１．月島→

森宮さん

お久しぶりです。と、言っても前回はじめてお手紙出したのがもう１年半も前のことなので、お久しぶりすぎて手紙の始め方がお久しぶりで合ってるのかわかりません。私のことも、覚えていなくて当然だと思います。
何回でも自己紹介しますね。
私、月島といいます。つきしま。下の名前はまだ内緒です。

あーー。ごめんなさい。何を書いたらいいんでしょう。実は去年もお手紙書いたのですが、伝えたいこと何も言葉に乗っていないような気がして、これはだめだなって思ってポストに投函できませんでした。今回こそ、届くといいなぁと、願いをこめて、どきどきしながら書いています。
手紙に音が乗らない時代でよかったです。そこまで進化していたら、とんでもなくうるさい手紙になっちゃってたと思います。どきどきどきどき。って、恥ずかしすぎますね。ごめんなさい。

突然の質問になってしまうのですが、最近、うれしかったことは何ですか？
私は、さいきん、母が植えたチューリップの苗？…まだ小さい葉っぱの存在に気が付けたことです。いま気が付いたら、４月くらいになって花が咲いたときにちょっとうれしくなれるから。未来にちょっとだけ楽しみが増えたなぁって思うとうれしくなります。

あと、京王線の乗り方がうまくなったこともうれしいです。何言ってんだって思うかもしれませんが、京王線って乗り換え難しいんですよ。私が普段使っている路線と「準急」「急行」「快速」の速さの段階の表記の仕方が違って混乱します。あと電光掲示板も少ない気がします。でもここ２年くらい毎週使っているので、やっと間違えなくなりました。にわか京王線ユーザーですが、にわかもにわかなりに使いこなしています。ちなみに言うと、明大前駅、下北沢に行く方面のホームから斜め前の空をみあげると、ビルの中、走ってるジムの人たちが見えます。最初のころはその見下ろされている感じがなんとなく恥ずかしくて、いや、あそこの人たちはどんな気持ちで乗り換える私たちを見下ろしてんだろって疑問でした。走ってる人たちのほうが薄着で無防備なはずなのに、だれの目も気にしないホーム側の人間の方がよっぽど頑張ってなくて、気を抜いてて、無防備で、なんか、私は恥ずかしいんです。ぺこっと頭を下げたい気持ちにもなるのですが、そもそもこっちのことなんてどうせ見てないし、気にしてないんだろうなって思っていつも知らん顔します。見られてんのかなぁ。
もし森宮さんとホームに一緒にいたら、手を振ったりして遊んでみたいです。（笑）

うーーん。本当は、うれしかったことだけじゃなくて寂しかったこと、悲しかったことも聞きたいし、話したい、聞いてほしいのですが、思ったより話が長くなってしまったので、ここで終わりにします。何枚紙があっても足りないですね。

前回のお手紙にもその当時私が思ったことや感じたこと、好きなように書いてきましたが、この一年半にも、本当に色んなことがありました。きっと森宮さんにも、数えきれないくらいそういうことが起きているのだと思います。お互い人間ですしね。



…さて。
つらつらつらと、本当はくだらない話だけをしていたいのですが……。
実は、今日はお願いがあってお手紙を書かせていただきました。どうしてものお願いです。
突然の流れになってしまってすみません。

あの、一度だけで構わないです。ほんの一時間、３０分でも構いません。

二人でお会いすること、可能ではないでしょうか…？

もちろん、森宮さんは偉大な作家さんで、私はただのその一ファンです。
難しいこと承知の上で、ダメ元で、自分でとんでもない無理を言っていること分かります。急になんでこんなこと言うんだよって思うと思います。そんな流れじゃなかっただろって、そんなつもりで読んでねぇよと逆切れされても仕方ないです。困らせてしまうとも思います。
でも、どうしても、今会わなきゃなんです。唐突になってしまいましたが、
森宮さん、あなたに会いたいです。

いや、こんなにでしゃばるつもりはありませんでした。そもそも、一年半前にお手紙を送って、お返事くださったことだけで十分すぎるくらい幸せでした。人生の家宝にし、棺桶の中まで、墓の中まで持っていくと決めているくらいに幸せな経験で、それっきりで終わりにしようと思っていました。

でも、ちょっと、私と、私の周りの人間だけでは整理のつかないことが起こって、途方に暮れてしまっています。何でかという理由は会わないとうまく説明ができないのです。ごめんなさい。本当にごめんなさい。ただ、話をしたい、そのことについて森宮さんの考えが聞きたいと思ってしまってから、その思いつきが頭を離れなくなってしまいました。自分勝手がすぎることも自覚しています。


無理だと思っています。断られて当たり前で、だから断られても森宮さんのことを嫌いになったり、非難するつもりは全くありません。私は私で、なんとか今現状をどうにかできないか頑張ります。

楽しい話だけで終わりにすればよかったですかね。すみません。
でも、今回は勇気をだして投函します。

どのような結論でも、また、私の方からお手紙出します。
お返事待っていますが、もちろん、お返事なくても大丈夫です。その時はその時で、森宮さんの思いを尊重します。

長々と、脈略の無い文章をここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。ありがとうございます。
では、また。

月島灯