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Podcastづくりに取り組む

Google for Education認定トレーナー&コーチの笠原です。

二学期は論理国語の授業でポッドキャストづくりに取り組んでいます(単元としては「読むこと」の単元です)。

ICTツールを色々と用いて取り組んだ単元ですが、想像以上に子どもたちの活動が盛り上がり、面白い単元となりました。

今回の単元のポイントを少しご紹介します。ポッドキャストづくりは単元として面白くできそうな気がします。


適度にゆるく

ポッドキャストづくりですが、当然ながら子どもたちは音声編集の技術はありません。そのため、あまり凝ったものを期待したり、上手く話せるようになるまで練習させたりはしなくてよいのではないかと考えています。

今回の単元を「読むこと」としているのは「ポッドキャストづくり」というパフォーマンスのために、必然的に資料を読むことが必要になるからです。「読むこと」に必然性と意味を持たせるためにポッドキャストづくりを大きなテーマとして生徒に示しているわけです。

(逆に言えば、実際の単元ではポッドキャストづくりよりも「読むこと」の過程についての指導や資料にかなり手間をかけています。評価についても音声よりも事前の資料の整理の仕方や台本づくりで「読むこと」の出来を見取っています。)

だから、あまり生徒に対してハードルを上げるような提出の指示は出していません。ボイスメモで一発録音でいいよーというくらいハードルを下げています。

でも、こだわりますよね

生徒へのハードルは下げて提示をしています(それこそ提出できればA評価と言っています)が、だからといってやり始めると子どもたちは相当こだわって「作品」を作ります(自分も当然、いいものを期待していると言ってしまいますけど…)。

実際に作成した台本をしゃべってみると、予定した時間よりも短かったり録音を聞いて見ると意味不明だったりと、自分たちで「気づき」があるようです。

実際にパフォーマンスをしてみるからこそ、自分たちの「読むこと」に立ち返り、色々なことを見直すきっかけにはなるようです。

何かをつくることの学び

ポッドキャストづくりは「作品」づくりです。

だからこそ、クオリティにこだわらないとこちらから提示しても、自分たちのこだわりがどうしても自然に湧き上がってくるようです。

録音した音声を聞いて一番よく出来たと思えるものになるまで繰り返したくなるし、BGMをつけるにしても自分たちの番組に一番ぴったりくるものを選びたくなる。

何かを試行錯誤してみると自然に面白くなるのですね。

動画づくりになるとコントロールしなければいけない要素が増えるので、なかなか忙しい生徒たちにとっては試行錯誤のハードルが高いようです。ただ、今回はシンプルに音声編集を扱ったので、試行錯誤のチャンスも多かったのだろうと思います。

自分の声に意識を向ける

自分の声を聞くということは恥ずかしいですし、なかなか苦痛ですよね。

今回のポッドキャストづくりでも生徒たちは結構、自分の声を聞くことに照れていました。

ただ、何度も集中して自分の声を聞いていると、色々な気づきがあるようですね。自分のしゃべり方のクセや話していることがどのくらい伝わるのか……そういうことに気付くと、何度も録音に挑戦したくなるようです。

そうやって自分たちの声を聞いて、何度も読み直しているうちに気付くことは「読むこと」自体もかなり深まり、定着していくように感じます。

普段、声を出すという機会が授業だと本当に少ないので、こうやって改めてしっかりと声を出すということに向き合うと、色々なことが体感されますね。

この辺りの身体性のある学びについては、どのような意味があるかはもっと今後も考えてみたいですね。

今回、ポッドキャストづくりで利用したもの

少しだけ授業の方法を紹介しておきましょう。

今回のポッドキャストづくりで利用したツールは以下の通りです。Chromebookでの作業環境を前提としています。

音声の録音などについては上記のサイトのツールを利用すればOKです。Chromebookからであればもっとも簡単。

音声編集はタイミング良く以下のサービスが始まりました。

Windowsソフトで有名はAudacityのWebバージョンです。操作にはちょっとクセがありますが、Audacityの使い方解説がYouTubeに数多くあるので、それを生徒に紹介すればだいたい使えました(ただし、webブラウザがクラッシュするとそれまでの編集が全て水泡に帰す……)。

iPhoneを所有している生徒が多いので、ボイスメモとGarageBandで編集も勧めました。たぶん、本当はiPadがあれば、iPadが一番、作業効率は高い気がします。

ちなみに提出はPadletです。

ちょうど、セクションごとにブレークアウトリンクを発行できるようになったので、他のクラスの作品は最後まで隠して提出してもらっています。全員提出が終わったらお互いに聞き合うのを楽しみにしてもらっています。

単元の展開について

最後に単元の展開を簡単に紹介しておきます。細かい内容は省きます。たとえば、見通しをどのようにも持たせるのか、どのような評価をするのか…ということの詳細は省いています。

ポッドキャストを聴く

ポッドキャストづくりなので、聞いてみないことにはゴールがわからないですよね。ということで、まずはポッドキャストを紹介して聴いてもらいました。

ポッドキャストスタジオのChronicleさんが令和の世にあって良かった…!!

テーマの資料を読み込む

今回のポッドキャストのテーマに関連する教科書の文章(ここで教科書が手がかりとして生きてくる)と応用的な資料を渡して観点を指示して、生徒に整理してもらいます。

「読むこと」の単元なので、毎回の授業でミニ・レッスンで読み方や知識を指導し、あとは生徒自身がノートに手書きでまとめたりGoogleドキュメントにまとめたりします。

企画案づくり

資料の整理が終わったら、自分が語りたいテーマについて企画を出してもらいます。Canvaなどのホワイトボードでブレーンストーミングのテンプレートを配布し、どのようなことが書けそうかを考えてもらっています。

その際には資料を読んだときに整理した内容からキーワードを選んで、まずは書き出してみることを指示して、読むこととアイデア出しを往還してもらっています。

台本づくり

実際に自分たちの話す台本を作ってもらいます。

台本づくりの段階で、生徒たちに対して書き出しの例を書いて見せたり、展開の例を書いて見せたりと、実際に生徒の活動の際に介入していくことで書き方を指導しています。

なお、「読むこと」の単元なので、資料を読み直すことを促しますし、実際に評価についても台本に書かれている内容で「読むこと」の程度を評価しています。

録音編集

やっと録音。

教室でやらせないで、自由な場所で好きにどうぞ…というのがよかったですね。

だいたい上記で10時間くらいの単元です。

かなり大がかりな時間の使い方のように思われるかもしれませんが、生徒たちが読んだ文章量は教科書の教材で言えば10本分くらいにはなるので、時間に見合うだけの活動は出来たかと思われます。

ゴールを見せて任せる

かなり大がかりに見えるかもしれませんが、自分が実際に指導らしい指導をしているのは、ミニ・レッスンと台本づくりの際の個別の指導だけです。

基本的にはゴールが見えれば自走できるものです。

あとは一緒に面白がっていると気付くと……!

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