11月
今月は活字欲してるひと月だったのでいろいろ読んだ。
１．『マチネの終わりに』 平野啓一郎
映画を見る前に原作が読みたいなといつも思う、から購入。文庫本って500円くらいで買えるものだと思ってたからちょっと高いなぁと思いつつ。
普段読んでる本よりちょっと言葉も難しいし最初は硬い印象だった。それでもだんだん慣れてきて、読めた。なんか洞窟掘りしてる気分になった。（笑）かったいところもあるんだけど、めげずに掘るとすごい綺麗な鉱物が見つかったり、急に目の前が開けたり、行き止まりにあったりする感じ。どうしようもなく惹かれてしまう恋心愛心に共感したり、驚かされたり、女の言動にドキドキしたり、気づいたら先に先に進めてた。
磁石みたいな強い感情、トラウマに引きずり込まれる内側に向かう感情、感情の表現の仕方が腑に落ちた。社会と芸術と恋愛と人生と、一言にこういう小説だって言えないくらいごっそり詰まっていた。食材多すぎて味濃いミックスジュース(不味くはない)出された感じ。読後の充足感がよかった。
(もし私が演じるなら三谷やりたい！最初はなんでよってめちゃくちゃ思ったけど読み終わった後は不思議とすごいすごい感情移入してしまった)
２．『恋愛の解体と北区の滅亡』 前田司郎
男の頭をスパーンって包丁でぶった切ってじっくり見つめてみたら実にくだらなかった！
てか頭の中で宇宙人飼ってた。キモ可愛いやつ👽
おもしろかった、一年に一回はこういう本に出会いたい
３．『人のセックスを笑うな』 山崎ナオコーラ
余白が、、とてもとてもよかった。気づいたらふっと季節も感情も移ろっていて、その間を書かないのがよい。言葉数が多くないのに豊かで不思議。
何回でも読みたい。
４．『バレエの世界へようこそ ロイヤルバレエ団』 （ガイド本）
ロイヤルバレエ推しだからなんとなく手にとったら詳しく細部までみっちりでびっくり！舞踊の授業で習ったことほぼ載ってるし、写真あるからこっちの方が全然わかりやすいし。衣装のキラキラもめちゃ好き〜〜、将来自分の本棚に入れたいいつか買う！
５．『大木家の楽しい旅行 新婚地獄編』 前田司郎
楽しかったー！！今後もずっと大事にしたい本。
地獄にするっと行く、そのするっと具合が良かった。タイトルから想像するような派手なことは起こらないからゆるっとのんびり読んでたけど、途中で、あ、見てたいのは非日常の風景じゃなくて二人の会話と仕草と心の内だな、って視点が変わった瞬間から新しい楽しみ方ができて新鮮だった。最初から最後まで進むにつれて少しずつ見え方かわる心のうちにじーんときたり、笑ったり。人が人を思う寂しさ、優しさが伝わるのがすごい。早くじぶんの本棚に欲しい。
６．『カツラ美容室別室』 山崎ナオコーラ
山崎さんのリズム好きだなあ。他人のことずっと考えてても、急にふっと冷める瞬間に共感する。どうでもよくなる瞬間、心が失くなる瞬間に思う残酷な発想は不気味だけど自分だけじゃないんだな。
最後の方のシーンでばたばたと居なくなったり新しい出会いがあったり、予告されない人間の急な動きも現実的。代々木公園の同じ春なのに自分から見える景色も感情もさらっと変わってるのがかっこいい。読んでる自分も確かに見上げた白い桜の景色が変わった気がしてオレになれた気がした。
やっぱり読みやすかった。好き。
７．シャガールと木の葉 谷川俊太郎 （詩集）
森、星、子供、水。自然のことば。磨かれて丸い言葉たち。
「こどもは笑う」と、「願い」がお気に入りだった。
8.『ももいろのきりん』さく 中川李枝子 え 中川宗弥
かわいい！クレヨンの木、カラフルな動物たち、色が好き。ちゃんと一緒に遊べた。
るることキリコって語感もすごい好き。
でもあの吹き飛ばされたくまどうしたんだろう、ってなんでかあそこだけ心が痛かったな。大丈夫だろうか。
9.『ノルウェイの森 上』 村上春樹
村上春樹さんの本一冊まるまる読んだのは初めて。なんとなく、「なんの本読んでるの？」「え、いま村上春樹」って答えるのが気恥ずかしくて、それがかっこつけみたいで今まで遠ざけてきてました。ごめんなさい。読書の授業で、ある男の子（先輩かもしれないけど）があんまりにニコニコこの本紹介するもんだから、村上春樹ってそんなニコニコする感じだっけ？？と気になったからやっと手にとったけど別にやっぱりニコニコではないわ。あの男の子の感性謎。
やっぱり私はあんまり好きじゃなかった。鬱々とした何かがじわ～～って流れ出してくる。この人はこの世界のことなんでも知ってるんだろうなって感じがして怖い。見えないように隠されてる不気味まで容赦なく書いてしまうところが恐ろしい。でもついつい読んじゃう。からにくいな、気になるから下巻も読むもん。うっかりしたらはまりそう。
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