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事業計画の作り方 ~Part2 利益と売上高~

こんにちは。SKPです。
前回、事業計画を作るベースとなる「状況把握」と「経費予測」について記載しました。今回はそれの続きとなります。

経費の予測ができたら、次は「売上」へと移っていきます。売上の「事業計画の作り方」の方法はいくつもありますが、今回は『利益から売上を考える』方法をご紹介していきます。

なお、前回の手順で作成した「来期経費予測」がある前提の記事となります。

3.見込み・希望する「利益額」を考える

事業を行う上で、「利益」はとても大切なものです。利益がなければ新たな「投資」が行えませんし、ずっと赤字続きだと倒産してしまうかもしれません。

そのため『来期はいくらの利益が欲しいのか』を一度考えてみましょう。ここでは最終的な手残り、つまり「税引後当期純利益」で考えるのが良いでしょう。

借入金(借金)があり、その返済がある場合、この「税引後当期純利益」よりも「年間の借入金返済額」の方が多ければ、返済額が稼げていないので、現預金は減っていく一方となります。そのためまずは最低限「年間の借入金返済額」を『希望する利益』としておく方が無難です。

『希望する利益』金額が決まったら、ここから「この利益を得るために必要な売上高」を逆算していきます。計算方法はCVP分析で使った方法です。

計算の具体例な方法を見ていきましょう。なお、便宜上、実効税率(法人税率)は30%としています。簡易的に計算する場合、この30%が目安となります。

① 税引後当期純利益の金額を決める(例:210万円)

② 税引前当期純利益の金額を計算する(①の利益 ÷ (1-実効税率))
  例: 210万円 ÷(1-30%)= 300万円

③ ②に「来期経費予測」の年間経費額(例:1000万円)を足す
  例:300万円 + 1000万円 =1300万円

④ ③を貢献利益率(1-(原価率+販管変動費の対売上比率))で割戻す
  例:原価率55%、販管変動費の売上比率5%の場合、貢献利益率は40%
   1300万円 ÷ 貢献利益率 40% = 3250万円

④で求めた金額(3250万円)が、『希望する利益を得るために必要な年間売上高』となります。

④に書いてある「販管変動費の対売上比率」は、前回「1.状況把握 確認項目4」で控えていた比率です。売上に応じて変わる経費のため「2.経費予測」の時には計算から外していたものをここで考慮します。

原価率は「直近2年間の平均値」や「今後の見込み」を使うのが良いです。ここで大切なのは「原価率に希望を入れすぎないこと」です。原価率が変われば計算結果が大きく変わりますが、「見込みのない低い原価率」は計画を狂わせる元になるので、現実的な原価率で計算しましょう。

4.仮の損益計画をまとめる

『希望する利益を得るために必要な年間売上高』が計算出来たら、一度仮の損益計画として数値をまとめます。そのために先ほど計算した『売上高』を作成している「来期経費予測」Excel・CSVに落とし込みます。

今は年単位で売上高を計算していますので、月単位に落とし込む時、売上の季節変動がある場合は「前年・前々年」の推移を見ながら調整しましょう。月単位で特に大きく違わない場合は、年間額の平均値をそのまま月売上にしても良いです。

さらに、先ほど「3.④」で用いた「原価率・販管変動費の対売上比率」を「来期経費予測」に反映させます。該当するセルに、

・原価の欄   :月間売上高 × 原価率
・販管変動費の欄:月間売上高 × 対売上比率

の数式を入れるのが最も簡単だと思います。「売上・原価率が変わった場合どうなるのか」を後で見れるように、『原価率』を別のセルとして、セル参照で数式を組んだ方が便利です。

最後に、「年間の税引前当期純利益」×実効税率(30%)を『法人税等』として、税金を計算しましょう。

これも『税引前当期純利益 × 実効税率』の数式としておくことをお勧めします。なお、この『法人税等』の数値を入れるのは「月別」ではなく「年間合計」の行だけで構いません。

これで「損益」の項目が埋まり、『仮の損益計画』が完成します。


今回までで作成したのはあくまでも「仮の」損益計画となります。これを『現実的・実行可能』な計画としていくためのブラッシュアップの方法を次回ご紹介します。


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