マガジンのカバー画像

その日食べるさかな

18
その日食べるさかなを釣る船と分かち合うだけの夜があればいい
運営しているクリエイター

記事一覧

11/13 遍路道の干物めずらし 人もめずらし

魚屋のじいちゃんが並べて干す分厚いモンゴイカが、港町に冬を知らせた。強風になびかれてしな…

10/27 己の原価率を割っていけ

「わし、しばらく仕事や!これから忙しくなるでえ!コーヒー飲みにこれんわ!」 意気揚々とし…

8/11 夏が足りない

夏が足りない。圧倒的に。夕焼けが港町を覆うこの時間になるたびにいつも思う。 はまのじいち…

10/8 それだけが郷土愛のしるし

一縷の望みを託して、閉店の10分前に駆け込んだマルナカの地元野菜コーナーには「インゲン豆 1…

10/6 パブリック心霊スポット

夏と同じテンションで水やりしていると、根腐りしはじめてきたのに気づいて、慌てて屋外のファ…

9/24 菓子折を受け取らないまち

突然吹き回しを変えてくる秋の風に、皆いそいそと羽毛布団を引っ張り出している頃。はまには祭…

9/18 日曜閉店前毎度渋滞絵巻

市の広報誌の一面に、「ハルノウタのホットサンドが食べられる喫茶店」として掲載された日の朝。いや、時系列でいうと、その日の朝、店に着いた途端知らないばあちゃんがやってきて、手に持っていた誌面の切り抜きに自分の顔が載っていて知った。店の郵便受けに投函される分を確認するよりもずっと早かった。「パン屋さんなのね?」うちはパン屋じゃないんです。ごめんなさい。店の名前は、「ハルノウタ」じゃなくて、それはパンを提供してくれているパン屋さんの名前で。なんなら営業は午後からで、パンはまだ届いて

9/1 熱帯夜に思い出す朝0℃の日曜

この世の終わりかと思うほど寒くて暗くてまだ睡眠の足りない早朝。出勤前に15分でも時間があれ…

8/13 名前を知らない店に入る体験

アウトドア日和の連休。鹿島へ向かう車の行列は店の前まで伸びていて、駐車場の案内待ちの渋滞…

8/15 資本主義と根の生えたバジル

かれこれ1ヶ月くらい前のこと。まりえちゃんが泊まりにきてくれた時に、 「他でも散々聞かれて…

7/30 どうしようもなく愛しいはまの日々

7月の最終土曜日。毎年恒例の花火大会は、あたたかな明かりと美味しいものに集まった人と、北…

7/13 きゅうりでお腹を満たしたい

「夏は扇風機だけで、クーラーなんか使ったことないね」 魚屋のおばちゃんがそう言うものだか…

7/9 はまの朝をリレーする

梅雨明け待ち遠しい7月の第2日曜日ごろは例年市民清掃の日で、皆それぞれが近隣の線路や海岸沿…

7/6 developing 実家裏

突然地面がどよめいて目が覚めた。時計を見たらまだ8時じゃないか。いや、もう8時か。 最近は地震で毎朝目が覚める。と言っても、思い当たる震源地は一つしかないので、ニュースを見るほどでもなければアラームに脅かされることもない。 実家の裏では、長いこと売土地になっていた砂地の掘削が始まっていた。マンションが建つのかソーラーが並ぶのか、はたまた化石を探しているのか温泉を掘り当てているのか、なんの挨拶もないので知る由もない。ボーリング工事の振動で目覚めるという新しい生活様式に戸惑ったま