【私の感想 #6】映画『スピリットウォーカー』(韓国、2021年)

あらすじ

目が覚めると、男は事故を起こした車の横で座り込んでいた。肩には銃槍。記憶も喪っていた。
訳のわからぬまま、所持品から判明した自室に戻り、自分が誰なのか確かめていると――突如、またも別の人物の姿に移り変わる。
大混乱の中、自分の正体を探す主人公。徐々に、12時間に1回、誰か別の体に乗り移っているらしいことが分かり、更に、移る先々で、ある一人の男の名前――『カン・イアン』が出てくることに気付く。
乗り移る自分は誰なのか?
次々乗り移る先は誰なのか?
何故、次々別の人に乗り移っているのか?
カン・イアンとは、何者なのか?
明らかになる度、徐々に全貌が見える。その全貌は、あまりにも闇が深く、過酷な――。
韓国発、異色のクライムアクションミステリー。

感想

 魂が乗り移る系の話では、すれ違いのコメディ(特にラブコメ)と絡めるのは聞いたことがありますが、それをクライムアクションミステリーと混ぜ合わせるのは初耳でした。
 最初から最後まで何が起きるか分からない緊迫感、振り回されながらも徐々に明らかになっていく全貌、そしてカーアクション、逃亡劇、謎解きに加え、韓国映画お馴染みの質の高いガンアクション――面白くない訳がない!
 かと言って、内容が複雑かと言うと、そんなことはなく、謎の提示と回収も無理なく淀みなく進んでいきます。全容が明らかになった時の気持ちよさたるや……!この感覚は、ぜひ劇場で味わって頂きたいです。
 とは言え、ヤクザが出てくるので、結構過激ではあります。そういった暴力描写が苦手な方はご注意下さい。

 あとは幾つかおすすめポイントを。
 上の予告動画にもありますが、別の人に移り変わる時の演出は度肝を抜かれました。自宅にいた場面から、徐々にカフェにいる場面へと移り変わっていく様。一体どうやっているのか、不思議に思ってしまいます。
 『TENET』でも顕著ですが、最近はこうした映像で楽しませる演出もちらほら見るようになりましたね。映像表現の新しい可能性を垣間見た気がします。

 また、キャラの配置もかなり面白いです。最初の場面でホームレスの男性が出て来るのですが、物語の最後まで色々な役割を果たしてくれます。彼が良い意味でストーリーを動かす存在となるとは、最初見た時は想像もできませんでした。
 また、次々に人に乗り移るという性質上、各キャラクターの立ち位置がそれぞれ活かされています。そういった意味では、キャラの存在感を全く殺さない映画です。人は死にまくるのですが、ちゃんとキャラを立てている感じがあって良かったです。

 韓国映画も幾つか見るようになりましたが、面白いものが多いです。また何か発掘して見てみようかと思います!

 なお、スピリットウォーカーは2022年4月現在、絶賛放映中です。ご興味ある方はぜひ!!

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