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利益が出てるのに現金がない?損益と現金増減の違い Part2

こんにちは。SKPです。
前回『損益≠資金増減』の要因として「損益の認識の違い」と「期間対応」について記載しましたが、今回はその続きとしてその他の要因を紹介します。(前回の記事はこちら↓)

設備投資

『設備投資』という単語はよく耳にすると思います。簡単に言ってしまえば会社の「建物・車・機械」などに対する投資(支出)です。

では設備投資をした時の経費はどうなるか。仮に1億円の自社ビルを建設した場合、極端に言えば購入時の【経費額は0円】です。つまり設備投資の支出そのものは単純には会社の損益に影響を与えないのです。

それは何故かというと、1億円の自社ビルはPL(損益計算書)ではなく、BS(貸借対照表)の中の【建物:有形固定資産】に該当し、会社の資産として認識されるためです。

では「設備投資は経費にならないのか」というとそういうわけではありません。少し蛇足になりますが、その認識について紹介します。

① 経年劣化
建物や機械・車は使えば使うほど、年が経つほど劣化をしていきます。1億円の自社ビルが20年後も1億円の価値があるかというとそういうわけではありません。その劣化部分を経費とする考え方

② 期間配分
自社ビルは1年間で使い切るものではありません。何年も何十年も会社に貢献していきます。その使える期間(耐用年数)に経費を配分するという考え方

①・②それぞれの考え方により、1億円の自社ビルという資産は数年をかけて経費へと取り崩されていきます。この会計処理・経費のことを【減価償却・減価償却費】といいます。

※ 土地について
土地は持っている限り半永久的に使えますし、土地そのものは経年で価値が劣化しません(時勢の影響は受けますが)。そのため土地は減価償却の対象にはならず、費用とはなりません。

非資金費用

このようなことから設備投資でも損益と現金収支(CF)との認識でもズレが生じます。特に設備投資を行った年は、購入代金が大きくなるため【現金支出額 > 経費認識額】となりますので「利益が出ている割に現金が少ない」ということになりやすくなります。

また先ほど記載した【減価償却費】という経費は、既にお金を支払っている資産の取崩しですから、経費といっても以前の事業年度で購入した資産に対する減価償却費は、現在の期で実際の現金支出はありません(このように支出を伴わない経費のことを【非資金費用】といいます)。

キャプチャ

この非資金費用が多い。つまり過去に設備投資を行っていて、それをうまく活用して事業を行っている時期は「利益が少ない割に現金が多い」という状況になりやすくなります。

補助金などの申請書類や事業計画書などで『利益+減価償却費』の数値を記載することがよくありますが、「損益ベースで現金がいくら増えた・減った」かを簡易的に計算していると思ってください。

借入金

すべての資金を自社でまかなえればいいのですが、大規模な投資を行おうとする場合や新規開業をする場合など、自己資金では資金が足りないということは一般的によくある話です。

そうなると【銀行からの融資(借金)】で資金をまかなうのですが、この借りた金額・元金を返す金額については当然会社の損益に含まれません(借りたお金の入金が売上という収益になってはおかしいですよね)。

そのため、お金を借りた時は売上・利益とは関係なく現金は増加しますし、借りたお金を返す時は売上・利益とは関係なく現金は減少します。

損益と現金収支の認識のズレで一番一般的且つ影響が大きいのがこの借入金の部分になります。

会社は利益が出ると「法人税等の税金」を支払います。借入金の返済は損益に関係ありませんから、通常の営業活動をし【税金を支払った後の現金から返済資金】を捻出しなければなりません。

先ほどの非資金費用を含めて考えれば、会社の「税引後利益+減価償却費」が借入金の元金返済額よりも小さいと【現金収支はマイナスになっていく】ということになります。


こういった諸々の認識違いがあり「損益≠資金増減」となるのです。通常の損益だけでなく、資金増減ベースでの損益分岐を考える際には必要となる知識ですので、知っていただければ幸いです。

なお、この「損益≠資金増減」の要因をまとめたものが『キャッシュフロー計算書』となります。キャッシュフロー、つまり現金の動きは誤魔化しが効かない部分です。このキャッシュフロー計算書の見方もまた紹介させていただきます。


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