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Participatory Planning in Espoo

この間、エスポー市の市民参加イベントに参加してきた!
これはOur Espoo 20X0という、エスポー市の市民を巻き込んで将来のエスポー市について考えよう、という15回シリーズのイベントのうちの1つ。
今回は思ったより参加してる人は少なかったけど、他のイベントと違わず、図書館のオープンスペースで音楽のパフォーマンスとかも交えながらのリラックスした雰囲気でした。

イベントの案内が英語だったから何も疑わずに行ったのだけど、参加してみたらまさかのフィンランド語オンリー!( ゚д゚)というわけで、残念ながら参加している市民からどんな意見が出されているのかを知ることは全然できませんでした…。が、ブースにいるエスポー市の方と直接話すことができました!

個人的には日本で「住民説明会」とか「住民懇談会」っていうと、道路建設反対とか建物撤去反対とか、殺伐とした雰囲気で住民が具体的な建設物を巡って反対する場所っていうイメージだったんだけど、今日参加したイベントはかなりオープンで、もっとニュートラルに意見を交わせる場所なのかなと思った(あとで聞いたら、実際には結構文句言われることが多いらしけど())。
ただエスポー市の方が言うには今の住民参加でもまだ不十分だと考えているらしい。理想を言えば、まず1番最初に住民の意見を聞いてそれをベースにシティプランを作るべきなのに、実際にはそれをすると意見を集約するのが大変で非現実的だから、市がたたき台を作ってそれに対して意見を集める形にせざるを得ないのだそう。
私からすると、こうやってオープンな場所で市民がシティプランに意見を言える機会があるだけでもすごいなと思うのだけど、言われてみればそれもそうだな、とも思い、実際に市民参加を有意義な形で実現するって難しいなあと改めて思いました。

それからエスポーはエリアごとにかなり詳細な都市計画の資料を公開していてすごいな、と思っていたのだけど、それは誰でも情報にアクセスできるようにすることで市民にも参加してもらえるようにすることが目的らしく、それをオンラインで誰が見ることができるという前提が存在していること、その上できちんと情報公開がされているところはさすが進んでいるなあと思う。一方で資料自体は都市計画の前提知識がないとなかなか直感的にはわからないだろうなと思う部分もあって、実際そこはまだ行き届いていない部分だとも言っていたけれど。

ところで、今回の会場はEspoo Keskusという場所だったのだけど、ここに来るときMatinkyläというメトロの駅でバスに乗り換えてきました。Matinkyuläは巨大なショッピングモールと直結している駅で、駅周りにもそこそこ大きな建物が立ち並んでいる場所。そこから少し進むと、急に車窓からの景色が森に一変することに気づきます。そしてEspoo Keskusが近づいてくると再び建物が密集するエリアへ。
飛行機から地上を見落としていると、ずっと山だった場所から平野に出たら急に都市が現れたりするじゃん?あれの小さいバージョンみたいなイメージ。

MatinkyuläからEspoo Keskusに移動する途中、
バスでEspoopuisto(エスポー中央公園)のど真ん中を抜ける。
エスポー中央公園を抜けているときの車窓からの眺め。

エスポー市は人口がこれからどんどん増えていくことが見込まれている地域で開発進行中のエリア。でも自然を残すことも一つの軸として据えていて、そのためになるべく開発するエリアの密度を高める(Densification)よう考慮されているのだそう。これはちゃんと確認したわけではないから推測も入り交じるけど、エスポーのもう少し北(内陸)に行くとヌークシオ国立公園という自然保護地区があって、このエスポー中央公園は海とヌークシオをつなぐことで生態系を守るのにとても大事の役割を果たしているのだと思う。個人的には、ただデコレーションのように街路樹を植えたり屋上を緑化したりする緑化はあまり本質的だと思っていなくて、こうやって元々ある生態系が人間と共存できるような環境を作ることが都市緑地の意味の一つだと思っているので、それが少なくとも今の段階ではきちんと考慮されているのがさすがだなと思う。
「今の段階では」と書いたのは、東京都の都市緑化を研究していると、それはまさに戦後の東京が失敗した部分だなと思うから。戦後の東京は開発するエリアを制限することで緑地を残そうとしていたのに、結局あまりに急激な人口流入に耐えられなくて無秩序に開発エリアが広がっていっちゃったと言われているので。
フィンランドは今まさに都市に人口がどんどん集中する時期に来ていて、エスポーもそれに対応してどんどん住宅を増やす方向だから、どうやってDensificationとそれによる緑地との共存を実現していくのか今後を見守るのがとても楽しみだなと思う!

これまではヘルシンキばかり見ていたけど、なんだかエスポー、知れば知るほどめちゃくちゃ面白い!キャンパスや寮がエスポーにあることもあって授業でも結構エスポーの事例は取り上げられるので、これからもっと注意深く見ていきたいなと思います。

■参考までに、イベントとエスポーの情報公開のページを貼っておきます。
2つ目の地図のページは、紫の枠をクリックするとそのエリアの詳細なプランが閲覧できます(フィンランド語のみの部分あり)。

(2023.3.31追記)
今東京都の緑化について調べていて、東京都多様性地域戦略のページに行き当たったんだけど、そこが「東京の将来」に関する意見募集というのをやっていたみたい。これをたたき台に戦略が作られるようで、まさにエスポーの人が難しいって言ったことを東京はやってるんじゃないか!?って気がしました。

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ちなみに、帰り道の車窓からの眺め。雪のせいでバスの窓が汚くて何も見えない。

こういうアート作品ありそう。

読んでくれてありがとう!Kiitos!

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