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(SVシングルS9.2023/9/10加筆)ポケモンランクバトルの構築記事を紹介する記事


【前書き】

 ポケモン対戦界隈においては、シーズン終了後に構築記事が出回ったりする文化がある。多くの記事では、シーズンの結果報告から始まり、構築の経緯や調整意図を含む個体紹介、構築のコンセプトや運用方法、ときに使用者目線で重いポケモンや並び等が記載されている。
 以前の記事でも書いた通りだが、何らかの目標をもって真面目にポケモンのランクバトルに取り組まれていた方については、どのような結果であれ使用構築を含む振り返りの記事は書くべきであると考える。その時点での自分の思考過程や意図、あるいはその当時の流行のポケモン等の記録は総じて貴重な資料となり、手間がかかる以外の損はないからである。
 とはいえ、一定の結果を残された方の構築記事というのは、やはり勉強になるものである。少なくとも構築意図や調整意図、運用方法を文章で説明できるレベルで把握されている。説明の仕方を含めて学ぶべきところが多い。
 勿論、高い結果を残された方のほうがより強くその構築を運用できた、というのはおそらくそうではあるだろうが、だからといってそれより順位が低い方の構築記事が価値として劣るのか?ということはまったくないと思っている。シーズン終了数日前まで4桁後半5桁にいたが、この構築をつかって最終3桁ラインまで滑り込んだ!となれば、自分の立ち位置によってはそちらのほうが有用になる場合もある。たとえ強い構築を思い浮かんだとしても、それを使用できる時間を捻出することができなければ目標としていた順位に達することができたかどうかはわからない。結局のところ、構築記事を見つけたら可能な限り一読をすべきである。
 構築や構築の中のポケモンをピックアップして紹介する動画はyoutubeでもたまに散見されるが、構築記事を紹介する記事、というのはあまりみたことがなく、試しにやってみることにした。というわけで、前シーズンであるS9分にて出回っている構築記事の中から、個人的に何かしら感じるものがあった記事をいくつか紹介してみようと思う。

【構築記事紹介】

 小見出しにリンクを貼ってあるので、各記事の詳細はリンクからそれぞれのページへどうぞ。

【SVシーズン9 最終689位 最終レート1931】不死蝶サイクルver2.0 - みかげのポケモン部屋 (hatenablog.com)

 一つ目に、私もたまに視聴しに行っている男性Vtuberである伏見影さんの記事を紹介する。レート2000を複数回達成されていて、最近ではデカヌチャンカップという大会の運営にも携わっておられる猛者の方である。ポケモン対戦メインの配信者やVtuberの方は数多くいるが、男性Vtuberというのは珍しく感じる。また現役のポケモンVtuberという点に限って言えば、個人的にトップクラスの実績を誇る方の一人だと思っている。8月はお忙しかったためか、あまりランクバトルを潜られていなかったようだ。しかしながら最終日終了前のたった3日間弱で最終3桁ラインを突破されていたというわけで、今回紹介させていただくことにした。

伏見 影/Fushimi Kage

 なお、配信自体はポケモンの対戦配信以外にも深夜ラジオ枠等をされている。落ち着いた感じの配信で、夜中に休憩がてらに聴いてみるのがおススメである。
 なお、10月にまた別の大会企画をされるというわけで、ついでに宣伝。


目指せ最終3桁!対面構築練習パ👀

 続いて、おすかるさんの記事を紹介する。8月中旬頃は5桁で低迷されておられたようだが、その状況を打破すべく編み出した。コンセプトが、
「初心者でも簡単に最終3桁を目指せる、対面構築」である。
 特に印象に残ったポイントがコンセプトの説明である。

  1. パオジアンの怯みを受けないようにする(ストレスMAX)

  2. 難しいサイクル戦の拒否

  3. 選出と行動をマニュアル化することで、対戦回を稼ぐだけでレートが上がる仕組みを作る

  4. 択になる場面、同ポケミラー減らす

  5. 重いポケモンがいるPTは負けても良いことで使用難易度を下げる

コンセプト説明の3番と5番が特に印象に残った。一戦一戦不利構築であろうとも可能な限りの勝ち筋を追い、一戦一戦をじっくり味わっていく私のスタイルとは真逆である。構築の動きのマニュアル化を追求し、苦手構築にはむしろ負けてもいいので対戦回数を稼ぐことでレートを稼いでいくスタイルは実に新鮮に見えた。

【ポケモンSV 水統一でランクマッチ シーズン8・9構築】 - squallpokemon’s blog (hatenablog.com)

 水統一で巷で有名なスコールさんである。たまにランクバトルをしているとタイプ統一パと当たることがあるが、これがまた非常に戦いにくく、かつやりごたえのある戦いが楽しめることが非常に多い。タイプ統一パは一見して相性有利なタイプで攻めれば大丈夫なようにみえるが、実際には全然そんなことはなく、こちらの想定外の技がとんできたり、動きがわかっていてもとめられない場合等が多く、まったくもって油断は禁物である。剣盾時代に一時期タイプ統一パも試してみたり、タイプ統一パのジムチャレンジイベントに参加してみたことがあったわけだが、タイプ統一パを相手にする際は、ポケ徹やwiki等を開いてそのポケモンが習得しうるあらゆる技を検討して、そこから導かれる動きを想起したうえで対戦する必要がある、という点を学んだものである。
 ちなみに、ポケモンバトルデータベースには最終3桁以内に入って構築記事を書くと、自動で構築のメンツと記事へのリンクが記載される特典がある。2023年9月7日時点でみた限り、ほぼすべて構築にBIG6が少なくとも一体以上採用されているのに対して、ただの一体もBIG6が採用されていないのは一部の受けルーパーとスコールさんぐらいのようだ。

双剣乱舞 波導の勇者と紅の閃光 超速高火力サイクル - tanpaku_pkの日記 (hatenablog.com)

 3桁帯付近になると、唐突に普段の対戦ではめったに会わないポケモンに連続して遭遇することがある。推しのポケモンを最大限に活かすための構築を組んで実際に勝っている猛者の愛好家と、着眼点が独創的かつ画期的な運用をされている一部の天才である。これから紹介するたんぱくしつさんは、先月私が実際に目にした、おそらく前者のタイプの猛者の一人である。
 たんぱくしつさんは、ポケモンに連続してルカリオ・ハッサムという2体の推しポケモンと共にレート2000を達成されている。構築にBIG6が一体だけである。前期のハッサムは一部のBIG6相手にも対抗できる性能があり、世間的にも少し数を増やしていていた感じはするが、ルカリオに当たったのは後にも先にもこの1回だけであった。攻撃的な性能が非常に高く両刀も可能、タイプこそ優秀だが素の耐久力が決して高いとは言えない。剣盾時代に一時期使ってみたこともあったが、扱い方が非常に難しいと感じたポケモンである。そこを現代の環境に適応させて、うまいこと運用されている。
 単純に単体性能が高すぎるからと言って安直にBIG6を起用するのではなく、あくまで推しポケモンを活かすための手段として構築に必要なものを補うために構築のメンツを選んでいる、という感じがした。各々の推しポケモンの性質にもよるが、参考にすべきところが大いにあると思う。


【ポケモンSV】S9シングル最終899位(レート1917)壁張って積んで殴るデカヌラオスガモス
 
推しのポケモンを最大限生かす構築を組まれている、という点についてはマキノさんも忘れてはいけない。推しのエーフィと共に戦うことが潜る源泉であり、日々エーフィのための構築を模索されている。BIG6等、考えなしにエーフィを出すのが躊躇されるような相手が多いためか、今回のルールでは相当苦労されていたみたいであるが、推しのエーフィを可能な限り活躍させるべくブラッシュアップした構築で、最終日に3桁圏内まで滑り込まれている。実際配信でこの構築が使用されているのを見たが、何度もエーフィがエースとなって3タテ劇場している光景が繰り広げられていた。


紫代マキノ

不定期ながら主にランクバトルの生配信をされているので、お時間のあった方は是非一度!


【S9最終391位/R2001】大怪獣ティーパーティー【性別不明統一】|生姜 (note.com)

 上位帯にいくとなぜか当たるマイナーポケモン、という話を先ほど言及したが、その中で言及した後者の天才枠であろうと思われるのが生姜さんである。
 前々期のS8はイッカネズミ&ポットデスという他に類を見ない並びで最終二桁を達成されている。今期はイッカネズミ、ポットデスに加えて、テツノコウベ、テツノイバラという通常のランクバトルではそうそうお目にかかれない、ポテンシャルはあるが使いこなすにはクセが強そうなポケモンが4体に増えて、レート2000を達成されている。
 個人的に、ポットデスは正直相手にしたくないポケモンの一体である。受けループ視点、ラキハピに悪テラスをきるか悪タイプの特殊受けの選出を強要させられるぐらいの圧がある。


【S9最終280位 レート2010】ガブミカルゲイダイトウ【ポケモンSVシングル】 - お昼ごはんはゲームです (hatenablog.com)

 ポケモンバトルデータベースをみていて、ヒナさんの構築も画期的だなと思ったのでこちらも紹介してみる。最終構築に珍しくもミカルゲと霊獣ラブトロスが入っている。軸としては、S9でBIG6とは別に猛威を振るっていたイダイトウで、ミカルゲはトリル運用する際の始動役として運用されていたようである。イダイトウには何度か当たったが、トリルイダイトウは正直当たった記憶がないものの、対面気味の構築からすればトリルイダイトウはたまったものではないだろう。特筆すべきは構築模索段階の変遷である。途中でチャーレムも採用されており、構築の軸を活かすためにあらゆる可能性が模索されていることが伺える。なお、チャーレムはミュウツーの人として巷で有名なハンマーさんが改名をかけてレート2000チャレンジの際に軸として使用されていたポケモンでもあり、運用こそとても難しいが可能性は非常に高いポケモンである。
 記事を読んでみても、課題に対してあらゆるポケモンを視野に入れて検討に検討を重ねておられることが非常に感じられる。さまざまなポケモンに対する知識の重要さが本当によくわかる記事である。なお、この型のカイリューは型を見て泡を吹きかけた。あれを初見で対処するのはおそらく非常に困難である。

【9月10日追記分】

チョッキアマガ軸カミ釣り大作戦【シーズン9 初!レート2000達成!399位】

  S9にて初めてのレート2000を達成された、ななみさんの記事である。パルデア環境にて、長くにわたりアーマーガアと共に戦われているようである。私もアーマーガアが大好きであるが、基本的に受けループに組み込んでいるのでフルアタという発想はとうの昔に忘れてしまった。似て非なるものとして、剣盾時代にじゃくてんほけんアタッカー型エアームドを一時期使っていたことがあったが、今となってはフルアタの概念は頭の中からとうに消え失せてしまっていた。
 アーマーガアといえば、サイクル構築においてはとんぼがえりで対面操作しつつ動くクッション役で使用され、受け構築においては浮いている鋼+ちょうはつ役として航空防衛を担うことが一般的に多い。サイクル構築で運用されるアーマーガアをさらに発展させ、対ハバタクカミ決戦兵器として運用されているのが、ななみさんのアーマーガアである。最早アーマードガアともいうべき、急襲用武装が施された運用がなされている。
 その他、でんじは+アイアンヘッドによる物理型運ゲ押しつけ型カイリュー、パーモットのさいきのいのりによるポケモンの再利用など、他の構築でもありそうにみえてあまりみかけないポケモンがいる点も非常に興味深い。 

【SVシングルS9 最終953位 1914】朧げハギシリサーフライド

 ポケモン対戦をしていると、たまに天才構築にあたることがあるが、ゆぽんさんもまたその一人であると思っている。タイプ統一パを使用される際は主に水タイプで戦われているだけあって、特に水タイプのポケモンのポテンシャルを引き出すことについて素晴らしい見識をお持ちであると勝手に思っている。かつて剣盾時代にジムチャレンジ企画があった際、水タイプジムリーダーとして強大な壁として立ちはだかったことが思い出される。
 前期は当初お休み期間だったはずとのことだが、ハギギシリというまず通常のランクバトルではお目にかかれないであろうポケモンを使って、トリル始動役としてうまいこと機能させ、最終3桁を取られている。構築が迷走した際に、朧気ながらハギギシリが浮かんでくる時点で最早一般人の発想ではない。日頃から様々なポケモンのおぼえる技や種族値等、質の高い研究と考察をされているからこそ為せることであり、日々研究することの大切さがよくわかる。

【SV S9使用構築】化身ランド軸対面+クッション【最終768位】

 最後に、推しポケモンのリーフィア&ブラッキーと共に高みを目指されているゆきやんさんの記事を紹介する。構築をつくる過程で、推しポケモン一体を構築に組み込まれている方はそれなりにいるだろう。私もその一人である。しかしながら、先に紹介させていただいたたんぱくしつさんや今回紹介するゆきやんさんは、推しポケモンを2体構築に組み込んだ上で戦われているという、非常にハードルの高い挑戦をされている。正直なところこの構築記事紹介の記事を書くまでは、そんな方がおられるとは想像だにしていなかったのが本音である。ポケモンには無限の可能性があるということを改めて再認識したと言わざるを得ない。
 ブイズ2体組み込み以外にも、HDアーマーガアやでんじはステロドラテサザンドラや珠化身ランドロスという、みかけそうであまりみかけないポケモンを使用されている。世間的には霊獣ランドロスが注目されがちだが、個人的にはむしろ化身ランドロスのほうが出てくるほうが本当に頭を抱える。実際使用されている型をみても選出間違えたらあまりにもやばすぎると感じた。

終わりに

 採用率上位のポケモンというのは基本的に種族値が高く型も豊富で匿名性が高く汎用性が総じて高めである。それゆえに型を読み間違えた場合の被害が甚大であったり、あるいは型が分かったところで容易に突破することが困難であったりする。なので必然的に採用率が高くなる。
 とはいえ、現状使えるポケモンや組み合わせの数は非常に多岐にわたり、検討に検討を重ねることによって、あまり注目されていなかったポケモンでも活躍の機会を見出せる新たな発見があったりするものである。あるいは温故知新とばかりに、過去に猛威を振るったがなんらかの事情で廃れたものの、リメイクすることで現代でも通用することもあったりする。

 ポケモン対戦以外でもそうであるが、道に行き詰ったときは解決策をどうしても安直に考えてしまいがちである。ただし、今回紹介した記事のように、あらゆる可能性を検討することの大切さは忘れないようにしたいものである。のっぴきならない事情や思想信条上の理由等、何らかの制約がある場合でも、あらゆる可能性を排除せず検討に検討を重ねることで、もしかすると解決策が見つかるかもしれない、そういう意識はポケモンの対戦を問わずもちたいところである。

 今回いくつかの記事を紹介させていただいたわけだが、9月13日より追加DLC第一弾が解禁され、多数にわざが解禁されて環境が激変してしまうことが大いに予想されるので、先月の構築記事もあくまで参考資料にはなってしまうだろう。とはいえ参考にできる部分がまったくないとも言い切れない。その点も留意しつつ、ランクバトルに真剣に取り組まれる方の努力が実ることを願ってやまない。

 ついでになるが、ポケモン対戦において自分なりに今まで意識していたことを別記事に書き残しているので、お暇な方はこちらも是非。
ポケモンランクバトルの際に意識していたこと|セルゲイナス (note.com)

 というわけで、構築記事を書いてみるのもいいが、紹介してみたくなる記事があったら構築記事を紹介してみるのもありなのではないか?と思って書いてみた、というお話はこれで終わり。最後になるが、記事のハートマークをぽちっとな!してもらえるとちょっとだけありがたい。

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