ざっくりと資本論-note限定記事
今回は、経済学の本と言えばこれというぐらい有名なマルクスの資本論をざっくりと紹介します。
資本論が有名なのはあの「共産主義」を生んだ本だからです。
資本論は、資本主義体制を徹底的に分析し批判する本なので、別に共産主義者のための本ではないので、資本主義社会での、課題・問題点を明確に示してくれる本です。
資本論を学ぶことで、資本主義社会を生きる人間として資本主義社会でどうやって仕事をやっていくべきかというのも分かると思います。
また、資本論は、乗っている情報がとても多いので、本サイトの方で、何十記事かに分けて解説していく予定です。
※共産主義・・・競争がなく、みんなが平等な社会を目指す主義
(旧ソビエト、中国など)
※資本主義・・・個人が自由に経済活動できる社会が良いという主義
(アメリカ、イギリス、日本など)
商品の値段の決まり方
商品に「使えるかどうか」と「どれだけそれを作るのに労力がかかったか」という二つの価値があります。
この使えるかどうかというのを使用価値といい、どれだけそれを作るのに労力がかかったかの価値を交換価値といいます。
使用価値は、わかりやすいと思いますが、パン、おにぎり、ネジなどの実際に使うことのメリットのことです。
交換価値というのは、パン1個、おにぎり1個、ネジ1個、ダイヤモンド1個を作るのに、かかる時間や負担の大きさです。
パン1個は20分、おにぎり1個は10分、ネジ1個1分かかるというのであれば
パン1個は、おにぎり2個分、ネジ20個分の交換価値になります。
この「パン1個は20分かかって、おにぎり1個は10分かかる」というのは、一般的にそのぐらいかかるという意味合いで、パン1個に非効率にだらだらと1時間かけても、関係ないです。
「一般的に」の基準は、市場で勝手に決められます。
商品の2つの価値について説明しましたが、商品はこの2つがなければ売れません。
amazonでコーラを1本100円で仕入れたとします。それをamazonでさらに120円で転売しようとしても売れません。
コーラ自体には使用価値はありますが、amazonからamazonに転売することは、ほとんど労力がかからないので交換価値がないのです。
また、商品の値段を決めるのは使用価値と交換価値のうち、交換価値の方です。
マスクの値段は、以前と比べて上がっていますよね。それは、マスクの使用価値が上がったからです。
じゃあ、「使用価値で値段が決まるんじゃないか!!」と思うかもしれませんが、使用価値は商品の値段に影響を与えるのは与えますが、基本となるのは交換価値です。
マスクの値段が高いのは、市場になじんでないからです。マスクの需要が高いからといって、いきなりマスク工場を建てることは、難しいのです。
ただ、だんだんマスクも市場になじんでいるので、ちょっとずつ下がっています。
中国のマスクなんかは、値段はだいぶ下がっています。
それは、マスクの使用価値が下がったからではないです。まだまだ、マスクの需要は高いです。なぜ下がったかというと市場に浸透してきているからです。
これからも、マスクの値段はどんどん下がっていくでしょう。
どれだけ、下がるのかというと、「マスク1枚作ることの労力分」の値段になるでしょう。
使用価値は、商品の値段を上下させますが、値段の基本は、交換価値なのです。
我々の給料の決まり方
資本主義では、いろんなものが商品になります。それは、労働力も例外ではありません。
資本論で言うと、我々の給料の値段も先ほどいったように、交換価値で決まります。
つまり、どれだけ社会にとって必要な仕事かというよりも、その仕事をするためにどれだけの時間がかかったのかで評価されるのです。
スーパーの仕事も、建築の仕事も、弁護士としての仕事も、医者としての仕事もすべて、社会にとっては欠かせません。
しかし、それぞれ給料が違いますよね??
この中でも、弁護士や医者は比較的、給料が高い傾向にあります。
ただ、これは「弁護士や医者が特別尊い仕事をやっているから」という使用価値の問題ではなく、交換価値の問題です。
つまり、弁護士・医師になるためにどれだけのコスト・時間がかかるかということです。
弁護士になるためには、難関の国家資格を突破しなければなりませんし、医師になるには難関の大学試験に合格し、6年間大学医学部で、みっちり勉強しなければなりません。
つまり、弁護士・医者になるためのコスト・時間が高いから給料が高いのです。
一時期、保育士は「社会にとって大切で、とても大変なのに給料が少ない」ということに、堀江貴文さんが、「保育士は誰でもなれるから給料が低い」と発言して問題になっていました。
これは、保育士になるためのコスト・時間がかからないと、市場で判断されているからです。
企業はどうやって利益を出しているのか?
企業は、基本的には人を雇って、「30万円分の働きをした人間は25万円」といったように給料以上に働かせることによって利益をだします。
これを剰余価値といいます。
コーラを100円で仕入れても基本的には100円以上で売れることはないですが、ここに労働力をかけることによって、利益を出すことができるのです。
先ほどのコーラの話をしますが、amazonでコーラを転売しても利益になりません。ですが、amazonで100円で買ったコーラを山頂で売ったらどうなるでしょうか??
恐らく120円でも売ることができるでしょう。なぜなら、山頂にコーラを運ぶことの労力がかかるからです。
つまり、労働者に20円分の利益を出させて、10円分給料として払うことでその差分で利益を得るのです。
剰余価値は、絶対的剰余価値と相対的剰余価値という種類に分かれます。
絶対的剰余価値
これは、労働者の労働時間または、労働の負担を増やすことによって得られる剰余価値のことです。
たとえば、仕事するためにPCを買った場合には、お金はもう払ってあるので、あまり使わなくても、24時間ずっと計算をさせ続けてもいいのです。
ただ、PCに払ったお金以上の利益は出してもらわないと損になりますので、あまり使わないよりも、最大限活用した方が良いですよね??
これは、労働でも同じことが言えます。月20万円の月収を払っているのであれば、企業はその労働力を法律の許す限り、最大限活用しようとします。
企業は、絶対的剰余価値を生むために、労働者を長時間労働させたいし、高負担をかけたいのです。
相対的剰余価値
これは、市場の生産性があがることによって、必要な生活費がさがり、労働者の給料も下がっていくので、相対的にあがる剰余価値のことです。
このように、月収20万円の労働者を雇っていたとします。
おにぎりは200円、パンは400円で買える時代だとします。
技術が発展し、米や小麦が今よりも大量生産できるようになって、おにぎりが100円、パンが200円で作れるようになった時代になった場合、もっと、生活に必要なお金がへります。
すると、月収10万円でも生活できるから、10万円でいいから、働かせてほしいひとが出てきて、しまいます。
すると、経営者は10万円で働きたい人を採用したくなりますよね。こうして、払う給料を減らすことができるので、企業は相対的に利益を上げることができるようになります。
資本主義がどんどん発展していくと・・・
資本論によると、資本主義のシステムがどんどん進んでいくと、技術の発展や、機械の導入により、どんどん労働者が不要になっていき給料も下がる。そして、労働者の価値が下がることで、経営者(資本家)の権力がどんどん増していき、貧富の差が拡大することを指摘しています。
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