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遺伝子検査

今いろいろ世間を騒がせている遺伝子検査。

乳がんは遺伝性のある病気だという側面もあり(もちろんそうじゃない場合もあり)、自分自身、突然変異でがんになったのか、はたまたそういう遺伝子を持っていたのか、を知りたかったので、検査を受けてみたいな、とおもっていました。

けど、お金もかかるしなー、ハリウッドセレブでもないワタシには無理な話。

などと思っていたら、急にその機会がやってきました。

今回は子供に対して、ではなく、ワタシ(大人)が、自らの意思を持って検査を受けてきたお話です。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


こどもが生まれてから、不定愁訴のデパートはさらにひどくなった。
妊娠時に診断された貧血は、結局治らずに会社の健診でも引っかかる有様。
が、再検査しても異状なし。

そして、授乳期も貧血だったため、その乳を飲んでいたギャルも軽度の貧血と診断されてしまった。

悲しいかなギャルも花粉症が遺伝したようで、アレルギー検査をすることになり、お医者さんに「他に何か調べたいことある?」と言われたので、

「じゃあなんかなんでもかんでも、でもとりあえず血液型」

と言ったら、血液型だけじゃなくこんなことまでわかって、びっくりした。
道理で親子で風邪をひきやすかったのだ、と目から鱗である。
(でも因果関係は不明)



さてコロナ禍の乳がん検診であるが、大学病院は城壁のように高いセキュリティになっていた。
予約があるからホイホイ入れるけれど、そうじゃなければ用がないやつはくるなと言わんばかり。
そりゃそうだ。
こっちも完全防備で挑んで受診した。

そして、とうとうコロナ禍2度目の診察の時に、主治医が転院を勧めてきた。

「この状況なので、ハイリスク患者さんがリスクが高い場所(コロナ患者受け入れてる大学病院)に来るよりも、街の専門クリニック(乳腺専門医=風邪の患者は基本皆無)で診てもらった方が良いと思います」

とのこと。
そもそも10年間の経過観察が必要でこの病院で診察をうけていたのだが、その後もリスクはあるので、一旦10年で区切り、その後はクリニックを紹介し、行ってもらうつもりだったそうだ。
まあ、いわゆる地域の連携医療ってやつだろう。


そんなわけで、執刀医とはコロナ禍で急なサヨナラとなった。
どのみちあと数年で卒業だったのもあり、いわば飛び級したようなもんだ、と前向きに捉えた。
ご近所大学病院からのららぽーと、そして辺鄙な閑静なニュータウンにと、ずっと先生のどさまわり異動についてきたが、とうとうお別れだ。


いろんな感慨がありつつも、あっさりとした(でもかなり謝辞を述べまくったが)お別れをした。
ありがとうございました、先生。


そして、新しいクリニックはおしゃれタウンにあり、院長はじめ先生はすべて女性だった。
診察はベテラン(といっても割と若い、いや、ワタシからみてちょっとだけお姉さんに見えるから、そうでもないのか)の院長だ。

手術の時、検査で乳腺外科の女医さんに、手術前のレントゲン検査を対応してもらったが、まだ若手のホープっぽい人だったので、ベテラン女医は初めてだ。
なんか、おしゃタウンがはなやいでいて、お尻がムズムズするような気になりつつ診察を受けた。


初めての診察で「遺伝子検査ってされたことあります?」と聞かれた。

「ああ、聞いたことあります。けど保険効かないし高いって聞いたんでやってませんね」
「いま保険診療適応されるようになったので、一度やりませんか」

なんと。
あのアンジーだよ。
(まあ、乳房切っちゃうまでは適応外でしょうが)

どうやら45歳以下の低年齢(これを聞くたびに低年齢の概念が…)で発症した場合、遺伝子検査が保険適用になるらしい。
※他にも条件があるようです。ワタシは上記がヒットしました。

なんと朗報。


どんな検査か、だけは聞いたが「保険適用」という言葉だけで、どれくらいの金額がかかるかなんてことも聞かずに、やることに決めた。
紹介状を書いてもらった先は、あの手術・入院・出産をした大学病院だ。

また舞い戻った大学病院で検査を受けた。
その診察でも、また女医さんだった。

この10年で時代が変わったんだな、と感じた。
幸いにも乳腺外科の男性医師(なぜ男医と言わないのか)たちに嫌な人は全くいなかったのは良かった。
けれど、過去産婦人科で嫌な気分にさせられた男医(←あえて使ってみた)は数名いた。
産婦人科医では、良い先生と嫌な先生が半々な気がする。
別に男女の区別差別をするつもりはないが、結局生理痛知らないおっさんに「それくらいで」みたいな言われ方をされたことは根に持っているな、と自覚する。


まあ、婦人科って結構難しい分野なのかもしれない。
自分もヒステリー気味なくせに繊細なもんだから、少しでも嫌なこと言われると傷ついたり怒ったり。
そしてどんなに生理痛がひどくて検査しても「異状なし」とか。
意味わからんわ。


閑話休題。
懐かしい病院のオペレーションに流れ流れて、会計まで到着した。
そして、その会計で目玉が飛び出る。
想像していた金額をはるかに超えていた。
なんか放射線治療をしていた時の金額か?
と、フラッシュバックを起こしたのかと勘違いするようなものだった。

「え?この金額が3割負担の額なんですか?」
受付で聞いてしまった。
財布にも大金を払うだけの手持ちは、当然ない。
「はい(当然だろ何言ってんだこいつ、の顔)」

…。
クレジットカード使えてよかった。

金額は、仮に10割だったら…と思ったらゾッとした。
3割負担でよかった。
遺伝子検査、なんて恐ろしい子!!(違)

しかしこれで安心が買えると思えばいい。

結果を後日聞きにいくと、陰性だった。
遺伝ではないらしい。
なので、子供にも遺伝している可能性は低い(っつーかない?)ようだ。
卵巣がんのリスクも低いということもわかった。


よかった。
本当によかった。


もし陽性だったら、いつ、どのタイミングであのギャルに伝え、そして検査を受けさせるか。
金は母ちゃん払ってやるぜ、とは思ったが、でも本当に検査を受けさせるのがいいことなのか?
検査を受けるタイミングで、ワタシは経済的に余裕があるのか?
すでに死んだりしてたりして?


…などと、少しは結果を聞くまでに葛藤があった。
でも、そんなのは杞憂に終わった。

彼女が希望したときに、彼女のタイミングで、なんらかの遺伝子検査をする分には全然良い。
勝手にやってくれればいい(お金が足りなきゃ出してやるけど)。
その機会を、自分が心配する必要はなくなった。


ああ、そうだ。
何かあった時に、「自分のせいだ」。
そう思いたくなかった、思わなくて良くなった、というのがワタシの本心なのかもしれない。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


乳がんになって以降、さまざまなお医者さんにかかりましたが、女性が増えたなあ、と本当に思っています。
かかりつけのクリニックがいくつかありますが、その7割は女性のお医者さんになりました。

基本、ワタシが意識して女性医師を選ぶのは婦人科のみ。
ほかは、Googleマップを開いて、一番近いクリニックを調べて、行ってみたら女性の院長先生だった、ということが多いです。
なので、無意識で女医さんを引き当てているようです。


そして、遺伝子検査。

数日前から、保育園がこどもの遺伝子検査を仲介していた、というニュースが流れてきました(リンク先は無料で全文読めません。ワタシも途中までしか読めていません)。

いよいよそういう時代になったか…と感慨もありつつ、いくら自分の子供とはいえ、遺伝子検査を本人の同意もなく親が勝手にするという、少し乱暴にも思えるこの状況、なんとも言えません。

病気のリスクについてはわかる。ワタシもそうでした。
体質とか、目に見えないものを知りたいのもわかります。

けど、将来どんな職業に向いているか、とか…性格面とか…?

なんだったら、発達障害的な話も?と想像してしまい、それはちょっと違うのかな、と思ってしまいました。
なんだか枠をはめたくなる気持ちはわかるし、枠にはめると楽になったりするのですが…。
多様性はどこへ?

これからは時代が変わったので、新しい学校のリーダーズのように、

「個性と自由ではみだしていく」


で良い世の中になりますように。
なんて、どうでもいいことまで考えてしまった、遺伝子検査でした。


※先生とのやり取りや説明、医療費など、うる覚え過ぎる&ある程度の脚色が入っております。
また、何かご自身のお体にご不安がある場合は、専門の医療機関に問い合わせることを、強くおすすめします。

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