ポケモンワールドチャンピオンシップス(WCS)予選で起きた一連の騒動のまとめ
ポケモンワールドチャンピオンシップス(以下WCS)のゲーム大会部門の予選にて発生した騒動について、可能な限り調べたものを記録しておくことにする。先日、株式会社ポケモンの関係会社である任天堂の株主総会にて質疑応答の機会に恵まれ、本件に触れた上で今後のEスポーツに対する取り組みについて質問させていただいた。
なお、質疑の内容については、こちらの記事でも一部触れているのでご確認いただきたい。
『聞く力』と『伝える力』 株主総会に参加して得た学び|テツノトリ (note.com)
ポケモンワールドチャンピオンシップスとは
まずWCSについてだが、2009年からゲーム部門が開始され、世界情勢により一部中止を余儀なくされつつも、通常毎年開催されている世界大会、いわばポケモン界のオリンピックのようなものと思っていただければよい。
ゲーム部門
本編のポケットモンスターのソフトを用いた、ポケモン6体で1パーティを構築し、そのうちの4体を選出して2体ずつ場に出して対戦を行うダブルルールのみが採用ポケモンカード部門
ポケモンユナイト部門
ポケモンGO部門
ポッ拳部門
さらに、ジュニア(小学生以下)、シニア(中学生)、マスター(高校生以上)と年齢別にカテゴリが分かれている。
詳細については、下記のリンクを参照
ポケモンワールドチャンピオンシップス - ポケモンWiki (xn--rckteqa2e.com)
事態の発端
2023年2月のポケモンデーにて、開催が発表され、2023年8月に日本の横浜にて開催されることが決定した2023年度WCS、本編のゲーム部門での日本における出場権獲得については、ポケモンジャパンチャンピオンシップス(以下PJCS)の一環で行われ、その上位64名にWCS出場権が付与されることとなっていた。
1次予選。4月に3日間を1セットとした予選会が計3回開催
各カテゴリで上位150人×3回分=450人が二次予選へ2次予選(PJCS本戦、5月14日開催)
4月に実施された予選の各カテゴリ毎の予選突破者
計450人から上位64人が日本大会の決勝戦進出
かつWCS出場権獲得決勝戦(PJCS決勝戦)
上位64名にて日本におけるチャンピオンを決定。
そして問題が発生した5/14(日)開催の二次予選
具体的な問題点として、以下の点があげられる。
通常のインターネット大会と同様の”続けて戦うかどうか”を選択できるメッセージが表示されず、対戦中断ができない。
何の事前告知もなく、通常よりもプレッシャーがかかる試合を一切休憩できない状態で最大試合数の20試合分実施せざるを得ない状態であった。休憩するためには回線切断をするしかなく、切断したタイミング次第では試合数にカウントされるかどうかわからないというリスクもあった。異常な再戦率
中断できず即次の相手とマッチングしてしまう都合上、同じ相手と再戦する確率が異常に高くなってしまった。初見で当たる場合と再戦で当たる場合、相手の技や調整具合等の情報を把握しているか否かで立ち回り方が大きく左右されるが、ひどい場合は4,5戦連続で同じ相手ということも散見。構築上有利不利がどうしても存在してしまうが、延々と不利構築と当たり続けた場合は本当に地獄である。自動で連戦となってしまっているため、自分が対戦した回数やレートの確認を行える画面を見ることができない。
上記1,2とあいまって、一度走り始めたらとまらない暴走特急のように延々とやるしかなく、自分の立ち位置をみて1戦潜るか否かの自由がなかった。レートの変動も不明瞭
大会終了後に勝敗数と最終順位をスクリーンショットにとってSNSにアップしている方が散見されたが、勝敗数とレート値(最終順位)の相関関係に疑いを向けざるを得なくなる事案も存在した。最大試合数20戦で最低規定試合数10戦であるが、規定試合数10戦行ったにもかかわらず、試合数としてカウントしていない場合があった。
悲惨な事例だと、9勝1敗と思っていたら規定試合数未満とみなされ失格となってしまっていた。また、なぜか21試合できた方も存在した。
事態を受けて、二次予選の数日後に急遽5/28(日)に再度二次予選が開催され、5/14実施分64名と5/28追加分64名の計128名にてPJCS決勝戦を行い、その上位64人にWCS参加権が付与となる形に変更されることが発表した。本来であれば、二次予選でベスト64に入ればWCSの切符を手に入れたはずであったが、不具合の中戦い続け地獄を乗り越えたが結局切符をはく奪され、再度改めて切符をかけて1戦行うという非常に後味の悪い形となってしまった。
海外での状況
日本のみならず他国の予選でも同様な事態となり、様々な抗議活動が行われる事態となった。また、台湾ではシステムトラブル以外の運営側の不手際もあったようだ。
韓国国内でのファイナルラウンド出場者4名が全員『ゆびをふる』のみ技を使用し、公式側から全員失格となり大会自体が中止。
※ 「ゆびをふる」は実装されているわざをランダムで繰り出す技であり、戦略もへったくれもない完全に運だけの技で通常の大会で使用されることはほぼないに等しい。台湾では、他地域と違いBO1(1度負けたら即終了)という最もシビアなルールとなっていたが、その大会形式の変更は1ヶ月前にWebサイトでひっそりと行われ、SNSでの発信は大会直前まで行われなかったとのこと。大会参加確認のメールの送付も遅く、さらに送信された直後はリンクが正しいものではなかったとのこと。
これに対して選手側から、使用ポケモンのニックネームを抗議の内容を伴う名前にするといった形での抗議がみられた。
参考記事
ポケモン熱が冷めた…公式大会で不具合の数々「運営に落胆」 参加者インタビューで騒動まとめ(オリコン) - Yahoo!ニュース
ポケモン世界大会、韓国予選が“全選手の失格”で開催中止に―運営の不手際に選手たちがボイコット(インサイド) - Yahoo!ニュース
『ポケモン SV』大会に対する不満を“ポケモンの名前”にしてアピール―世界大会進出条件の差に物議 | RUGs(ラグス) Supported by intel (roundup-gamers.jp)
「ポケモン」の公式トーナメントシステムが話題を呼び、プレイヤーは不満を表明するためにポケモンの名前を変更し、スタッフによって閉鎖されました| 中国テレビニュース | 今日のライン (line.me)
「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2023」開催決定!ゲーム部門の開催概要が発表に – Nintendo DREAM WEB (ndw.jp)
「ポケモンジャパンチャンピオンシップス2023」ゲーム部門 開催概要 (pokemon.co.jp)
最後に
私は今回の件についてはただの傍観者であるが、対戦動画を視聴する一観戦者として大変に心を痛めている次第である。冒頭に述べた通り、現状株式会社ポケモンは上場していないため、関係会社である任天堂に今回の件に言及したうえでEスポーツのさらなる発展について質問した次第である。個人的には任天堂のみならずポケモンにも投資をできるなら是非とも投資をしてみたいところではあるが・・・。ただ、もしも今年株式会社ポケモンの株主総会があったら炎上ものだったであろう。
今回は公式側の重大な問題について焦点をあてたが、トス行為や複数アカウントでの出場、改造ポケモンの使用、悪意ある回線切断等、プレイヤー側にも別問題の存在が疑われるようだ。さまざま問題はあるが、Eスポーツとしてポケモン対戦が今後ますます健全に発展することを願ってやまない。そしてできればシングル対戦も公式サイドとしてもっと取り上げてほしいところである。
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