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昔の保険はお宝保険? 生命保険料の決まる仕組み
こんにちは。SKPです。
「昔の保険はお宝保険~…」なんて言ったりします。聞いたことはないでしょうか?
生命保険などの保険商品も、一般的な商品と同じく、常に見直され、その時々のニーズにあったものが各保険会社から販売されています。
昔の保険は、保障が限定的であったり、不足していたりと見直しの必要が多い場合が見受けられます。テレビなどのCMでも『見直しが必要!』と、良く言っています。
しかし、こと「貯蓄・運用性」という面では昔の保険の方が良い場合が多くあります。これが「お宝保険」と呼ばれる理由です。これは保険の仕組みそのものが関係しています。
保険料はどのように決まるのか
まず保険会社の収入と支出の関係は「収支相等の原則」と言って次のようになっています。
保険金(支出)× 死亡者数 = 保険料(収入) × 契約者数
この中の「保険料=保険会社から見た時の収入」を決めるために、次のものを予測し設定しています。
1.予定利率 (運用利回り/保険契約者に約束する運用利率 )
2.予定死亡率 (性別・年齢別の死亡割合)
3.予定事業費率 (保険会社の経費の割合)
この3つの率を「予定基礎率」と呼び、原則的に保険に加入してから保険期間中に変更されることはありません。
1.予定利率から算出される保険料を『貯蓄保険料』、2.予定死亡率から算出される保険料を『死亡保険料』、3.予定事業費率から算出される保険料を『付加保険料』といい、これが「保険料を構成する3要素」となります。
構成要素のバランスや算定は、保険会社や保険商品により異なります。例えば「予定死亡率」ですが、仮に「40歳男性の予定死亡率は0.001」であれば「1年間に40歳男性が1000人中1人が死亡することを見込む」という意味になります。
この時、予定死亡率を0.002と増やして設定すれば、40歳で亡くなる人の想定数が増える。つまり死亡保険金の支払いが増える。ということで『死亡保険』の保険料は高くなります。
貯蓄・運用で大切なのは【予定利率】
この中で「貯蓄性」について大切なのは「予定利率」です。「予定利率」は、保険会社が資産運用によって得られる利益を見込んだ数字です。
保険は一般的に長期間の契約となります。保険会社は、その期間中に受け取った保険料を「預金や公社債」などで運用し資金を増やします。
つまり将来の保険金の財源を「運用で増えると見越した分だけ割り引いて」おくことができます。
その割り引く利率を「予定利率」といい、「予定利率」を高く設定すれば、運用効率がいい=割引が効く分、保険料は下がります。逆に「予定利率」を低く設定すれば、運用効率が悪い=割引が少ないため、保険料が高くなります。
この「予定利率」は、実際の運用結果ではなく、あくまでも「運用で増えると見越している利率」です。つまり、保険会社がどれくらいの利率で運用できそうか、を表していると言えます。
何故昔の保険がお宝なのか?
保険に加入する側からしたら「予定利率の高い」保険の方がお得です。そのため保険の契約件数を増やしたい保険会社は「予定利率」を高く設定する傾向にあります。
しかし、本来できもしない予定利率。つまり「過度な運用率」を設定すると、その運用率を満たさなかった時、保険会社そのものの運営に支障をきたすことになります。
そうならないように、金融庁が「予定利率」の目安を定めています。それが【標準利率】です。通常、各保険会社の予定利率は、この標準利率に少し上乗せしたものが設定されています。
では標準利率は今どうなのか、というと、1990年以降、標準利率は以下のように徐々に下げられていっています。
つまり、昔の方が単純に考えて「予定利率」が良いのです。これが「昔の保険はお宝保険」という最たる理由です。
逆に言ってしまえば、以前と比較すると保険の運用率そのものは著しく悪くなっている、ということです。
こういうことを言い出すと、『そもそも保険で、貯蓄・運用を目的とするのが適切なのか…?』ということにもなりますが…。
新しい商品ができたり、昔の保険にしか入っていなかったりすると『旧保険』は見直しの対象となることが多いです。
しかし、こと「貯蓄性」に目を向けた時、それは本当に解約していいのか。運用が今と比べて有利ならば、それを活かした見直しができないのか。といった視点からも「保険の見直し」を考えてみてください。
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