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還暦おやじのスタディアブロードWith ウクレレ ⑲

簡単ウクレレ教室ガズレレとの出逢い


 ウクレレを諦めようと考えている時に、YouTubeで簡単ウクレレ教室ガズレレというチャンネルに出逢った。そこでは無料でウクレレの持ち方から弾き方、そしてチューナーの使い方を丁寧に説明してくれていた。

 そして簡単なコードを4つ覚えるだけで、何曲も弾き語りが出来ると解説しながら、実際に弾きながら歌ってみせている。初心者向けとしての曲目としては「明日があるさ」や「おどるポンポコリン」であった。

 うながされるままにコードを覚えながら練習してみると、その日の内に両方の曲を何度も躓きながらではあるが弾き語りすることが出来た。   
 このころはまだそばに寝そべっているソックスは、私がウクレレの演奏を始めると相も変わらず迷惑そうな顔をして部屋から出て行ってしまっていた。それでもめげずに簡単ウクレレ教室の動画を観て勉強している。

 ウクレレ講師のコードの解説によると、Cコードとはウクレレの4本の弦の内一番地面に近い弦のネック部分から3番目の所を薬指で押さえるというものだ。右手は一番上の弦から一番下の弦まで親指の腹で一気にこする感じだ。

Cコード

 最初の内は「明日があるさ」の場合は、Cコードだけで全部を演奏。
 4ビートでジャン ジャン ジャン ジャンとなる。これをやってみると楽しい。直ぐに、FコードとG7とAmを覚える事が出来た。これなら続けられると確信した。ガズレレ歌本を購入していろんな曲の楽譜を見ながら練習して2週間位して、スピッツの「空も飛べるはず」を練習する頃には、コードも10種類覚える事が出来ていた。

ガズレレ歌本 豊作パブリッシング 定価926円+税

 このころになるとソックスが部屋から出て行かずにそばに寝そべってくれていた。連れ合いからも「おとうさん。上手になったね」と褒められてますますウクレレに嵌った。考えてみると連れ合いから褒められたのはこれが初めての経験だった。

 幸いにして我が家の周りは田んぼなので練習環境は抜群。周りを気にすることなく練習に励んだ。時には田んぼのカエルも合奏に加わってくれた。そして譜面ふめん台だいを買ったことで尚一層練習に励んだ。

 ふと思ったのだが、田んぼのカエルの合唱は間違いなく私より正確なリズムを刻んでいる。その練習の成果として8ビートも弾けるようになっていた。「明日があるさ」を8ビートで弾くとジャンジャジャンジャ ジャンジャとなるので軽快な感じになった。

 8ビートが弾けるようになった時は嬉しくて一人で乾杯したのだった。そこまで来ると仲間が欲しくなるものだ。そう思っているところにFacebookでさいたま市内のガズレレグループの練習会の参加者募集の告知を発見。この時は不思議なくらい何のためらいもなくすぐに申し込んだ。

 ウクレレ仲間の練習会デビュー

  練習会の場所は武蔵浦和駅近くのコミュニティーセンターだった。参加者の多くは40代から50代といったところだった。その中でも私と同年代のおやじがいて声をかけてきた。身長が2メーターぐらいで、あごひげを生やし英国紳士風のシルクハットをかぶっていて、今にも帽子から鳩を出しそうな雰囲気のおやじだった。

マジシャン

 ウクレレ仲間は彼のことをピノキオのコーロギに雰囲気が似ていることから、ジミー・クロケットをもじって、性格が地味なのでジミーと呼んでいると飲み会の席で教えてくれた。彼は「あなたのサラリーマン時代の同僚の井原さんと親しくさせてもらっていますよ。そしてFacebookのイベントページのコメントを見て、あなたと会えるのを楽しみにしてきました。よろしく」って言ってくれた。

 ウクレレ練習会へのデビューでバリバリに緊張している私にとって、少し肩の力が抜けたしありがたかった。そして、皆で何曲も一緒に弾き語りする中で、だんだんリラックスしてきた。しかし、ロの字のテーブルに座って練習していたが休憩を挟んでオープンマイクタイムになった。

 オープンマイクとは夫々が自分の好きな曲を弾き語りするというものだ。   
 室内の一番前にマイクと譜面台が設置されたところがステージだ。そこで弾き語りを披露する。ステージでの弾き語りを希望しない人は、今の席で演奏する事もパスも選択できることになっていた。

ウクレレ弾き語り

 時計回りで私の番が回ってくる。ついに隣の人が、立ち上がってマイクの前で弾き語りを始めた。緊張していたので隣の人が何の曲を演奏したか覚えていない。それほどパニックっていたのだろうついに私の番がやってきた。

 実はこの練習会に参加すると決めたときから弾き語りしなければならない時は「お嫁においで」をやろうと決めていたし練習も積んできた。この曲を選んだのは加山雄三が私のアイドルだったこともあるが、最大の理由としてはコードが簡単で曲が短いことだった。

 それでもいざ弾き語りを始めると、声は震えるしコードは上手く押さえられないし散々だった。しかも次に弾き語りをする番の女性がスマートフォンで動画を撮ってくれているので、楽譜から顔を上げる事も出来なかった。弾きがたりしているところの動画を撮られたのも初めての経験だった。ひやー、緊張MAX!

 そんなメチャクチャな弾き語りデビューが苦い思い出だ。その後希望者7名程にて居酒屋で懇親会。生憎同年代のおやじは仕事があるからと参加しなかったので周りは若い連中だけだった。
 そんな中でも、ウクレレの共通の先生であるガズさんの話題で盛り上がれたので、楽しい時間を過ごすことが出来た。しかし驚いたのは居酒屋でもウクレレを弾いちゃうことだった。

 居酒屋の店長はウクレレを弾く事についてまだ客が少ないのでとOKしてくれたが、ギターだったら音が大きすぎるという理由でNGだっただろう。そして皆の話によると全員がガズさんに会ったことがあるという事だった。私も会ってみたいという思いがふつふつと湧きあがってきたのだった。

 そんなことを思い出しながら時計を見たらもうすぐ2時。マンゴウとの待ち合わせの時間だ。急いで、スクールの門の所に向かった。 

 

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