芸能業界のリデザイン

いわゆる大企業のスタートアッププロジェクトで、
芸能業界をターゲットとした新規事業を半年間の間詰めていました。
後述で大企業におけるスタートアップの難しさは書き留めておきますが、
今回は芸能業界のリデザインの必要性を感じたので記しておきます。

1.メディアの変化

 今までも、そして今でもマスメディアの力は広告媒体(広告指数)としては
 絶大を誇りますが、ネット媒体が加速的に影響力を増してきて分散化され
   てきています。時代の変化によって廃れることもなく、多様な媒体が
 今ではウェブマーケティングする際の一つの広告手段の一つとして
 君臨しています。
 最近では、若年層のマーケティングとして頭を抱えていた企業からすると
 TIKTOKのようなメディアは強いですね。若年層のアプローチにはもって
 こいです。
 youtubeは万能型でありますが、showroomや17LIVEなんかはニッチです。
 showroomが広告(タレントの活動支援費※推測)により、企業単体では
 債務超過であるように、ユーザーが来なければ成り立たない
 ように維持し続けるのはかなりライブ配信PFとしては大変ですね。
 ※特にライブ配信の都合=ユーザーの来る'都合'が直結しますからねぇ。。

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2.タレント活動の変化

 次にタレント活動はどう変化してきたのか。メディアが変化してきたと
 同時にタレントの活動自体がどう変化してきたのかと。
 複数の活動しているタレントに実際に話を聞いてみました。
 (自分がタレント活動をしているわけでもないため聞くのが一番!)
 
一部を抜粋して載せます。

|お笑い芸人さん
 「お笑いで儲けたい。別のことで儲けたくない」
 「劇場に“お笑い”を見に来てほしい
 「業界人の評価が大事。業界への営業が必要で大変」
|アイドルさん
 「ライブに来てほしいのが一番」
 「SHOWROOMは私達の戦うフィールドではない」
 「顔ファンはいらない。アーティスとしてのファンになってほしい」
|声優さん
 「自分より人気のある人と絡んでいくことでフォロワーは増やせるけど、
  媚びてまでフォロワーを増やしたくない」
 「チケット販促のためにライブ配信してる」
|モデルさん
投げ銭されるのでファンの人の言う通りにやらないといけない。
 投げ銭はお金で操作されている感じが嫌だ」
「インスタライブはお金が発生しないから平和
|俳優さん
「発信しなきゃと思うけどYouTuberみたいな企画は大変だなって…」

タレントといってもジャンルによって考え方が全然違かったのが印象的でした。
投げ銭ビジネスはメディアが持ち上げているものの、実際本筋のタレント達にはそこまで響いてなかったようにも受け取れる。
メディアが多様化したとはいえ、タレント自身の目的を大事にしていました。そのための手段(媒体含)が増えたにすぎないと捉えている様子。
あとは、Youtuberやユーザー投稿型で人気を集め、タレントとして
活動するようになった人たちを別軸でみているのかもしれない。
SNS発信で有名になった人たちは、まさか自分がタレントになるなんて思ってもいなかった、つまり、目指しているわけではない人が一気に他のタレントを差し置いて人気になれる可能性がある時代に対して一線を引いているのだろうか。

3.芸能業界の現状

 次に芸能業界の変化といいたいところですが、
 芸能業界の構造は特に業界変革を迎えていないのが実態。

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・ギャラの中抜きの不透明さ
・マネージャー次第で下につくタレントの運命が決まる
・マネージャー1人につき、駆け出しタレント数十人(数百人)
・仕事の斡旋(オーディションの情報など含)が人脈で形成
・事務所の力で露出先、仕事候補がかなり左右される
・事務所のゴリ押しタレントの力強さ。

圧倒的な人脈による社会構造

干されたらメディアになかなか自力で出れないのも、
 暗黙のルールも、枕営業も、事務所詐欺が多発しているのも、
 芸能業界における構造自体がそういう闇を生む構造なのかもしれない
事務所ガチャ

インタビューしたタレントの中には、事務所をやめて、
フリーで活動している人もいらっしゃいました。
ある程度知名度が出てきて、発信力が高まれば個人で
頑張り次第で仕事も獲得できるようになってきたということです。
とはいえ、信頼性が個人事業主だと担保が難しいので
ギャラなしでもまずは出演、仕事を受けまくって実績を残したとのこと。

個人の影響力で勝負ができるからこそ、事務所の弊害を理解し
新しいチャレンジをし始めていく人も少なくないですね。

4.キャスティングの現状

 次にキャスティングの現状です。
 ここも相変わらず昔ながらのアナログな状態でした。人力満載。

・事務所との調整は、言い値になっている。
・知名度以外の要素で探す際は人力。タレントのSNSの活動ログをひたすら
 目視チェック
・キャスティングしてみたら全然ダメだった経験多数
 xx得意!xx好き!でキャストしたら全然そうでもなかった。
・キャスティングも割とコネ

言い値市場なのは、正直企業人からしてみると、見積もりの根拠がまるでな
いので、もはや異次元さを感じますね。
※キャスティング先が媒体が強ければ媒体に乗るだけで事務所側がそのタレントの広告指数が上がるので、低価格で最初は値をつけられる。
シリーズならもってこい!

キャスティングされる=タレントの夢かもしれない のにコネが多い。
需要(企業)と供給(タレント)の間に見える大きな溝。

企業人はタレント知識がないので、表面上なことしか分からない。
なので、キャスティング会社、もしくはオーガナイザーに勧められたら割と採用してしまう実態。

言い値もそうだが、タレントのタレントとしての能力、特徴を
チェックするのがひたすら目視なのも全然デジタル化されてないと感じた。

5.芸能業界のリデザイン

 さてさて、芸能業界のリデザインはもはや必須なのだと思う。
 
 社会的な問題
 ・闇営業
 ・事務所詐欺、オークション詐欺
 ・高額なレッスン費。所属費。

 果たして、事務所はいるのだろうか?
 芸能業界のドンほど影響力をもたらすものはない状態。
 まぁ誰もが憧れる立場であるけど、裏返せば理不尽極まりない。

 一人一人がタレント。一人一人がプロデューサー。
 世の中の体制は整っている気がする。

・タレントとしての仕事が正しくマッチングできるサービス
 (需要と供給のマッチング)
・タレントが個人事業主として活動できる支援サービス
 (財務会計など含)
・タレントの能力/個性/評価が確認できるDB構造とフロントのサービス
 (キャスティングの標準化、タレント理解)
 (転職の際にあなたの年収はxx円!などのようなタレント版の価値測定)

いろんなサービスが考えられる。
ファンベースが重要視され、ファンコミュニティサービスも増えてきた。
ただ、なかなか横断的に全てがつながりをもたらす一つのPFは出てきていない。

芸能業界のデジタル化をもたらす新規事業を知名度のある大企業があえて
やるべきだと思うし、やらねばならないことでもある。