見出し画像

「出向」考

・我が出向歴

帰宅してnoteを見たら、日経COMEMOが「#出向という選択肢」で体験/意見を募集しているのを見た。はるか昔の受験生時代に経験した小論文の問題に回答するつもりで書き進める。
今は出向の身でそれも2回目。いずれもグループ内の異動だが、1回目は往復切符、2回目はおそらく片道切符。
1回目はグループの本部機能で勤務し、今回は不良債権処理の担当。どちらもそれぞれに得るものがあったが、年を重ねた今は、不良債権処理業務に面白みを感じている。若い頃に経験をしておけば、それなりに得ることもあったかもしれないが、そもそもそこまでの感受性が育っていなかったかもしれない。

・出向に関するイメージ

日経COMEMOがわざわざテーマに採用するくらいだから、いまだに「出向」は広く行われているのだろう。
「出向」と聞くと、「人員整理」と「人材育成」の2つが頭に浮かぶ。
「人員整理」としての「出向」の目的は、企業の新陳代謝を図ること。年取った人員は外部に出し、若い人材に経験を積ませる機会をつくる。一方、余剰とされた人員は、人材が不足してる業界で働かせることで、人員整理をすることなく、労働力の需給調整ができる。
「人材育成」としての「出向」の目的は、若いうちに外の業務を経験させ、出向から戻った後、自社の活性化に資することが期待される。まれに、出向先の仕事にはまりすぎて転職してしまうこともありうる。

・「出向」、「転職」、「起業」

「出向」の場合、仕事は変わるものの出向元は当初から勤務していた会社なので、安心感はあるだろう。万一、出向先での業務が合わなかったり、人間関係などのトラブルがあった場合は、出向元に戻れることもある。
仕事を変える方法としては、他に「転職」、「起業」があるが、「転職」は本当に「片道切符」で、転職先での仕事の内容や人間関係が新たなものになる。もはや、もといた企業の助けを得ることはできない。
「起業」は更に厳しい。すべての結果が自身に帰するので、雇われることに慣れた身にはなかなか足が踏み出せない。
日本では、人材の流動化もまだ途上の感があるが、「出向」という働く者に「安心感」を与えることで他業種の経験を積み、場合によっては転職するといった方法も取り得る。やや「生温さ」も感じるが、今の職場で余剰人員となった場合は、新たな可能性を模索するために「出向」を活用するのも一法だろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?