お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ
本書は、日本の社会構造の歪みと、それが個人の人生設計に与える影響を分析し、特に税制・社会保障制度とファイナンスの観点から解説しています。著者は、サラリーマンが社会保障制度によって「略奪」されている現状を指摘し、経済的な自立と自由な人生設計のためのアドバイスを提供しています。
STEP1 サラリーマンのための「自由」の思想
本書のSTEP1では、サラリーマンが真の自由を獲得するために、既存の社会制度や考え方を見直す必要性を説いています。
サラリーマンは「奴隷」?
●サラリーマンは、源泉徴収と年末調整によって税の奴隷と化している。
●給与明細書や源泉徴収票をしっかりと確認することで、自分がいかに多くの税金や社会保障費を支払っているかに気づくことができる。
●年末調整制度によって、会社は従業員のプライベートな情報まで把握することができるようになっており、これはプライバシーの侵害である。
社会保障制度は本当に必要か?
●年金制度は破綻が避けられない状況である。
●厚生年金は、自営業者などが加入する国民年金に比べて、保険料の負担が非常に大きい割に、受給額はそれほど多くない。
STEP2 幸福な人生のための知識
■お金持ちになるための魔法の法則
本書では、資産形成の基本的な考え方を以下の方程式で示しています。 言い換えれば、 お金を増やすためには、収入を増やし支出を抑えつつ、手元にある資産を効率的に運用して利回りを高めることが重要なのです。
資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)
■「戦略なき節約」は無意味である
単に支出を減らすことだけに固執する「戦略なき節約」は、かえって人生を貧しくし、真の豊かさから遠ざけてしまう可能性があります。
なぜ「戦略なき節約」は無意味なのか?
●収入を増やす機会を損失する可能性
極端な節約に意識が集中してしまうと、自己投資やスキルアップ、副業など、収入を増やすための努力がおろそかになってしまう可能性がある。
●人生の楽しみや質を低下させる
生活のあらゆる面で過度な節約を強いることは、心身の健康を損ない、日々の生活の質を低下させ、幸福度を下げてしまう可能性がある。
●長期的な視点が欠如する
目先の節約に囚われてしまい、将来のための投資や自己成長がお疎かになることで、 長期的な資産形成を阻害する可能性がある。
「戦略的な節約」とは?
●目標設定
何のために節約するのか、明確な目標を設定することが重要です。 目標達成のために必要な金額を算出し、計画的な節約を実行することで、モチベーションを維持しやすくなります。
●優先順位
すべての支出項目を均等に削減するのではなく、本当に必要なものとそうでないものを区別し、優先順位をつけて節約することが重要です。 例えば、将来の収入アップにつながる自己投資や、健康維持のための支出は、積極的に行うべきでしょう。
●費用対効果
価格にとらわれず、品質や耐久性、満足度などと考慮した上で、長期的な視点で費用対効果の高い選択をすることが大切です。
●固定費の見見直し
家賃や光熱費、通信費など、毎月必ず発生する固定費を見直すことで、大きな節約効果が期待できます。
●浪費の排除
衝動的な買い物や、無駄なサブスクリプションなど、本当に必要でない支出を意識的に減らすことで、 無駄な支出を抑制し、より重要な支出に資金を回せるようになります。
■人生における大きな買い物
本書では、「人生における大きな買い物」として、教育費、住宅、生命保険、自動車 の4つを挙げています。
1.教育費
日本の教育費が高い原因として、本書は以下の点を指摘しています。
●学校組織が非効率的で、余分なコストがかかりすぎている。
●文部科学省の「ゆとり教育」と日教組の「民主教育」によって、学校教育の質が低下し、塾や予備校に通う必要性が高まっている。
●教育の質を確保するために、私立学校と塾・予備校への二重の負担を強いられている。
教育は、単にお金をかければいいというものではありません。子どもの個性や才能を伸ばし、将来の可能性を広げるために、適切な教育機会を提供すること、そして、そのための資金を計画的に準備することが重要なのです。
2.住宅
住宅の購入について、本書は賃貸と持ち家のどちらが有利かという議論を紹介し、最終的にはどちらが有利かは将来の地価によって変わるため、断言できないとしています。「賃貸よりも持ち家のほうが絶対的に有利ならば、世の中に不動産を賃借する人はいなくなってしまうはず」
3.生命保険
生命保険について、本書は以下の点を指摘しています。
●保険は宝くじと同じ:保険は宝くじと同じ仕組みであり、保険料には経費、保険部分、貯蓄部分が含まれている。
●予定利率の罠:生命保険の予定利率は、保険料全額ではなく、貯蓄部分を運用する利率であり、実質的な運用利回りは予定利率よりも低くなる。
●不要な保険は解約: 独身者や子供がいない場合は生命保険は不要であり、住宅ローンを組んでいる場合は団体信用生命保険で十分である。
4.自動車
自動車について、本書は以下の点を指摘しています。
●車は究極の贅沢品:車を5年ごとに買い換えると仮定した場合、20代から60代までの40年間で約2500万~3000万円の出費になると試算している。
●レンタカーという選択肢:都市部に住んでいる場合は、レンタカーを利用することで、車の維持費を大幅に削減できる。
■経済的に独立するにはいくら必要か?
経済的な独立に必要な資金の額(たとえば年間500万円)を決めてしまえば、そのために準備する資産は、運用利回りと余命(生存期間)で自動的に決まります。
経済的自立に必要な資金 = f(年間生活費、運用利回り、余命)
※fは関数
資産運用だけで生活していくのなら、最低でも年5%程度の利回りを確保できなければ帳尻が合いません。
STEP3 知っていると役に立つ金融市場の知識
STEP3では、金融市場の仕組みや金融商品について解説し、読者が金融リテラシーを高め、賢くお金を借りたり運用したりするための知識を提供しています。
金融とは?
●金融業は、お金という商品をレンタルして金利というレンタル料を受け取る商売です。
●金融は、親兄弟や友人からお金を借りるよりも、手間と時間を節約できる合理的な経済行為です。
●レンタルビデオ屋と同じビジネスモデルですが、金融業者は相手の信用力を評価し、レンタル料(金利)を変えます。
金融業のリスクと信用
●金融業者は、貸したお金が返ってこないリスクを負っている。
●そのため、誰にお金を貸すか審査する必要があり、信用力の低い人には貸さないという選択肢もある。
●信用力を判断する上で重要な要素は過去の返済履歴だ。金融機関は、個人信用情報機関を通じて顧客の信用情報を共有している。顧客が過去に延滞や滞納を繰り返している場合、ブラック情報として記録され、新たな融資を受けるのが困難になる。
個人信用情報機関の例:
●CIC: クレジットカード会社を中心とした信用情報機関。
●JICC: CICと同様の信用情報データベースを運営。
●全国信用情報センター連合会: 消費者金融業者が設立した信用情報センターの連合会。 過去に消費者金融を利用したことがある場合、その履歴が登録される。
信用情報に傷をつけないために
●借金は必ず期日までに返済する。
●クレジットカードの利用は計画的に行い、支払いが遅れないようにする。
●不要なクレジットカードは解約する。 複数のクレジットカードを持つことは、信用力を低下させる要因となる可能性がある。
信用情報機関の利用
●信用情報の開示請求: 自分の信用情報を確認することができる。
金融機関で融資を断られた場合、信用情報に問題がないかを確認するために開示請求を行うと良いでしょう。
●信用情報の訂正: 誤った情報が登録されている場合は、訂正を請求することができる。
STEP4 得する借金の法則
STEP4では、賢く借金を利用して資産運用する方法を解説しています。
借金は悪ではない
借金は、使い方次第で人生を豊かにするための有効なツールとなりえます。 重要なのは、金融の仕組みを正しく理解し、賢く利用することです。
借金は「レバレッジ」効果を生み出す
借金は、自己資金以上の投資を可能にする「レバレッジ」効果を生み出します。 例えば、信用取引や不動産投資においては、借入によって自己資金を大きく上回る投資が可能となり、大きな利益を得られる可能性があります。
金利が安い借金は有利
借金で重要なのは、金利です。 金利が安ければ安いほど、借入コストが抑えられ、より有利な条件で資金を活用できます。
借金を賢く利用するには
借金を賢く利用するためには、以下の点に注意する必要があります。
●返済計画を立てる:借入前に、収入と支出を考慮し、無理なく返済できる計画を立てましょう。
●金利を比較する::複数の金融機関の金利を比較し、最も有利な条件で借りましょう。
●信用情報に注意する:返済の延滞や滞納は、信用情報に悪影響を及ぼします。 必ず期日までに返済しましょう。
●必要以上の借金をしない:借金はあくまでツールであり、目的を達成するための手段です。 必要以上の借金は避け、計画的に利用しましょう。
有利な借金
1.低い金利で借りられる借金
●クレジットカードの一括払い:支払いまでの期間、クレジットカード会社から無利子で資金を借りている状態になるため、実質的にマイナス金利の借金と言える。
●国の教育ローン:低金利で融資を受けられ、保証料も安価。
●銀行の定期預金担保ローン:定期預金を担保にすることで、普通預金金利+0.5%程度の非常に低い金利で融資を受けることができる。
2.税金が原資となっている借金
●国や地方自治体が運営する金融機関からの融資:日本には、国や地方自治体が運営する金融機関が存在し、民間金融機関よりも低金利で融資を受けることができる。これらの金融機関の融資は、税金が原資となっているため、実質的には税金の一部を還付してもらうようなものです。起業や事業拡大などを考えている人は、これらの制度を積極的に活用すべきでしょう。
3.その他
●生命保険の契約者貸付:保険の積立金や解約返戻金を担保に、比較的低金利で融資を受けることができる。
まとめ
本書は、日本社会の構造的な問題点と、その中でサラリーマンがいかに不利な立場に置かれているかを明らかにした上で、経済合理的な視点から、自由で豊かな人生を築くための具体的な方法を提示します。ファイナンスや投資の知識は、もはや一部の専門家だけのものではなく、誰もが身につけるべき必須スキルとなりつつあります。読者自身の価値観と人生の目標を明確にすること、そして「借金」という強力なツールを賢く活用することが、真の「自由」を手に入れるための鍵となります。