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働き手予備軍不足。それを解消する可処分時間が生まれにくい理由

4月7日の日経新聞で、働き手予備軍不足が記事になっている。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79852220W4A400C2EA2000/

いままで、女性の社会進出、定年延長によるベテランの活躍などにより、働き手枯渇の課題に対応をしてきた。
しかし、それもいよいよ限界に近づき、スマートワーク、その本質は可処分時間の創出について本格的に取り組む必要が出て来た。

可処分時間の創出の意義

日常生活において、自分が必要な情報を得ることが10年前に比べてかなり容易にできるようになっている。その結果、C2C、つまり人と人がつながって消費をするという事がやりやすくなっている。わかりやすくいうと、農家が直接個人に野菜や果物を売るような感じである。以前からあるヤフオクやメルカリもそのような場である。
また、SNSを通じてボランティアや社会貢献をしたりすることもその効果の1つである。自分も個人事業主として、仕事を頂くのはB2Cというより、C2Cのように個人のつながりで仕事の依頼を受けることが多い。

それはつまり、企業という組織ではなく、その外の方が色々な情報をとりやすくなり、風通しが良くなり始めていると言うことである。
言い方を変えると、企業という組織の中の方が、組織の壁があり風通しが良くないということが頻繁に発生するということが近年さらに根深い課題となっている。

何故C2C的に人がつながるか?それは、その方がタイパやコスパが良いからである。C2Cには信頼貯金が必要であり、双方での信頼貯金のバロメーターである評価等を通じて信頼をしあってモノやサービスを交換している。
今までは、企業というブランドを通じて、信頼貯金を確認しながら企業を通じて取引をしていたが、今はむしろ企業という組織のほうが信頼できないケースも出て来ているため、C2Cの方が良いという可能性が出て来ている。

C2Cの方がコスパが良い理由はシンプルで、企業内のコミュニケーション&コラボレーションコストが高止まりしている事に起因する。
つまり、仕事をしている時間の可処分時間を浪費せざるを得ない状況になっているわけである。

可処分時間を生み出しにくい要因

例えば、個人スマホやPCをサクサク日常的に使っている人が、会社のPCやスマホが使いにくくても我慢していることが、社内の生産性を下げている最大の要因になっている。よく、会議を改善しようとその枠組を変えようとしている企業や組織が多いが、それより先に、PCやスマホ、インターネット回線やセキュリティの考え方をUpdateし、それを前提とした上で、会議のやりかたを変える必要がある。
何故ならば、会議のやり方をオンラインを活用したものに変えても、オンラインで必要なデバイスやツールがしょぼいと、むしろ生産性がさがるので意味の無い取り組みになってしまう。
つまり、むしろ可処分時間を減らしてしまうことになる。
また、つくった枠組が短期的視野で作られてしまうと、2年後にあー、あの時そうすれば良かったなー とぼやくことになる。

具体的には、よかれと思い、クラウドドライブを新しく導入したが、そもそもMS オフィスのファイルを使わない業務のほうがよかったことに気付き、ガイドラインが甘いままにクラウドドライブを全社導入した事が会社の大きな負債になってしまうという事などである。

可処分時間創出の方法

まず、ペルソナベースでユースケースを一度棚卸しすることである。
ペルソナを職種で洗い出すのでは無く、人生のステージやワークスタイルをベースにつくることが重要である。
職種でユースケースをつくると、時に粗すぎたり、細かすぎたりして整理できなくなるのがオチである。

次に、非同期コミュニケーションを設計する。非同期コミュニケーションとはWikiやChat、文書などで情報を交換することである。
人は同期コミュニケーションをすることが得意であり楽しく感じることが多い。しかし、30人を超える大人数の報告会などは、楽しく感じないひとときではないだろうか。意見も言えず、聞いているだけ。おそらくこれを何度も繰り返し続けると人はどんどん受け身になっていく。自律性が失われて行く可能性が高い。そのうちその同期コミュニケーションの時間は我慢をする時間として考えるようになり、可処分時間に対する意識が低くなっていく可能性が高い。

非同期コミュニケーションを設計する際は、権限委譲のやりかたが重要である。任せたことには可能な限り口を出さないことである。
同期コミュニケーションの場合、聞くだけのつもりがついつい口を出してしまいそうになる。非同期コミュニケーションであれば、読めば済む。知りたい場所について、コメントなどで正確に聞くことができる。

最後に同期コミュニケーションを整理し、質を高める。
具体的には、非同期で行うと効率が良くないところ、例えばまだつまっていないビジネスモデルを爆速で議論するような場合は、対面のほうが良い場合がある。もちろんオンラインホワイトボードを使ってリモートでもできるが、対面の方がコスパが良いことが多い。
相手の表情を見ながら議論をすることで、一歩踏み込んで会話をすることも可能になるため、チームや個人のリスク許容度を超えるか超えないかくらいの議論をするときには、対面が良いと思う。

非同期コミュニケーションと同期コミュニケーションが整理できると会議の設計がしやすくなる。同期コミュニケーションづくしの組織や会社の場合、多くの人が毎日会議や、その調整をしている可能性が高い。一方で、非同期コミュニケーションを考えた上で、同期コミュニケーションが整理されていると、自由にスケジュールを組みやすくなる。
自分の場合は、非同期コミュニケーションをよくするために、1日/Weekは自分が必要と考えた資料や情報整理をする時間に充てている。

創出した可処分時間の使い方

では創出した可処分時間をどのように使えば良いのだろうか。
ただ可処分時間を作っただけだと意味がない。良い人生を送るには時間の使い方が重要であるといわれるように、できた可処分時間を有効に使いたい。
例)
・リスキリング:勉強したり、体験したりして 知見を高める
・メンタルUp:趣味や娯楽を行い、メンタル面でリカバリする
・子育てや教育:自分の家族や、後輩などを含めて、育てる時間をつくる
・介護や支援:両親を中心とした、フィジカルやメンタル面で支援が必要な人を助ける
・フィジカルUp:筋トレやランニング、自分が好きなスポーツをしたり、単純に休息をとることも重要
その上で、、、、
・今までやりたかった仕事に着手:企業としてはここにもTryしてほしい

つまり、人的資本経営を行う≒ペルソナベースで可処分時間を生み出す取り組みを行うということである。
その結果、「企業のミッション、ビジョン、バリューが浸透している」企業にいる従業員は、結果的に仕事の生産性を高めてくれ、本問題について解決する方向に向かっていくと私は考えている。

Next Action 絵に描いた餅を止めて情シス改革へ着手

できる人を取り合って、採用できたとしてもその人が活躍する場をつくれずムダに浪費をしている企業が多数ある。このムダはやめたい。
まずは、自分達の組織の可処分時間問題を解決するとTOPが意思決定をし、その意思決定をしたならば、100%コミットをしてやり続けるメッセージを発信していって欲しい、絵に描いた餅にならないように。
多くの場合、情報システム部がボトルネックになっている可能性が高いので、情シス改革が本件の最初のチャレンジになると自分は思う。自分はずっとかってきたが、できない企業が未だ沢山ある。
さて、皆さんの会社はいかが?

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