恋人が好きだけど。

恋人のことを必要以上に想うのは、疲れる。なんというか、依存しすぎているというか。脳みその中で恋人が占める割合が増えすぎるのが嫌なのだ。

今私は恋人と遠距離だから、まだマシなのかも知れない。けれど、会うと、ひどく相手のことを考えて、特に別れ際、寂しくなってしまう。

最近、恋人との距離感を見直すべきだな、と思い始めてきた。というか、恋人への接し方を見直そうと思った。恋人も私も、本来は受け身で、奥手で、こだわりが強い。関係を深めることができたのは、主に私が、勇気を出したからだ。

お付き合いする前、デートの口実を作ったり、相手が行きやすい場所、相手が好きそうな場所を指定したりして、少しずつ距離を縮めた。今でも、私から、そういった行動を取っているが、それが苦痛になってきた。

前までは、恋人の好きな場所、そうでない場所を知れるのが嬉しかった。けれど、恋人は自分の行きたいところを提案するというより、私の提案にYES・NOの反応を示して、「もうちょっとこんなところがいい」とコメントをする感じだ。

初めは気にならなかった。けれども今は、「私は恋人の旅行コンシェルジュなのかしら」と、あまりいい気はしなくなった。

それでも不満を言えずにいるのは、恋人が何から何まで、お支払いをしてくれようとするからである。シンプルにありがたいし、助かる。

けれど、恋人と会うのは主に私の住まいのエリアで、そこまで来るのに既に新幹線代がかかっている。ご実家への帰省費用でもあるが、それでも、なんだかフェアな感じがしない。

なんとか、ランチの後のカフェ代は私に支払わせてもらっているが、美術展の観覧料など、油断してると、全部支払ってもらってしまっている。

現金払いのお店では、恋人が財布の中を漁っている間に自分の分を出せるが、最近恋人はカードを使い出した。サクサクお支払いしてしまう。ありがたいが、気を使う。

なんというか、恋人も、好意でお支払いしているのか、私が支払うのは好きではないのか、まあ前者な気はする。

私が隙あらばお支払いしようとしていることは伝わっているようで、美術展の観覧料も、最近では事前にオンラインチケットを押さえてくれるようになった。ありがたいが、「油断していた…！」といつも思う。

恋人と私の求める愛情表現、相手にしたい愛情表現にほんのりズレが見えてきた。わかっているのだ、話し合うしかないことは。勇気はいるけれど、様子を見て、切り出そうと思う。