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子どもはかわいいけど10分で飽きる

私がいかに育児をしたくないかという話をするにつけ、「子どもはかわいいんだよね?(まさかとは思うけど、かわいくないの?)」ということをよく聞かれる。

結論、子どもはかわいい。ただ、10分で飽きる

うちの子は0歳なので、クーイングはよくするが、意味のある言葉を発することはまだない。一般的に何らかの言葉を話し始めるのは早くても9ヶ月くらいらしいので、まだまだ先の話である。抱っこしてあやすとニコッと笑顔を見せてくれたり、指を握ってきたり、かわいい仕草をすることはよくある。それはかわいい。ただ、それだけである。

正直10分もしたら飽きる。たいして変化がないからである。

出産前に、育児はシッターさんに任せようと思っていることや、私にとっては子どもより夫の方がかわいいということを話すとよく、「いざ生まれたら、かわいいから自分で面倒見たくなるよ」とか、「生まれたらもう旦那なんて目に入らなくなるよ」とかをよく言われたが、私はそんなわけないと思っていたし、実際そんなことは全くなかった

そもそも、「かわいい→だから面倒を見たい」という図式は全くもって意味がわからない。私は夫のことを愛しているし、世界で一番かわいいと思っているが、夫のうんちの世話をしたいと思ったことは一度もない。どれだけかわいくても、トイレには自分で行ってもらいたい。かわいいかどうかということと、面倒を見たいかどうかということは、全く別問題である。

また、子どもが生まれたからといって、子どもはただ存在しているだけで、特にコミュニケーションは発生しない。夫のように、色々なテーマについて深くディスカッションをしたり、そこから新しい知見を見出したり、豊かな考えに思いを巡らせ、思想を共有したりということはできない。私にとって愛情とは、会話のコミュニケーションを重ねた先に生まれるものであって、コミュニケーションができない相手と愛情を深めることは基本的に難しい。

子どもはかわいいが、それは犬や猫をかわいいと思う気持ちとほとんど同様である。犬や猫はフォルムや仕草や存在がかわいいが、それはコミュニケーションを通じた信頼関係による愛情ではない。子どもに対するかわいいという気持ちも、少なくとも現状それと同様である。会話できるようにならないと、長時間二人きりで過ごすのは飽きるし、ひまだ。正直仕事している方がはるかに楽しい。

出産を終えたばかりの芸能人が、子ども以外に時間を使っていることをSNSで発信すると、批判する声をよく見る。今日もちょうど、浜崎あゆみさんのニュースを見た。楽曲制作中の気分転換に仮眠を少しとってジムに行ったということだった。私からするとごく普通の話だし、特段コメントすることもない。

しかし、コメント欄は大荒れで、

「同じ月齢の赤ちゃんをリアルに育ててますが、寝る時間もジムに行く時間も、そんな選択肢すら無いです。まして巻き髪なんて、離乳食つけられてカピカピになるから無理だなぁ」

「ね、マジで子育てしている?可愛くてたまらないと思うんだけど、自分が一番なんだね」

「いつ子育てしてるねん」

「私も子育て中ですが、子供と一緒に過ごせる時は小さいときだけ…子供との時間大切にしてほしいです」

というコメントが寄せられていた。

本当に驚きである。一般人の私でさえ、育児はシッターさんにほとんど全部お任せで仕事とプライベートを楽しんでいるのに、年収数億円はあるであろう浜崎あゆみさんが、自分一人で育児をするわけがない。出産前からお手伝いさんを5人雇っていたらしい人が、家事は外注するけど育児は全部自分でやるという状況は想像し難い。家事と育児を比較したら、育児の方が圧倒的に大変だからである。

そもそも、本人が「どうしても育児がしたい」という強い要望があるなら別だが、彼女のように才能のあるごく一部の人は、才能を活かすことに時間を使うべきだと私は思う。社会的分業は経済学の基本である。

「子どもと一緒にいられるのは今のうちだけだよ」とか「子どもとの時間を大切にしてほしい」というのは私もよく言われるが、本当に余計なお世話である。子どもと一緒にいることが楽しい人も世の中にたくさんいるのは知っている。私がお願いしているベビーシッターさんは全員が大の子ども好きなので(私は子ども好きな人しか雇用しない)、娘が起きている間はずっと絵本を読んでやったり、歌を歌ったり、話しかけたりと、ずっと子どもとの時間を過ごしてくれている(おかげでうちの子はクーイングを始めるのがとても早かった)。

本当にすごい。私にはとても無理だ。ちなみに私は自分の子どもはかわいいが、他人の子どもをかわいいと思ったことは人生で一度もない。誰かに子どもや子どもの写真を見せられたら、礼儀として「わ~かわいいですね~」と言うが、これは「今日もいい天気ですね~」と同様に挨拶のようなものである。

世の中には、子どもとずっと一緒にいたい人もいるし、10分で飽きる人もいることをぜひ知ってもらいたい。子どもと過ごしたい人は、子どもとの時間を大切にすればいいし、そうじゃない人は自分の時間を大切にすれば良いと思う。私は娘が会話できるようになったら子どもとの時間を少し増やそうと考えている。




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