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【私が介護を選ぶ理由vol.2】介護を通じて感じた「違和感」

こんにちは。
スケッター運営スタッフです。

今回は「私が介護を選ぶ理由」第2弾です!

ご自身が大学時代に受けた衝撃。
なかなかTVなどで表に出されない、介護の奥深さについて語っていただきました。

【お名前】
朝田 雨 さん

【年齢】
39歳

【私が介護を選ぶ理由】
ストレートにこう聞かれたら、私は悩み、考えます。
いくつか答えがありました。

生活の為、惰性の為、なんだかんだ楽しい為。

しかし考えれば考える程、まず最初に、私が介護に触れた時に感じたことを段々思い出してきました。

違和感。
介護を通じて私が感じた違和感。
この違和感から離れられずに、私は介護を選び続けているのかもしれません。

大学時代、私は教職課程をとっていました。
両親、特に父の
「先生になって欲しい」
という願いを叶えたいと真剣に考えてはいませんでしたが、たまたま友人が教職課程をとっていたので何となく便乗。 

私を教職課程に誘った彼女は、ついでに私を福祉の道へも誘いました。

ある日彼女から言われた一言

「私今、脳性麻痺の方の介護のボランティアをやっているのだけど、貴方もどう?」

言われるままに行ってみたらそこは、脳性麻痺の方が、ご自身の意思で、一人暮らしをしているという環境でした。

今考えると多分それは当時の自分にとって新鮮で、衝撃でした。
あの頃は私も若く常に刺激に対して無防備で、あの方との出会いが私を福祉に繋ぎ留めたのです。

一人暮らしの脳性麻痺の方の、お名前をゆきさんとします。

ゆきさんは一日、数時間置きにくる、私のような学生、あるいはヘルパー、が来る以外は一人です。
一人の間、ゆきさんは頭にヘッドギアを付け、そのヘッドギアから伸びたアームで、テーブルに固定されたリモコンを押し、電話をし、テレビを見ます。

急な尿意、便意には、電話の番号を押すこともままならず、失禁します。

そんな時必ずゆきさんはこう言いました。

ごめんなさい。失敗しちゃった。

生き物は必ず排泄する。それは失敗なの?罪なの?
何故?

ゆきさんには恋人がいました。

ゆきさんの恋人は元々ゆきさんがいた障害者施設にいて、月に一度、ゆきさんの家に泊まりに来ていました。

ゆきさんも、ゆきさんの恋人も、脳性麻痺の方です。

ゆきさんと、ゆきさんの恋人がセックスする際は、ゆきさんの介護を何年もやっている方がサポートしていました。

私は知らなかった世界にドキドキしました。
知ってはいけないような気すらしました。
何故?

大学在学中に私はヘルパーの資格をとり、事業所に所属して働きました。高齢者介護デビューです。この時お世話になった方々がとても優しく、私の介護士としての始まりはとても幸福なものでした。

卒業時、進路に少しだけ悩みましたがそのまま介護の道を進みました。純粋に介護が楽しかったからです。

仕事中にビールを勧めてくるご利用者様、私が異動になり担当から外れるとお伝えすると泣いて抱きついて下さいました。
また私が確認せずにトイレのドアを開けた時に便座に座っていたご家族様は、「みぃ〜たぁ〜なぁ〜」と戯けてくださいました。
そのような優しくて素敵な方々との出会いの中から私の介護士生活が始まったのです。

デイサービス、有料老人ホーム、グループホームを経て、今は特別養護老人ホームに勤めています。

私が働くフロアは看取りに特化しており、今まで何人もの方をお看取りしてきました。

野村克也さんが亡くなった時、ユニフォーム姿のご遺体の画像をSNSにアップした方が不謹慎だと非難されていました。
何故?

昔、テレビには三つのタブーがあると聞きました。

それは排泄物、性器、死体です。
テレビに映してならないものだそうです。

ではテレビとは何かと考えると、日本的にはお茶の間です。
今は大分時代が変わったのでしょうが、子供が見ても、その親がいい、と判断できるもの。

人は誰もが排泄し、性器を持ち、死ぬのに、それは暗の部分です。

私は介護の世界で日々その三つと向き合いながら、それが何故タブーなのか問いかけています。

恐らく答えは永遠に私には分からないと思います。
青空を見て、花を見て、インスタ映えするご飯を食べて、考えています。

この違和感がある、ということが、私が介護を選ぶ理由です。

どのような仕事もそうでしょうが、辛く、大変なこともあります。

ご利用者様やご家族様から叱られることもあります。
時には認知症の方に怒鳴られたり暴力を受けたこともあります。
腰痛は職業病ですし、夜勤をやれば精神的にも参ることがあります。

それでも私にとって介護が魅力的なのは、生老病死という人間にとっての苦しみと向き合い、自分自身と向き合うことから逃れられないからだと思います。

私は現場向きの人間なので、このままずっと現場で笑っていたいです。
今年で40歳なので体調に不安はありますが、私よりもベテランの方々が元気にがんばっておられるので見習いたいと思います。

ご利用者様と交わす会話は何よりの癒しですし、ありがとうという言葉の魔力を教えてくれたのも、介護の現場です。



朝田 雨さん、ありがとうございました!

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