明るい再定義の物語 #2(シン・エヴァンゲリオンを観た)


シン・エヴァンゲリオン感想の続きです。
前回の序文と同様の注意書きになりますが、都度都度の感想かつ思いだしながらの部分が多いので、箇条書きで書いていきます。できるだけストーリー順に書いていますが違っている部分もあります。一人のツイッターアカウントのタイムラインを延々と遡る感覚で読んでくださると幸いです。また観たいと思ってるのでその時はこの記事に追記するか別の記事にします。


※ガッツリ本編のセリフやシーンに触れています。

※途中でたまに旧劇、アニメ、漫画等に脱線することがあります。

※「考察」ではなく圧倒的に個人の「感想」です。





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【ヴンダー内シーン】

・サクラがビンタしてアスカのシュールなツッコミが入る。てっきりアスカからのバツンってあれでDSSチョーカーを付けられているものと思ったけど単に気絶させられていただけらしい。Q時点のチョーカーの作動履歴の話とトウジ達からの手紙のことがあったけど、サクラはどうしてわざわざヴィレクルーとして働いているのだろう。いろんな思いはあるだろうけど危険を冒してまで働くようなところだろうかと思ってしまう。(ヴィレの職員になるためにはおそらくちゃんとした試験とか訓練をパスする必要があって、兄と似た仕事をしながらその差は…と考える。)トウジからの封筒が桜柄っぽいのが良い。

・クルーのほとんどがシンジを擁護(というか事実を事実として割り切っている)一方で、「そんなわけない」をちゃんと突き付ける存在が居て良かったと思う。どんなに事実として諭されても、やった人がはっきりしていてそれで被害を受けているなら、責めたくなる気持ちだって十二分に分かる。

・アスカがはじめて「ただいま」という場所が爆薬を積んだ部屋というのがなんとも悲しい。マリが相変わらず「姫」と呼んでいるけど、マリはやっぱり式波シリーズを作るのに関わっているうえでの「姫」で確定なんだろうか。マリがどの時点でエヴァの呪縛に囚われることになったのかが気になる。そもそもアスカが知らないだけでマリのDNAだったりするの?異様に2人とも戦闘スキルが高いし。分からない…。本の描写から知恵の実うんたらみたいな考察を見たけどやっぱり分からない。

・シンジの様子を聞くマリに「ガキに必要なのは母親」ってアスカが言うところのマリの目が苦しい。(ゲンドウしかりミサトしかり、目が語ることは本当に多いのだなと思う。)この抱擁にはアスカは意味を感じていない…。アスカだってガキで居て良かったはずなのに。出産的な意味での母ではないのかもしれないけど、上の考えに従うとしたら、マリにとってそれはどんな意味をもつ言葉として聞こえるのだろう。アスカがゲームを触るときは目の前の相手とちゃんと会話する気が無い時だと思う。マリ~~~…。

・ミサトとリツコの2人だけの時の会話。疑似母だった14年前と違って、「母親の資格がない」と言い捨てるミサト。何が本当に子どものためになるか、それは親のエゴではないのか、なんて、第三者しか冷静な判断は出来ないだろうし、それすら正しいかどうか分からないよなと思う。

・冬月さんこそ本当に何物なんだ。アドバンスド綾波って何?(説明が理解できない) 壁のDSSチョーカーと同じマークがだんだん減っていくのがL結界密度を表しているんだろうか?アヤナミの頭がいっぱい…。後で出てくる首無し裸体と関係があるのでしょうか。あるんだろうけど分からない。

・リツコの「私の経験よ」が後から(四番艦にやられるとき)ちょっとだけ活きるのが奇しくも、というかんじがする。

・寄り道しておきたい、からの会話が本当に好きです。ありがとうエヴァンゲリオン。14歳が他人の命に責任を取るのは難しいと思うよと擁護しつつ。「わたしが先に大人になっちゃった」でどれだけ泣いたか分からない。ここでまたね、とマリさんが言っていて良い。突然のカヲル君は分からない。


【対ネルフ戦】

・ここからわっくわくの展開。これ以降が本当に好きなシーンかもしれない。シンプルに絵と音楽がキレキレのかっこよさを見せつけてくる。これがエヴァンゲリオン…。

・オップファータイプってなんですか?声に出して言いたい日本語ですね。このデカブツ同士がばこばこやりあってんの最高だと思う。そこはかとない月光号みを感じつつ。 命令をバチバチだしていくミサトさんがかっこいいし、彼女の作戦はいつも捨て身で荒っぽいなと思う。誘導弾発射のそのスイッチの押し方絶対押しにくいと思う。最早船は弾なのである。

・どこも音楽が良いけど新弐と改八が投降していくところの音楽が本当に好き。このためにサントラが欲しい。ここが本当に好き!!!!!船を盾にするところがまごころの弐号機っぽい。ここでひゃっほい言えるのはマリだけだと思うアスカああああ。かっこいい。君が一番かっこいい。完全に動きを理解してサポートしてくれる役がいるとアスカはこんなにも強いのかと思わせてくれる。(新劇、破まではシンジくんにいいところとられっぱなしという感じなので)まごころでは孤軍奮闘な強さだけだったからこそ、ここの共闘は本当にありがたい。彼女はいつもひとりだけど、今作ではアスカの周りに誰かがいて、あとはアスカがその人たちを見つめるだけなんだよなぁと思う。張り手みたいにして敵をばさばさやっていくところはさながらプリキュアですね。爆撃を背景に吹っ飛ぶところはハリウッドじみてて良い。

・アスカは今回よく説明してくれるなぁ。(ひいき目はあると思う)。新弐の最終形態で眼帯っぽくなったことでよりバサラみが出ている気がする。全然違う話ですが、ヴンダーもネルフ戦艦も先端が顔っぽく見えるよね。何かに似てるんだけどうまく説明できない。

・裏コード999はやっぱり銀河鉄道なのかな。ここからのシーンが心千切れそうなほどつらい。かっこいいけどあまりに辛くて泣き続けてしまう。だってエヴァに乗って戦うことがアスカの全てだもんね…。文字通りすべてをかけて闘う彼女が一番かっこいい。ここがちょっとよく分からないのだけど、アスカは綾波たちと違って調整不要ぽく見えるのに、食事も睡眠も人間と同じだったのは、本当にリアリティのある人体実験というか、クローンを作っていたということで良いのだろうか。造られた人間が後々、シナリオ通りに使途化したとして、それが初めからゲンドウたちに分かっていたとしたら、なんておぞましいことなのだろう。絶叫するマリさんがつらい。

・リツコの旧設定は今回はないのだな。銃を向けるところは重なりつつ。なぞってるとは言えエントリープラグごと処理されるアスカがあまりにもつらい。(ストーリーとして何が起こってて何言ってるのかはあんまり分かってない。)

・人の思いでは何も変わらん、というゲンドウの言葉が重い。痛いほど思い知って願いの為に行動し続けている人ではある、やり方はともかく。シンジくんは本当に急速に大人になっていく。ミサトさんがしっかりシンジくんを守ってくれるのも良い。相反する気持ちを表出させるサクラの普遍さが良い。ミサトさんとの会話のひとつひとつが本当に良い。ロングヘアの綾波があの時の綾波だと分かる演技がすごい…。

・世界中を巻き込んで親子喧嘩するな。シンジとゲンドウがようやくきちんと向き合っているのは本当にすごいことだと思いつつ。私がまだ今より若いころはシンジくんのどうしようもなさに苛立つこともあったけど、今となってはシンジくんの周りの大人の大人になれなさに共感してしまう。肩入れする立場が変わり続けていくけれど、いつかゲンドウの気持ちも分かるようになるだろうか。十三号機が槍かかえてビルに腰かけてるところがいつかのカヲルくんの座り方に似ている。特撮っぽい街や舞台をめちゃくちゃにしながら戦った末に対話にたどり着く。最初からそうしろよと思ってしまうけどいっぺん殴り合わないとちゃんと話せないこともあるのかな。シンジくんが右を向いてて、過去に向き合ってることを示唆してる描写が一瞬はいるのが良い。誰がどこを向いているか、に一貫して意味付けがされているのが良い。万華鏡みたいな映像のところが好き。

・いつものことですから、って笑うマヤが好き。(急に後輩になるところが好き。)さらっと「何かやらかす前に」って言ってのけるリツコも好き。デカくてリアルな綾波(の姿をしているイマジナリーのやつ)はまごころのセルフオマージュとして、腕が無いのはなぜなんだろう。サモトラケのニケみたいな?そんなわけないか。割と幅広い年齢の人達がシンエヴァを観ていた気がするし、子どもも少なからずいたけれどあれはトラウマにならないだろうか…。

・なんで首無しの裸体が歩いているんですか、首だけ保管されてたっぽい綾波と関係があるだろうけど分からない。イスカリオテのマリアってなんだ。(考察読んだけど分からない)結局マリって最初から最後まで何者なんだ…。 ヴンダーの背骨が生きてるみたい。マリとオップファータイプが戦うところは本当に各見た目とか動きがなんとなく仮面ライダーっぽい。リツコとのやりとりがずっと良いし、最後には見慣れたミサトさんの姿になるのも良い。結局ぶつかっていく生き方ばかり選ぶミサトさんのことずっと嫌いになれない。

・何を望むの、で丁寧にまごころをなぞっているけど、シンジじゃなくてゲンドウにフォーカスをあててやっと完結するの、なんかすごいなぁと思う。ゲンドウの独白がこの映画の肝な気がする。もろびとこぞりて、がBGMなのめちゃくちゃいいなあ。最後息子の方に言葉を残していくミサトさん、ちゃんと親だなと思う。  ツインテールのアスカ可愛い。この時のプラグスーツが若干新弐っぽい。まごころアスカとシンエヴァのアスカが結びついたのかな。アスカに別れを告げるマリさんの声がすごく優しい。涙で救えるのは自分だけっていうシンジくん本当にどこまでも大人だ。でもそれはちゃんとあの時泣かせてくれたアヤナミがいたからだね。

・渚指令ってなんで急に渚指令になってるんでしょうか。全然わからないけどかっこいいからいいか…。カヲルくんもまた寂しそうだけど前を向いていて良い。何が起こっているのか本当に全然わからないけど覚悟を決めたシンジくんを守るユイさん、どこまでも本当に聖母。 槍さしてのけぞるエヴァとそうじゃないやつの違いってなんなんだろう。結論まで見てマリさんの苗字めちゃくちゃいいよな…。



【エンドロール】

・曲が良すぎる、単体としても素晴らしい曲と思うけれど映像を見た後だと「誰の視点で」「どこの時点で」歌われているかを当てはめて考えてしまった。初回視聴時は2曲合わせてゲンドウからユイへの思いとばかり考えていたけど、例えばミサトと鍛冶リョウジ、(いつぞやの時点、またはシンの時点でも)アスカとシンジ、等々、誰に当てはめても染みるような曲だと思う。

・2曲目、そういうオタクが大好きなことやってくるやろとか思ってたけど本当に与えられると「大好き…」ってひれ伏すしかなかった。序破の時点ではシンジ目線で聞こえてたけどシンのほうはゲンドウ目線にどうしても聴こえてしまうな。主人公は碇シンジでありゲンドウだったんだな…。ここで劇中セリフの「僕と同じ」を味わいなおしました。


【その他】

・漫画読み直して「夏色のエデン」で確認したんですけど、あの時点でマリは16歳らしいし、どの段階から各計画を知ったり関わっているんでしょうか。その時の性格とか、勝手にマリってアスカの母親やと思ってしまってたんやけど実際どうなんでしょう。姫呼びしてる理由ってどのあたりにあるんだろう、単にアスカがかわいいとかそういう話?なわけないよな…。

・マリさんってユイに対して結局どんな感情だったんでしょう。憧れ?漫画・アニメ版と各キャラの設定や感情の位置が変わっているけど、そもそもマリって本当に漫画のラストの番外編的なところでやっと描かれるし、謎というか幅というか、役割の多いキャラだな~と思う。

・薄い本でアスカが古いプラグスーツを着ていた理由が明らかにされてうれしかったしやっぱりかわいいなと思う。


【全体として】

・すべての完結編としてこれ以上ないぐらい全部を回収してまとめて、かつ謎は謎として余地を残す形での終劇だった。数多くいるうちの一人の視聴者として感謝しかない。多くの良作や(どんな形であれ)自分が好きな作品は、年齢を重ねたり価値観を身に着けたり、また世相が変わることで味わい方の変わる作品だと思う。(作品を通して作り手の人生の一部をなぞるようなものは、それを愛するオタクにとって一定以上ウケる構造があると思っている。)

エヴァシリーズは長い時間をかけて完結しただけあって、視聴者や作り手のそれぞれに違った「エヴァ」が見えているだろうし、だからこそ解釈や考察が幾度となく繰り返されてきたのではなかろうか。時としてシンジに感情移入し、時としてアスカ、ミサト、それぞれの登場人物に少しずつ愛せる部分と憎らしさを感じながら、これからもきっと何度も咀嚼して何度も感動しながら私はこの作品を愛していくと思う。ちょっと足りない人同士が探り探りで拙く紡いでいくこの物語が本当に好きだ。

シンを通して圧倒的な速度で大人になっていくシンジに私はまだ追いつけない。ようやく追いついた頃にやっと私の中で「エヴァ」が終わる気がします。


長くなってしまいました。2編通して読んで下さった方がいらしたら、ありがとうございました。


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