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北欧の小国エストニアへ、後世の旅人への道標

私、R.D.Sakamotoは、2024年3月、通算2年目のエストニア移住生活が終了し、エストニアから日本に帰ってきた。

日本での1人暮らし生活は久しいが、とても快適だ。24時間営業のコンビニ、安い物価と高いホスピタリティ、そしてなにより日本語が通じる。これらは、エストニア生活では部分的にしか享受できない、日本人が考える、日本生活の素晴らしい点であろう。

一方で、北欧の小国であるエストニアにも、そこでしか得られないものは多くあった。多種多様な人種の人々との関わり合い、北欧ならではの自然風景、時間の過ぎゆき方、独自の文化、そして欧州周辺国への簡便なアクセス。これらは、日本生活では、到底得難いものである。

ただし、上記に挙げた事物は、どれも外面的なものでしかない。実際にエストニア生活で何を得るのかは、究極的には、あなた次第なのである。

ここで、僭越ながら、エストニア移住生活の先人として、後世の旅人に対して、いくつかの道標を示したい。それらの道標が、あなたの旅の役に立つことを切に祈る。

旅立てるかどうかは、一歩を踏み出せるかどうか

あなたはもしかしたら、旅立つことに不安を抱いているかもしれない。見知らぬ大地、通じない言語。そもそもとして生活が送れるかすら分からない。そんな状況に不安を抱くことは、自然であり、当然だ。私のエストニア生活も、一度目はコロナ禍、二度目はロシア・ウクライナ戦争の真っ只中であり、当然不安はあった。しかしながら、その不安を抱えながらも一歩踏み出したからこそ、二度目のエストニアを満喫できたものと確信している。

どんなに安全な場所にいようと、人間いつ死ぬかは分からないし、究極的には、明日の朝に起きられるかどうかも、寝ている自分には分からないのだから、やりたいことはやれる時にやるべきではなかろうか?そうこうしているうちに、やらない言い訳は無限に出てくるのだから。

物件選びはライフスタイルを決定づける

一歩踏み出したあなたが次にやるべきは旅立つ準備と情報収集だ。海外移住は総じて手続が面倒で、昨今の物価も相成ってやたらとお金がかかる。手前味噌ながら、エストニア移住のD-Visa手続に関わる情報は私のnoteで過去にも紹介しているが、ライフスタイルを決定づけるのはそこではない。物件である。

どこに住むかによって、近隣商店や施設などの生活パターンが固定化される。Kadakaに住む人はPiritaにはあまり行かないのである。住む場所は治安含めたQOLやコミュニティにも直結するので、物件は慎重に調べるべきだ。また、実際に移住した際には、近隣を探索し、品揃えや営業時間、商店の空気感なども押さえておくべきだろう。

個人的には、タリン駅近くや旧市街、Kristiine近くは非常に生活しやすいエリアだと感じる。

「交流したい」はハードモード

エストニアという国は、生活するだけならイージーモードな国である。治安もいいし、英語もある程度通じるし、物価も北欧にしては安い。社会保障も充実しており、コロナ禍のワクチンは、外国人である私でさえ、日本人の親族よりも早く接種することができた。なんなら外食のレパートリーに日本食もある…とても高いが。

しかし、「交流したい」「友達を増やしたい」となると、途端にハードモードになる。Facebookを活用してコミュニティを調べたり、イベントに参加したりすることを、学生でもない限りは、自ら率先してやっていく必要があるのだ。私の場合は、スタートアップコミュニティの「LIFT99」に参加したり、日本文化に関心のある現地民やそれを教える日本人が参加している「タリン大学の日本文化クラブ」に参加することで、コネクションの拡大に努めた。

彼氏彼女を作りたい場合は、「Tinder」「Bumble」「Mamba」「Badoo」といったマッチングアプリがエストニアでも使われているが、日本同様にルッキズムの世界であるため、ルックスに自信がある人以外には諸手で勧めることはできない。オンラインでの交流を模索するならば、Facebookのグループに参加し、共通のグループのメンバーに声をかける方法の方が良いだろう。ただ、そもそもとしてオンラインでの手段よりも、イベントに参加したりするPubに行ったりする、オフラインの手法の方がベターな気もするが。

エストニア生活で便利なWebサイトやAppを活用する

デジタル社会の先進国であるエストニアには、日常生活において便利な独自のAppがたくさんある。日本生活でも便利な「Google Map」やソーシャルmディアの「Facebook」「Instagram」はもとより、例えばTransferのサービスである「Wise」、「Uber」のように使える「Bolt」、「Rimi」や「LiDL」といったスーパーのApp、ファストフードの「Hesburger」、あとは各種航空会社のAppくらいは入れておいて損はないだろう。あとは銀行口座があればLHVなどの銀行のAppも便利だ。

エストニアならではのものとしては、電子IDの「Smart ID」や電子署名の「DigiDoc」は用意しておきたいし、オーロラを見たいなら「My Aurira Forecast」も入れておくと良いだろう。また、バスを利用するにあたっては「pilet.ee」も入れておきたい。コロナ禍であれば「Hoia」も活用できたが、今となってはあまり利用する必要がなさそうだ。なお、上述の一部Appは日本のストアでは購入できないこともある点に要注意である。

抑えておきたいWebサイトは、エストニアの鉄道のElronのWebサイト、

エストニア語学習に役立つKeele e-kursus、

https://www.keeleklikk.ee/index_en.html

エストニア法人のポータルとなるrik.ee、

Facebookコミュニティからは、Expats系のグループがおすすめだ。

エストニアのお店を抑えておく

Corp、MAXIMA、PRISMA、Rimi、Lidl、Selverなどのスーパーから始まり、CaffeinneやRivalといった喫茶店、インターネットであればTelia、Elisa、Tele2などが近くにあるととても便利だ。トレーニングをする人であれば、Gym!が安くておすすめだ。

また、ViruやKristiineなどにあるKeskusや、Rocca Al Mare、Solarisなどの大きいデパートのそばに住めば、買い物に困ることもないだろう。

日本食のレストランであれば、Yuiが有名で、実際に美味しかったので、滞在する機会があれば是非いってみて欲しい。


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帰国に便利な別送品

エストニアに限らず、ヨーロッパからの帰国においては、道中いろいろな国に旅行したくなるものだろう。そう言ったときにスーツケースが非常に邪魔になることは自明である。そういった場合には、別送品制度を利用すると便利だ。別送品のための発送はエストニアのomnivaで行うことができ、飛行機に積み込むのと同額以下程度の金額で日本の指定住所まで発送することができる。なお、別送品手続きをした後、日本に帰国する際には、日本の税関で申し送りする必要があるので要注意だ。なお、日本の税関での申告が完了すると、以下の紙をもらうことができる。

税関の別送品についての説明

なお、こういった税関関係の手続きにおいてはVisit Japan Webサービスを利用すると便利だ。税関をスムースに抜けることができるため、日本に帰る前に利用しておくことを推奨する。


後世の旅人に向けて

この道標から後世の旅人たるあなたがなにを得るのかは、過去の旅人たる私には分かりかねるが、あなたにとって、何かしらの参考になれば、幸いである。また、この道標をもとに旅に出たあなたが、またさらに後世の旅人に何かを残し伝え、旅を満喫できる人がさらに増えてくれたならば、それは、私にとっても、筆をとった甲斐があるというものだ。

私は、現在は、心機一転して北海道で暮らしている。北海道生活ははじめてだが、ご飯は美味しいし、時折海外の方々とコミュニケーションをとる機会にも恵まれ、非常に満足のいく生活を送ることができている。こうして、一度も暮らしたことのない北海道生活を満喫できているのも、これまでのエストニア生活の積み重ねがあってこそであり、最初に一歩を踏み出したからこそだと考える。

後世の旅人各位の旅が、良き旅であることを、切に祈る。

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元ITコンサルタントのフリーランスエンジニアによる雑記を書いています。いただきましたサポートは北欧移住および某計画の資金とさせていただきます。何卒よろしくお願いします。