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ICT活用のイメージとして

Google for Education認定トレーナー/コーチの笠原です。

勤務校では本日から夏休みで、少しは自分の時間も持てそうな時期になっています。

そのため、夏休みに授業づくりのために丁寧に読み直したいと思っている本を退勤後に少しずつ読み直しています。

本日の課題図書はこちら。

これも七年ほど前の発売の本ですが、一人一台端末が実質化した今だからこそ、この本の発売当初よりも取り組みやすいことが増えているだけに、読み直したい一冊です。

個別最適とはちょっとちがう

この「一人ひとりをいかす」という言葉だけを見ると、近年になってよく聞くようになっている「個別最適な学び」という言葉を思い出すことでしょう。

概念としては重なってくる部分も、もちろんあるとは思いますが、本書で述べられている「一人ひとりをいかす」という言葉の意味は「個別最適」に比べるとかなり泥臭い面もあるように感じます。

一人一人の学習履歴やニーズを把握して、それぞれの学び方に併せた教育方法を提案するという点では同じなのですが、例えば本書だと「一人ひとりをいかす」ということを以下のように述べています。

一人ひとりをいかす教室の教師はそうでない場合よりも生徒と深く関わりながら、機械的なエクササイズとしてではなくて、一つのアートとして、教育に取り組むものです。

『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』P.16より

この「アート」という言い方は少し解釈が難しいところもありますが、注釈で「アートなら、全員とはいわないまでも、ほとんどの生徒が算数・数学を含めて、すべての強化が好きになり、かつそれぞれの教科の知識やスキルを身につけます」と述べているように、学びを人間らしい、血の通ったものとして捉えているように思います。

どうしても、最近の様子を見ていると「個別最適」が「機械的なエクササイズ」になっているような見え方をすることが増えているので、本書の「一人ひとりをいかす」との違いは気になるところです。

ICTの活用を再度考えてみる

どうしてもICTを活用した「一人ひとりをいかす」のイメージは、AIドリルであったりデジタルポートフォリオだったり動画授業であったりと、まさに「機械的なエクササイズ」の方向性に流されがちだと感じています。

ICTの活用がそうした「機械的なエクササイズ」のための活用になっていくと、非常に平板でつまらない、浅い学びになるように感じています。

ICTを活用することによって、一人一人の能力や関心に凸凹があったとしても、テクノロジーの支援によって、そういう凸凹が障壁になることを小さくして、協働でプロジェクトに取り組んだり、お互いに学び合ったりすることを誘発できると思うのです。

その時に、どのようにICTを活用していくかという勘所をつかむためには、本書はもう一度よく読んでおきたい一冊になりますね。


今回も読んでいただきありがとうございました。シェア、コメント、いいね!をしてくれたら嬉しいです。

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