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ブランディングデザインで機械製作会社を社内外から高めた話。

今日は私たちSKGのブランディングデザイン事例を紹介したいと思います。地方にある機械製作会社がブランディングによって社内の従業員に意識の変化をもたらしたこと。また社外で大きな共感と認知を獲得するにいたった話をお伝えします。

ブランディングデザインの意義については、前回記事「ブランディングを人に例えてみると。」をご覧ください。ブランドを人に例えてお話ししています。


自社の魅力を的確に伝える自己紹介を作り出す

三橋サンブリッジ(株)様(以下サンブリッジ、敬称略)は岡山にある機械製作会社です。高度で多種多様な精密加工を得意とし、産業用の機械や生産設備を製作しています。

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当初はウェブサイトのリニューアルをご依頼いただきましたが、本当の要求は単なる集客ではなく、持続的成長のための道筋を早期に確立することでした。これに気づき私たちがご提案したのが、従業員による従業員自身のブランド確立です。


違和感のないブランドを確立するための進め方

私たちはプロジェクト開始時から必ず従業員の方々にも参加をお願いしています。各部署から従業員を選出し、社内プロジェクトチームを組んでいただきました。そのチームとともにプロジェクトを進めていきます。
チームを組む目的は以下の3つです。

・従業員1人ひとりが自社ブランディングを自分ごと化する
・ブランドが社内に違和感なく浸透する
・話を円滑にまとめていく

チームとの進行によって、社内で機能するブランドをデザインしていくことができます。

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提供しているのはただの製品ではない

リサーチ、プロジェクトメンバーとの定例ワークショップを重ね、サンブリッジのブランドコンセプトを端的に、そして的確に伝えるタグライン(コピー)を作りました。

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それが「手技能士集団(てぎのうし しゅうだん)」です。
彼らがクライアントに提供しているのは、単なる製品ではありません。サンブリッジには「技能士」という国家資格を有する従業員が多数在籍しています。彼らが提供しているのは、大量生産によらない「手」を使った細やかで高度な技術力です。
そして彼らの行き届いたていねいな仕事ぶりは、「手を尽くす」「手伝う」「手厚くもてなす」など、いつも「手」とともにあります。単なる技能士の集まりというだけではない、サンブリッジだけの価値をここに見出し、「手技能士集団」という言葉を導き出しました。

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ブランドを人に例える意義については、前回記事「ブランディングを人に例えてみると。」をごらんください。

ブランディングデザインにおいて、ブランドが「誰に何を」提供しているのかを考えることは非常に重要です。「何を」というのは物とは限りません。スターバックスが提供しているのはコーヒーというより、「サードプレイス」の提案ですね。

また、ブランド確立時、一般的に製品やサービスで差異化しようとすることが多く見受けられます。しかし、本来差異化は「行動」であるブランドコンセプトを実現する方法や姿勢においてなされているべきです。
例として、日本コカ・コーラの「いろはす」を挙げたいと思います。「いろはす」は製品であるミネラルウォーターではなく、「容器をエコにする」という「行動」で他ブランドとの差異化をはかっています。エコな容器で「環境問題に貢献する」というブランドコンセプトの実現を目指し、消費者の共感を呼びました。

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続いて「手技能士集団」の価値や魅力をより遠くまで正しく伝えるツールとしてブランドムービーを制作しました。

通常、サンブリッジでは仕事を受注する前に、クライアントが来社し工場見学を行います。クライアントに工場でのていねいな仕事ぶりと整理整頓を極限まで追求し続けている現場を見てもらえば必ず受注に結びつく、つまり信用を勝ち取れるという自信と実績が彼らにはありました。

そこで工場視察に行きたくなるようなムービーを作ることに。同時にウェブのリニューアルや会社案内の制作も行いました。


ブランドコンセプトの浸透による社内の変化

ブランドムービー制作のため、改めてお客様をふだん案内するのと同じように工場内を案内していただいた時のことです。従業員の方々が説明される内容に変化があることに気づきました。
「私たちは製作の効率化に手を尽くしているので、設計には手を出しません」
この言葉に、彼らは自らの仕事の価値を再発見したのではないかと考えさせられました。

サンブリッジは製作業務のみを請負っているのですが、当初社内に設計の機能がないことを疑問視する声がありました。それはプロジェクトチームとのワークショップ時にも聞かれた意見で、設計を行わないことで自分たちの仕事に自信を持てていない状況があると感じていました。しかし、この「手技能士集団」というブランドコンセプトによって、「製作に特化することで顧客に届けられる自分たちだけの価値がある」という自覚が彼らの中に生まれていたのです。ブランドコンセプトが従業員1人ひとりに受け入れられ、彼らの姿勢に影響を与えていることを実感した瞬間でした。

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このようにブランディングがもたらす効果は社内にも大きく波及します。社内におけるブランディングはインナーブランディングと呼ばれています。

インナーブランディングにより、自身の仕事の価値を再認識した従業員は、向上心が高まります。その仕事ぶりは顧客の満足度アップにつながり、そしてまた従業員の自己実現を促す。1人ひとりのパフォーマンスは最大化され、結果、事業成長を加速し、自社の価値を高めることにつながります。

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ブランディングでもたらされた社外からのうれしい評価

一方、このプロジェクトによって社外との関係でも大きな変化があったとサンブリッジから伺いました。

それは、翌年度の採用募集で新卒の応募が大きく増えたというものです。「ここで働きたい!」これは非常に強い共感です。特に地元学生からの応募が多く、地域への認知も広まったと考えられます。サンブリッジの価値と魅力が社外に伝わる、まさにアウターブランディングの効果と言えます。

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デザインの力をぜひご活用ください!

長年一定して継続的な受注先がある企業は必然的に仕事が入ってくる場合も多く、自分たちのやっていることを自ら伝えてまで仕事を獲得する機会はあまりないという場合も多いかと思います。自分たちだけでブランドコンセプトを見出すことが難しい時、重要になるのが第三者の存在です。ぜひその際にはデザイナーを活用していただければと思います。


サンブリッジ社内、ドローン撮影:bird and insect

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東京世田谷の用賀にある小さなデザイン事務所です。コミュニケーションにまつわる課題を根本から解決するためのデザインをしています。https://s-k-g.net/