独り言⒊
今の時刻は深夜2時57分。
相変わらず夜に眠れずに悩んでおりますが、今夜はクリスマスです。
デートも、友達と遊ぶ予定もケーキは少し前に食べたので、ケーキを食べる予定もありませんが少し気分が浮かれています。
小さい頃サンタさんはいると心から信じていました。
サンタさんはプレゼントをソリに乗せて。
その間にトナカイはいっぱい働くために人参で腹ごしらえ。
サンタさんは沢山のプレゼントを積んだソリを目の前にメモを見るのです。
「どの子のおうちから運ぼうか…喜んでくれるといいな」
きっと穏やかに微笑むのでしょう。
それからトナカイに出発を告げます。
プレゼントで重たいはずのソリなのに、トナカイが脚を動かした瞬間、光の粉を撒きながらフワッと空中へ。
雲よりも少し上の、星が良く見えるところまでサンタさんとトナカイは一気に登っていくのです。
サンタさんがキラキラしているのに夜空を眺めていても見えない訳はきっと雲に隠れているからでしょう。
誰のおうちが一番か、そんな争いが聖なる夜に起こらないように。サンタさんは優しい紳士なのですから。
手紙を沢山書いた記憶があります。
日本語で書きました。
しかし、私はある年気が付くのです。
「サンタさんは日本語が読めないのかもしれない」
何故か。
理由は簡単です。
手紙に書いたプレゼントが届いた事が無かったから。
毎年何かしらのプレゼントをお願いしていましたが、それが届く事は1度もありませんでした。
似ているけれど少し違うもの。
全然頼んでいなかったもの。
どうしてこれなのか理解が出来なかったもの。…色々ありました。
それでも「サンタさんが来た」という事実が何よりも嬉しかった。
周りの子みたいにいい子に出来なくて、あんまり勉強も得意ではなくて、友達付き合いもそんなに上手くなくて…。
周りの子より劣っていると、幼いながらに感じていた私はいい子ではないと思っていたのです。
いい子の元にサンタさんはやってくる。
私には少しの不安がある夜でした。
次の日目を開けて、プレゼントが目に入ると泣きそうになりました。
よかった。サンタさんが来てくれた。
少しはいい子になれてたのかもしれない…と。
ある年、サンタさんは来ませんでした。
母に「サンタさん来なかった」
と言うと、母がこう言ったのです。
「クリスマスは楽しめた?」
と。
「うん?楽しかったよ」
そう告げました。
すると、
「10年以上か…サンタさんてね意外と大変なのよ?」と。
「貴方が生まれてからサンタさんになって毎年大雪の中バレないように買い物に行って、大きなプレゼントを当日まで見つからないように隠さなきゃいけないんだもん。」
少しはにかんだ母がそこにはいた。
「サンタさんはママでした!」
とんでもない暴露でした。
だって、サンタさんはいると信じていたのですから。
「どうして欲しいものが届かなかったの?」長年の疑問を素直にぶつけてみました。
すると、
「ゲームはさせたくなかった。本が好きで勉強を頑張ろうとしているのに、今ゲームを渡したらしなくなっちゃうでしょ?もったいないもん」
そう言われました。
母なりの優しさだったのだと思います。
優しい嘘。
我が家は母子家庭です。
そして、おじいちゃんおばあちゃんは早くに他界しました。
私と弟は、母の手で育てられました。
豪雪地帯に住む私達。
一晩で降る雪の量は洒落になりません。
朝の4時から外に出て門払いをし、私たちを送り出して、彼女は仕事へ。
遅くに帰ってきてからまた門払い…。
休みの日には朝から変わらず門払いをした後、屋根に登って雪掘りをするのです。
大人の男の人でも大変なのに、それを女性がやるとなれば大変なのは言わずもがな。
そんな中プレゼントを買ってきてくれていたのです。
母子家庭なのに。誰にもバレずに10年以上も。
サンタさんが居なくなってしまうことは少し寂しいものでした。
しかし、それ以上に母の凄さを感じました。
「お疲れさまでした。素敵なプレゼントとワクワクを沢山ありがとう。」
そう言うしかなかったです。
感謝で胸がいっぱいになりました。
「引退早かったかな?」
笑って母はそう言いました。だから、
「いや?もういいよ、来年は一緒に買いに行くからね」
私は冗談交じりに笑って告げました。
次の日。
学校ではサンタさんからのプレゼントの話題でもちきり。
当然私にも話が振られました。
なんて答えたと思います?
正直よく覚えていません。
でも、「サンタさんはねいるわ、確実に」
そう言った気がします。
クリスマスは特別な日。
大人にとっても子供にとってもそれは変わらないと思います。
私のサンタさんは周りの子より早く引退しましたが、現役のサンタさん。
夜中寒い中起きてバレずにプレゼントセット。
大丈夫ですか?気付かれませんでしたか?
お疲れさまです。
あとは翌朝天使の喜ぶ顔を見るまでがお仕事です。
そして、サンタさんを貫きましょう。
皆さんが子供の頃に感じていたワクワク。
今の時代も変わりません。
サンタさんは子供にとって夢であり、憧れであり大好きな存在です。
そんなに好かれるなんて、お父さんお母さんになれた皆さんしか味わえない特権なのですから。
存分に子供を愛してあげてください。
また、サンタさん引退をするサンタさん。
お疲れさまでした。
子供にとって夢を与えられる存在になれるなんて素晴らしいことです。
「サンタさんが来なかった」
そう言ったお子さんにどう告げるのかは皆さん次第です。
大丈夫です。愛を、もって。
サンタさん以上にお父さんお母さんは子供にとって全てで、ヒーローで、夢で、憧れなのですから。
永遠に親は親。
子供にとってプレゼントより大切なものです。
あと数時間後、夢の時間が幕を開けます。
天使の喜ぶ顔を見るまでがお仕事ですよ。
クリスマスを存分に楽しんでください。
ママ、いつか私が貴方の元へ素敵なプレゼントを贈ります。
それまでもう少し待っていてください。
プレゼント…?
それは、内緒です。
それでは皆様、メリークリスマス
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