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ザ・マリ・オン・ザ・ビーチ「Songs titled my girlfriend (or not)'s name」のこと

最後の録音は2012年の初夏ごろだったろうか。子供が生まれて、妻が里帰りしていた間に思い入れのある自作曲を可能な限り思い描いたアレンジ、音像で残しておこう、とDAWでの宅録。それから10年経っての宅録再開のきっかけは、我が家の趣味として電子ピアノを購入したこと。

ギターは練習も勉強もしてなくて、コードもろくに押さえられない。なのでギターで作る曲、ギター弾いて録る曲は自ずとシンプルなコードワークである。
ピアノの方がまだ複雑な和音も押さえられるので、ギターでは弾けなかったゆえに使えなかった7thやdimなどを手遊び的に弾いてみていた。自分にとって新鮮な響きを楽しんでいただけで、その時点では宅録再開までは考えていなかった。その流れで、昔作った鍵盤ゆえの和音の重ね方した曲を弾いてみる。あるいはシンプルなコードをつけていた曲にセブンスなど付け直したりで遊んでみる。

そういう曲が何曲か出来てきて、女の子の名前や、特定のモデルのいる曲が結構あるなと気づき、女の子の名前にリタイトルしたりもしつつ、女の子の名前の曲だけでアルバム的にまとめてみたいな、と思ったあたりが宅録再開へのきっかけか。

ミスタッチやミストーン、そういうのがイヤで打ち込みを徹底したり、ギターのリフもサンプリングして機械に演奏させたりしてた10年前のマリだったが、その対極となる内容を考えた。

環境ノイズ、生活音。そういうのも録れてて構わない。
ライン録音しない。
上手に演奏すること、
キレイに録音すること、
打ち込み、機械的な同期、
そういうのはしない。

10年ぶりの宅録は録音ツールをどうするか、から始まった。10年前のPCもソフトも今は使えない。録りたいものがシンプルなのだから、機材もシンプルな方がよさそうだ、とTEAC244やポータスタジオのようなカセットMTRをヤフオクとかで入手して始めようかとも思ってたが、状態が心配だし不具合あっても自分でメンテできないしなと、結局TASCAMの8トラックのポータブルデジタルMTRを購入し、録音を開始する。
内蔵マイクの使用、AUTO設定でのマスタリングなどシンプルな録音、シンプルなアウトプットに徹した。パンチイン操作のノイズなども残ってるし、その辺りもちゃんと調べて使いこなせば綺麗に取り除けたのだろうけれど、機材の操作もプリミティブな方がいいかなと今回の選択をした。

思えばほとんど13~15歳の時に作った曲だった。

録り終わってみて、なぜこう仕上げたかったのかを考えてみる。鍵盤ゆえの和音のトライアルを残したかったのは動機として、「ただ録る、重ねる」というシンプルな方法を選択したのは「テンポの揺れ」や「空気感」辺りを録りたかったのかなと思っている。マスで流通してる曲もアマチュアの作る曲も、テンポや録音、演奏もカッチリちゃんと録られてる曲が多い昨今、もっと緩いものが聴きたいな、という欲求があったのだろう。10年前の揺り戻しも含めて。何か作るときは大体自分が聴きたいものになるのだ。アレンジという部分ではほぼ何もしてないようなもので、ピアノだけで終わっていても成り立ったけど、肌触りとしてのっぺりしててつまらないなとギターなどで主旋律をなぞる程度の味付け。とりあえず思ったようなものが録れて満足かな。

コンセプトが決まりアルバムサイズのものにすることにしたので、録音を始める前からジャケットのデザインを考え始めた。タイトルやジャケット、曲順など考えるのが好きなのだ。

私が常日頃「きれいだな」「可愛いな」と思ってる女性芸能人などの写真を、目を基準に同透明度になるよう重ねたのがジャケットイメージ。何かで見聞きした、人が美人と認識するのが、知ってる顔の平均値みたいな話を元に、私の好みの顔立ちの平均値を作ったらマイベスト美人顔ができるのかな?思いつつ作ってみた。どうだろう。

さて。書いてきたようなエクスキューズなしに、ただ聴いた人はどう思うのだろう?稚拙?単純?まあそうだろう。それはそれとして、それでもなお残る、何かしらの面白さを感じてもらえたら喜ばしい。

活動休止前までの流れをまとめていたnoteがあったのでいちおうリンクを。



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