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ドロップアウト

俺は自己紹介でも話したとおり、
人生のほとんどが茨の道だった。

学校時代どころか、
三十路になっても、裏切りや逆恨みにあった。

そのおかげか、
いつも人からの評価が気になっていた。

それはリターンカメラマンになっても変わらなかった。

α77を手にしてから本格的に写真を勉強したが、
その時のお財布事情は火の車、
実家の住宅ローンを抱え、
稼げるはずのトラック運転手も
運賃の暴落で下手したら東京のアルバイトの方が高いくらいの
給料しか貰えず、
そんな中、ローン組んだ時に作ったクレジットで買ったから、
セミナーとかに出席する金も時間もなかったので、
ネットで情報をあさり、ソーシャルサイトで写真を見まくって
必死に勉強した。

そのおかげで、なんとか人並みくらいには
撮れるまでにはなった。

んで、気になったコンテストや写真展に
腕試しのつもりで出してみたものの・・・

結果は、佳作1点のみ。

下手したら、一次審査で落選ばかり。
ホント、一回戦ボーイならぬ一次審査ボーイとなっていた。

そして、とあるコンテストに出したとき、
参加賞として、入選作のカレンダーがプレゼントされたので、
じっくり見て何がいけなかったのか、研究してみた。

でも、納得がいかなかった。

カレンダーに掲載されていた入選作が、
どれも自分にとっては普通だった。
「え?なんでこれが??」ばかりだった。

他のコンテストの入選作も、
自分より素敵だと思った作品はごくわずかだった。

その時期に、Twitterだったかで
ある人が呟いた一言でようやく納得がいった。

「コンテストは、選者に気に入ってもらえるかどうか。」

結構衝撃的な内容だった。

コンテストって、公平な審査をしてくれると思っていた。
でも違った。
どんなにテーマに添って自分のイメージした写真を出しても、
選者に気に入って貰えなければ落選する。
要は選者の美的センスに委ねられていたのだ。

これにショックを受けた俺は、
コンテスト写真からドロップアウトした。

その他にも、
様々な写真投稿サイトに写真を出したが、
反応はイマイチ。
熱心に見てくれる人もいたのだが、
いつしか投稿サイトからもドロップアウトした。

そして今は、Twitter一本、
投稿サイトは閲覧専門になった。
海外の写真家があげる作品は
今でも勉強になるからだ。

ただ、今でも羽振りの悪さは変わっていない。
様々な支払いに追われ、
給料も下げ止まり。
巷では昨今のコロナ禍の影響で
写真ビジネスもオンライン。
オンラインセミナーが盛んで
高橋シンヤさんとかが音頭を取って、
ものすごい規模のセミナーを開催しちゃう時代。
しかし、俺には
そのようなセミナーに出席する資金力すらない。

結局、時代の流れからもドロップアウトせざるを得なかった。

よく、孤高の一匹狼なんてカッコ良く言いそうだが、
そんなカッコイイもんじゃない。
ドラクエに例えるならば、そう、「はぐれメタル」だ。
いきなり一匹で現れて、サクサク倒される存在だ。

これからも俺は、
フォトグラファーにも写真家にもなれず、
時代にも取り残され
ただただ倒される存在のはぐれメタルとして、
写真の世界を独り放浪することになるだろう。

でも、ドロップアウトせざるを得なかった自分のせいだから
仕方ないと言えば仕方ないのだ。

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底辺の雑魚キャラの背中でも見て、笑うがいいさ。

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