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「細かくキャッチボールが最後までずっと良い形で続いていた」ねんりんピックかながわ2022 PR動画制作秘話【後編】

高齢者を中心としたスポーツと文化の祭典「ねんりんピックかながわ2022」(以下ねんりんピック)が今年の11月に開催されます。SKGはそのPR動画を神奈川県と一緒に制作しました。5月下旬に公開された動画は7月現在までに23万回再生されています。

今回は制作に携わったSKGの助川と、プロデューサーの浦山顕さん、映像監督・編集の関山雄太さん、さらには神奈川県ねんりんピック課の清野修太さんが集まり、動画制作について振り返る座談会を開催しました。

後編は動画のオープニングとエンディングの撮影を振り返ります。

▼座談会参加者(プロフィールは記事の最後をご覧ください)
・助川誠 / SKG代表・ブランディングデザイナー
・浦山顕 / アウトドアブランド「icamp(アイキャンプ)」代表・俳優
・関山雄太 / 映像ディレクター・デザイナー
・清野修太 / 神奈川県スポーツ局ねんりんピック課職員

オープニング・エンディングの「ねんりんピック」と「木の年輪」を絡めるアイデア

助川:ねんりんピックは僕自身、この仕事に関わってはじめて知りましたし、動画でねんりんピックのテーマや主旨が伝わるようにアイデアを考えました。

浦山:知事が未病改善(注1)に取り組んでいて、自身もマラソンをされるとのことだったので、それなら知事に走っていただこう!と自然に話が進みましたね。

知事に走るラインを伝える助川

助川:知事がお忙しいのを想像できたので、県庁から外に出る撮影が可能か、ジャージの着用が問題ないかという心配もあったけど。

関山:でも、企画を提案させていただくと、知事も前向きな様子で嬉しかったです。

助川:ねりんピックのコンセプトと絡めた企画として考えたとき、「ねんりんピック」と「木の年輪」を結びつけることを考えました。マスコットキャラも年輪に乗っているので。

年輪の円が重なる様子を、知事が走ることをきっかけに、まわりの人たちも感化されてみんなが集まり輪になるというストーリーで表現しました。

浦山:年輪が人の輪でもあり、繋がりというメッセージも込めているよね。

清野:もともと主題歌の河村隆一さんの曲に込めた思いはみんなで一つになって前向きになろうというものでした。だから、助川さんが提案してくれたアイデアはとても意義があると思いました。この動画がそういうメッセージと一緒に、ねんりんピックが広がっていけばいいと思っています。

関山:そういえば、動画の編集で助川さんから印象的な戻しがありました。タイトルロゴが出るシーンで「かながわのわの中に知事が入るように」と言われたのですが、この修正がすごく助川さんらしいなと思いました。細部まで表現にこだわるのは、デザイナーさんならではの視点ですよね。

心配事を乗り越えてみんなで楽しんだ撮影現場

関山:当日は段取り通りにはいかないこともありましたよね。

助川:映像のオープニング冒頭のところ、知事が走っているところをカメラを構えて関山さんが並走しましたよね。横からや背中からのカットを撮ってもらったのですが、知事が日々ランニンニングをしていて基礎体力あるので、重いカメラを担いでいる関山さんが置いていかれそうになってました(笑)

走る知事を背中から撮影する関山さん

関山:知事の足が速すぎました!たくさん走っていただくわけにはいかないし、ピントが外れた時点でもう使えないので必死でした。

浦山さん:その甲斐あって映像では知事が楽しそうに走っている表情が伝わるよね。

浦山:撮影の雰囲気はアットホームな感じでしたね。

関山:出演者のみなさんも優しかったですよね。現場で無茶ぶりもさせてもらって…最後のシーンで、ドローンで上から撮って、みんなで一斉に倒れる場面があるんです。

その場で僕がそのアイデアを思いついてしまって、「寝てください」って大声で叫んでお願いしました。ただ、僕はドローンからの絵に映り込まないために輪から離れたところにいたので芝生が濡れていたのに気づかなくて。後で気づいて申し訳なかったのですが、みなさんとても協力的でした。

監督の突然の指示にもみんなで応じます!

助川:みんな「監督が言うなら、やるか〜」と協力してくれたよね。映像を観たら、最後のその部分も印象的になったからやっぱり良かったですね。よく見るとさ、それぞれポーズがあって面白いです。みんなノリノリだったからそうなったのだと思います。

関山:楽しい現場でしたね。エキストラの方もノリノリでしたね。

清野:そうですよね。知事も楽しかったと撮影終わりにおっしゃっていました。

関山:撮影のときは雨が降らなくてよかったですよね。雨の場合はドローンをなしにするだけでなく、室内での別バージョンを準備しましたからね。

助川:多くのメンバーのスケジュール調整の問題もあり、雨が降った場合のバージョンも考えないといけない。ただどうしても室内ではイメージが変わってしまうので、本当に雨が降らなくて良かったです。

小さいチームだからこそ、ずっと最後まで良い形でキャッチボールが続いた

浦山:今回縁が重なって旧知のメンバーで制作を担当することができたから、プロジェクトがスピーディーに回っていった感じはありますよね。スタートの走り出しがすごくスムーズだった。清野さんも細かくキャッチボールをしてくれて、それがずっと最後まで良い形で続いていて、小さいチームだからこそできたと思いますね。

助川:フットワーク軽く、みんなで楽しく、お仕事できた機会でした。

SKGはプロジェクトを進めていくなかで、クライアントと完成のイメージをしっかりと共有することを大切にしています。同じゴールが見えていれば、お互いの立ち位置を理解して協力しあうことができ、スムーズにプロジェクトを進めることができます。

今回は旧知の仲間たちと小さいチームでの取り組みだったので、ときには遊び心もクリエイティブに取り入れたりと柔軟に動くこともでき、それがとても良い作品に仕上がったと思っています。

今回の座談会を読んで、改めて「ねんりんピック」のPR動画を観ると、また違った視点で楽しめると思いますので、ぜひご覧ください。

▼ねんりんピックかながわ2022 PR動画(フルバージョン)

注1:未病とは私たちの心身が健康と病気の間で連続的に変化する状態を表す言葉。神奈川県では「かながわ未病改善宣言」に基づき、「食・運動・社会参加」の3つを柱とする未病改善に取り組めるよう、市町村や企業等と連携しながら、様々な未病対策を推進しています。(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/cz6/me-byokaizen/index.html

▼座談会参加者プロフィール

助川誠(すけがわまこと)/ SKG代表・ブランディングデザイナー
1979年神奈川県生まれ。京都工芸繊維大学大学院修了後、GRAPH入社し、北川一成に師事。2014年1月独立し、SKG株式会社設立。学生時代にクラブシーンでVJとして活動。その頃に浦山さんと関山さんに出会っている。

浦山顕(うらやまけん)/ アウトドアブランド「icamp(アイキャンプ)」代表・俳優
大学在学中にコントトリオ「昭和サーカス」結成。単独ライブを中心に活動。この頃に助川氏とも出会う。トリオ解散後は舞台、テレビ出演等役者活動し、2006年片岡鶴太郎氏に師事、上京。太田プロダクションに所属し、舞台、テレビ等で活動。2020年3月退所後、4月にicamp合同会社設立。神奈川県とは未病改善ヒーロー「ミビョーマン」の演出やイベント制作として関わっている。

関山雄太(せきやまゆうた)/ 映像ディレクター・デザイナー
1985年生まれ。ウェブ制作やEC運営等を経験後、フリーに転身しLAFHを設立。多くのアーティストのアートディレクション・デザイン・映像作品などを手がける。Deca joins「Go Slow」がGolden Melody Award 2019 ミュージックビデオ賞にノミネート。

清野修太(せいのしゅうた)/ 神奈川県スポーツ局ねんりんピック課職員
平成31年度にねんりんピック課に配属されて以降広報を担当している。
今回制作したPR動画の主担当

✍️SKG株式会社
2014年設立。「デザインで、本当の助けに。」をミッションに掲げ、クライアントが抱える課題をデザインの力で根本的に解決することに取り組んでいます。ブランディングデザインをはじめ、クライアントの事業やサービスの競争力を高める様々な制作物をデザイン。課題の本質を探り当てる、クライアントの本心に迫るコミュニケーションを大切にしています。
https://s-k-g.net/

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