があるとすれば、こんなことがあげられます。

諦めの効能
・今までの自分に優しさが向けられる
・古い傷口が優しく癒される
・緊張した体の力が抜ける
・爽快感があらわれる
・体が空っぽになって力が湧いてくる
・自然と次の行動が頭にふかぶ

諦めの効能

「あのとき、本当はこれがしたかったんだけど、それは無理だと思って諦めた」

自分で言葉にして「そうだったんだね」と受け止められ、諦めをしゃべり尽くしたあとには、隠れていた強い願いが体の奥から立ち現れ、生まれてきたことへの感謝や人生の目的という大切な願いがあふれてくるということも、『あきらめラジオ』を通してわかってきました。

「あなたの諦め、おしえてください」

この言葉には、不思議な力があることが『あきらめラジオ』をはじめて少しわかってきました。

諦めの裏には、願いがある

普段、なかなか訊かれることがない「あなたの諦め、おしえてください」

■前回の反省を活かして、さらによくするにはどうすればいいですか?

■あなたがなりたい姿は何ですか?そうなるために何が必要ですか?

■夢やビジョンは何ですか?それに向けて何をしますか?

もし、そんな問いにちょっと疲れた方は、「諦めたこと」に意識を向けてみると、違う何かが現れるかもしれません。

そして、自分に聞いてみてください。

・諦めたことを受けていれて、生まれた時の自分に戻って、心から願うことはなんだろう?

・心から願うことをど真ん中でやってみたら何が起こるだろう?

「諦めたこと」というネガティブな響きの向こうには、爽快さとあなたが立ち上がるためのきっかけがある。

一人一人にそれが立ち現れてくることを願いながら、『あきらめラジオ』で聴いています。

みなさん、ご自身に「自分の諦めってなんだろう?」と、問うてみてください。何か新しい発見があるかもしれません。

国際コーチング連盟PCC 坂口佳世


諦めと自分の幼い頃の体験から、心から願うことを思い切り描いて仲間と共に、一歩踏み出す4回連続講座を作りました。ご興味がある方は、noteものぞいてください。

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