Digital Transformation

 年末年始にDX(Digital Transformation)について再考してみた。
DXは、マクロのPESTのT(Tech)の変化によるTransformationとすると、私がIT業界に関係しはじめた1993年から何も変わっていないことがわかる。

 今や生活の必需品であるスマホの以前は、2001年にリリースされたiPAQ PocketPCというものも有り、「ビジネス向けには」カレンダーやメールをリモートですぐに見られたりとても便利だったような体験があった。一方で、一般消費者向けにはアプリやサービスが十分でなかった事から、キャズムを越えることができなかったように思う。

 今、私達の周辺で発生しているDXとは、その時におこったことと余り変わりはない。ただ、コンシューマサイド、特に今後のマーケットとなる10〜20歳台、今時点大きなマーケットである40歳台がいわゆるDigitalを使ったモノやコトの消費をしており、お金を使う意思決定者が多様であるため、B2Cの側面でのDXは待ったなしの状況であることは間違えない。一方で、B2B(ビジネスパートナーや、社内の利害関係者向けのビジネス)は、既得権益者が年配者であることが多く、未だDXが進まないという状況である。

 ここで今の状況を俯瞰すると、「トップラインを狙う攻めのDX、コスト効率を追求する守りのDXという軸」と、「個別化で勝負するビジネス軸、プラットフォームで勝負するビジネス軸」でわけて考える必要があると思う。何故ならば、それぞれの領域でDXの意味が異なるからである。

ここで、それぞれの組み合わせについて考えてみたい。

攻めのDX×個別化

 いわゆる、社内ベンチャーやベンチャー企業が行うDX。ドメインは広くなく、意思統一や意思決定がスムースに行われアイデアと調整よりも超高速PDCAを回してサービスを作ることが成功要因。私が主にVMware立ち上げ時代にProduct Managerとして行っていた仕事。みなさんの場合だと、新しくWebサービスを立ち上げるみたいな話だろう。

守りのDX×プラットフォーム

いわゆる働き方改革。ビジネスパートナーを含めたBPRをしながら、2020年に合ったビジネスプロセスを作る。デファクトスタンダートに加えて、ペルソナを作りきる思考力と根付かせる仕組み作りが成功要因。私が主にDwangoで行っていた仕事。

攻めのDX×プラットフォーム

 いわゆるGAFAアプローチ。TOP Downで最適化されたアプローチを徹底的に実践する。ビジネス全体を俯瞰したエンタープライズアーキテクチャを作りそれを有無を言わさず落とし込める外資系的文化を持って実行できることが成功要因。私が主にMicrosoftやAWSで行っていた仕事。

守りのDX×個別化

 いわゆる過去の遺産の保持。改革をするより塩漬けにしたほうがBetterな組織や技術負債とうまく対峙する。可視化を進めることで、属人化を限り無くなくすと同時に、コストダウンとEOL(End Of Life)を計画し実行することが成功要因。私が主にKADOKAWAで現在行っている仕事の1つ。

こうやってみると、DXにも種類があり、立場によってペインポイントが異なる。現在マーケットに出ている本や記事は、その「違い」を意識できておらず、きっとそれらの本や記事を読まれても、「そうだよね」で終わってしまっている可能性が高い。

上記4つのパターンで共通な事異なる事を整理し、日本全国にいるDXで悩んでいる方々に何かを提供していきたいと考えている。

また、私のネタはiU(情報経営イノベーション専門職大学)の准教授という立場で、2020年4月より学生を始めとする学びたい方々へ情報提供していく計画である。

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