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読書。社会学とか。

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2016年12月の記事一覧

ルーマン『宗教論』(1章,2章) 未完メモ

第一章 われわれの社会は神とコミュニケートできるか

 社会学はたとえば「より良き知」を提供しようとすることで、宗教に対して「非常に簡単に見かけ上の優越性」を生じさせてしまう (:2)。だが、そうした傾向を持つ社会学という学問は、本当に宗教を視野に収められるのだろうか?(:2)

 本章の目的は、自己言及的システム理論を経ることで、こうした「社会学の宗教に対する関係」、または「宗教の神学的反省に対

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ルーマン『社会の社会』 第一章「全体社会という社会システム」(Ⅰ~Ⅲ) メモ。

 このところメモを取りながら読んでて途中で力つきることが多いのだけど、まぁこういうのはどこかに残しておくと後々意外と役にたったりするので、残しておく。

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序論

「一つの原理もしくは一つの根本規範 -旧来のように正義や連帯であれ、さらには理性による合理であれ- から全体社会を演繹する見込みなど、もはや存在しえない。なぜなら、そういった原理を認めない、あるいはそれら原理に反する者もまた

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立岩真也『不動の身体と息する機械』(2016年に読んだ、人にオススメしたい本 ②)

◯ 社会学編:立岩真也『不動の身体と息する機械』(2004)

 よりすなおに見れば、医療は、というよりこの社会・時代は、生かす人は生かしてきたし、死んでもらいたい人は死なせてきたのである。良い生・殖 (優生学eugenics) と良い死 (安楽死euthanasia) はきちんとつながっている。(:68)

 本書は、ALS (身体が次第に動かなくなる病気) と安楽死、そして安楽死に直結する呼吸

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伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』(2016年に読んだ、人にオススメしたい本③)

 さてさて、もう大晦日も残り少ないけれど、哲学編。いくつか候補が挙がっており、当初は入不二基義『あるようにあり、なるようになる』について書くつもりだったのだけど、読み直してみたらあまりおもしろくなかったので、単純に読んでいておもしろかったこっちを挙げることにした。

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◯ 哲学編:伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』(2003)

(1) 科学と疑似科学の間には推論の方法を始めとした方法

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小林雄次『小説 スマイルプリキュア!』(2016年に読んだ、人にオススメしたい本 ④)

◯ 小説編:小林雄次『小説 スマイルプリキュア!』(2016)

「ねぇ、そのお話の続き、どうなるの?」(:9)

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 ディズニー映画に『ボルト』という作品がある。犬版『トゥルーマン・ショー』とでも言えばよいのだろうか? スタジオのなかで、自分が本物のスーパーヒーローだと思わされている役者犬が、外の世界を冒険する話だ。

 ひょんなことからスタジオの外に飛び出してしまったボルトは、「特

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