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思い出話22 ちょっと不快なお礼状(841文字)

以前、幼稚園の子どもたちの写真を撮るアルバイトをしたときの話しです。

私はある事務所で働いていたのだが、その事務所の兄弟会社とでもいう会社があり、その会社は幼稚園など幼児の音楽教育をしているところでした。

あるとき、私の趣味が写真撮影ということを知ったその会社の経営者から、園児たちの写真を撮ってほしいという打診があり、私は了承しました。

以来、音楽発表会とかサマーキャンプとか、色々な行事があるたびに、私は臨時のアルバイトとして撮影をやらせていただきました。

ある日、八王子の会場での音楽発表会に出かけました。

朝早く、家から二時間以上かけて、八王子の会場に出かけた私は、若くて明るく綺麗な先生の教室の発表会でもあるから、何としてでも良い写真を撮ってあげたいという気持ちが強かった。

でも、撮影は神経を集中するから結構疲れるし、子どもたちの活き活きした良い写真を撮るというのもそう簡単ではない。

当時はデジカメではなく、フィルムカメラなので、出来上がりが直ぐにはわからないという不安もありました。

私は腰回りに36枚撮りフィルムが数本入ったウエストポーチを付け、撮影に入った。
そして、無事に撮り終えて、撮影したフィルムをその先生に渡した。
帰りがけ、あとでその写真を見せてくれるように頼み、私は家路についた。

二週間ほどして、私は違う場所での撮影に出向いたとき あの八王子での写真を、違う先生から見せてもらった。
最高とまではいかなかったが、「これならまあ大丈夫だ」というぐらいの出来だった。

するとその写真の最後に、一枚の紙が入っていて、それは、彼女からのお礼の手紙だった。

文章は月並みでとても簡単なものだったが、その紙の裏に何かが書いてあるのが透けて見えたので、裏返してみた。
それは事務所で使用したらしい文書のある反古の紙の裏だった。
私は唖然とした。
前日から用意し、当日も朝早くから出かけて行った撮影だったが、そのお礼状が、要らなくなった反古の紙の裏に書かれていたことに、何とも言えない気持ちになった。


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