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砺波周平さんという写真家と出会って。

こんにちは。皆さんいかがお過ごしですか?それにしても、暑い日が続きますね。
選挙も終わり益々世の中が不穏な空気になってきました。物価上昇、気候変動など様々な問題が迫ってきている中、僕は先日42歳の誕生日を迎えました。
人生の折り返し地点に来たわけです。子育ての真っ只中にあって今の世界情勢を考えると、本当の豊かさとは?このままで良いのか? もっと自分たちの暮らしを見つめ直すべきではないのか?といった、自問自答を繰り返し悶々とした日々を過ごしてました。

そういった心境の中、先日アトリエ DEF(森の家と店を手掛けてくれた会社)から連絡があり、八ヶ岳から千葉まで撮影しに来てくれる事になりました。
そして撮影当日に写真家の『砺波周平』さんと初めてお会いしました。
 DEFの小田さんとスケジュールなど連絡を取り合う中で、「砺波周平さんという写真家と伺います」と。僕は砺波さんを存じてなかったのですが、小田さんが砺波さんのインスタグラム等教えてくれてチェックしてみると、『暮らしの手帳、ヨーガンレールのカタログ、ペーパースカイなどなど』の仕事をされてる方でした。

7月13日 撮影当日

天気は曇り。僕はこの日を心待ちにしてました。なぜかと言うと、コロナが蔓延してから僕達は文化に触れる機会が本当に少なくなって、人が少ない山、海へと旅に出かけるのが常でした。そんな中、僕達が愛してやまない『雑誌』という媒体の第一線で活躍している写真家の方とお会いできるからです。

僕自身、10代にドロップアウトしてからどこにも属さずに、ひたすらマイノリティな暮らしを模索してきました。そして明香と出会い、息子を授かり、今では猫3匹、犬1匹という大所帯で暮らしています。どこにも属さないって言うと自由な感じがするけれど、その反面では手本や道標がないので冒頭でも書いたのですが常に「これでいいのか?このままでいいのか?」といった不安と隣り合わせでした。

砺波周平さんと挨拶を交わした時に失礼かもしれないけど、「距離感のある職人さん」といった印象を受けました。撮影はまず店の外観、そして店内、その後に家を撮るという流れで進んでいきました。
店内の撮影中に砺波さんが「人が入ってる写真も撮りたいので、森さん厨房に立ってください」との事で、厨房に入り作業をしてる動きをしました。
僕は以前アパレルで働いていた事があり、様々な撮影現場に立ち会った事があります。その時にプロのカメラマンに撮ってもらった事が何度かありました。こっちは全くの素人なのでどうしてもカメラを意識してしまうのですが、不思議な事に砺波さんに撮ってもらってる時には全くと言っていいくらいカメラを意識しませんでした。なんていうのかな、日常の延長といった感じでした。

家の撮影に移り、砺波さんの仕事を横目でチラチラと眺めていてとても刺激を受けました。写真を撮るという行為に迷いがないんです。全くブレない『何か』を感じました。砺波さんの撮った写真がカメラのモニターに一瞬写るのですが、それを見て僕はびっくりしました。「砺波さんにはこういう風に見えてるのか」と。

人は感情や感性によって、それぞれの生き方や暮らしがカタチになっていくと思っています。
朝起きて、何を食べるのか? どんな服を着るのか? どんな音楽を聴くのか? どんな映画を観るのか? どんな本を読むのか? その選択の繰り返しによってその人の感性が少しずつ育っていきますよね。
僕はそういった人が作った文化、カルチャーに今まで沢山救われてきました。
特に僕の価値観や生き方は、『音楽』に多大な影響を受けています。

言わば音楽が僕の道標であります。


撮影が進む中、砺波さんと DEFの小田さんと雑談を交わしてるうちに僕の砺波さんに対する最初の印象がすっかり変わっていきました。実は「距離感が近い職人さん」じゃないかって思ってきました。最初は「森さん」だったのが、終盤に家族写真を撮ってもらう時には「圭さん」になってました。それはとても心地よい響きでした。

後日、 DEFの小田さんから写真のデータが届きました。
一枚ずつ眺めていると、今の自分の立ち位置が客観的に見る事が出来ました。
マイノリティでやってきて、これでいいのか?といった問いの答えが写真を通して浮かび上がってきたのです。
当たり前の事だけど、写真は物質的に見て平面ですよね。
でも砺波さんの撮った写真は、奥行きがあるのです。厨房の写真では不思議なことに、僕がずっと使ってきた道具達の表情まで感じられました。
そう、一枚の写真の中に物語が読めるのです。
家の写真では、明香と僕が東京の都会の砂漠で生き抜いてきた頃に、漠然としたイメージしかなかった理想の暮らしが、写真ではしっかりそのイメージがデザインされてカタチになっていたのです。

それを見て僕は、「このままでいいんだ。今までもこうやって生きてきたんだ」と、自分自身を励ますことが出来ました。

何度も繰り返して、一枚一枚写真を眺めていると『音楽』が流れているのに気付きました。ロックでも、ヒップホップでもジャズでもなく、アンビエントに近い音楽が写真から聞こえてきました。
それは僕が好きな『音』でした。

家族と暮らす日常の中、お店で仕事をする中、僕は『身体』という楽器を使って『音』を鳴らしてるんだと思います。
その音がどういう風に響いていくのか分からないけど、自分の好きな音を鳴らしてさえいれば何があっても大丈夫だと。

自分にとってブレない『何か』を砺波さんを通して知る事が出来て本当に良かったです。

ご縁に感謝します。

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この撮影の写真はアトリエDEFのインスタグラム等で紹介されます。
僕も森のインスタグラムでアップしたいと思ってます。
チェックしてみてください。