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コスパに惹かれ装着したものの…避妊具「ミレーナ」体験レポート

もともと生理痛がとても重い私。毎回強い痛みに見舞われ、平日は痛み止めと気合でなんとか乗り切り、休日は丸一日布団の中なんてざら。若い頃は生理痛から痙攣、失神を起こしてしまう事も何度かありました。

そんな悩みから「ミレーナ」を装着してみたのですが、装着から1ヶ月ちょい経った現時点での素直な感想は、「割と後悔」でした。非経産婦の一事例として読んで頂ければ幸いです。

ミレーナとは何か

そもそも皆さんは「ミレーナ」が何かご存知でしょうか。「ミレーナ」とは、黄体ホルモンを子宮内に放出する、子宮内に装着する「医療器具」(もしくは「製剤」)です。

・過多月経・月経困難症の治療に使われるLNG-IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)
・LNG-IUS本体は3cm程のT字型の柔らかいプラスチック
・LNG-IUSを子宮に入れると黄体ホルモンが持続的に放出され、一度装着すると効果は最長で5年間持続する
・高い避妊効果がある
(婦人科で貰った冊子より抜粋)

黄体ホルモンが子宮内膜の増殖を抑え、子宮内膜が薄くなることにより経血は減少し、月経痛が緩和される仕組みなのだそうです。

生理が激重の私が、ミレーナを装着するまで

私は初潮から約20年(!)ずっと重い生理痛に苦しめられてきました。職場で痛み止めを飲むタイミングを失敗し、痛すぎて休憩室で横になっていた所を先輩に「自己管理がなってない」と言われたのは悲しかった。その通りだけど非情すぎんか。

自分でも愚かだと思うのですが、「痛み止めを飲みすぎて効果が薄くなるかも」「今回だけは痛くならないかも」という謎の期待を込め、痛み止めを飲むのを躊躇しては毎回泣きを見るはめに……。

そして、年を重ねても全く変わらない痛みに加え、経血の量も大きな悩みのひとつ。生理のある皆さんなら分かるであろう「ドロっとした塊」も当たり前、ナプキンは1時間に一回交換しないと肌に経血の冷たさを感じ、夜は一番長いサイズでも心配で更に追いナプキンする始末(しかも結局漏れる。)

私の職場は「今ならいける」というタイミングを見計ってトイレに行き、ささっと済まさなければならないので、大量の経血を含んだナプキンを変えるのも一苦労でした。

ただ不幸中の幸いというか、これだけ痛かろうが量が多かろうが毎年の婦人科検診でひっかかることはなく、「しんどい」と思いながらもこれといって現状を変えようとは思いませんでした。

ところが数年前のはなし。生理の度にのた打ち回る私を見た、当時付き合い始めだったパートナーから「そんなにキツいならピルを試してみるのはどう?」という話があり、初めて低容量ピルを真面目に調べました。

調べると「月経痛が軽くなる」「経血量が減る」という私にもってこいの薬だという事が分かり、早速婦人科へ。血液検査をし丁寧な説明を受け、血栓症のリスクが上がるといっても妊娠時のほうが高い程度ということですぐに使い始めました。

これが私には合っていて、吐き気や頭痛といった副作用も出ず、期待通り経血量は激減し、生理自体も2、3日で終わり、ナプキンも数枚で済むようになりました。

生理痛はあるものの確実に来るタイミングが分かるので(私の場合28日周期)、痛くなる前に薬を飲む事が出来、痛みを多少コントロール出来るようにもなりました。保険適用かつジェネリックで月1000円程度で済むというのも良かった。快適生理ライフの幕明けじゃあ!と思いきや……

今年に入り、色々あり当時の職場を退職。計画的ではあるものの、無職! 無職ってお金が入ってこない!(当然)なのに出て行くお金! 生活費、住民税、年金……こ、心細い!

安いと思っていたピルもこうなっては立派な固定費。少し休んだらまた働くとしても当面の出費は出来るだけ節約したい。まとめて貰っていたピルのシートもなくなりはじめ、そろそろ産婦人科へ貰いに行かなくてはならない時期……そこで少しずつ耳にするようになった「ミレーナ」を思い出しました。

これまた少し調べてみるとピルと同じ効果を得られるようでしたが(副作用など細かくは異なります)、一番注目したのはかかる費用。先ほども記載した通り、低容量ピルは保険適用かつジェネリックでも毎年約1万2千円、5年で約6万円かかるのに対し、ミレーナは保険適用で1万円程度。これで5年間持つというのだから更にコスパが良い。まずは一回やってみようと思いました。

が、今思えばめちゃくちゃ視野狭まってました。コスパ一辺倒。

予想以上の痛みだった施術…「未産婦」の落とし穴

そして実際にミレーナを装着してみた結果、副作用のひとつ「腹痛」に泣かされることになるのです。

低用量ピルを処方してもらった婦人科ではとても丁寧な説明と口頭でのやりとりがあったのですが、そこが移転してしまったのでミレーナは違う婦人科で処置してもらうことに。

今思えば私ももう少し慎重になるべきだったと反省しているのですが、先生からの説明は特になく、聞きたい事ある?という感じで、後はプリントを一枚渡され読むことを促される程度。プリントに記載されていた副作用は

・月経出血日数の延長
・月経時期以外の出血
・月経周期の変化
・腹痛
・卵巣のう胞(一時的なもの)
・LNG-IUS除去後の出血

ここでいう「腹痛」とは、すなわち「下腹部痛」「生理痛のような痛み」。
装着して初めて分かったわけですが、これがめっっ……ちゃくちゃ痛かった。

そして、これもまた後から調べて知ったのですが、経産婦(経膣分娩)さんであれば子宮口が開いているので入れる際そんなに痛みを感じないようです。つまり出産経験のない人は要注意、と。ちなみに私は未産婦です。

まあ知っていたらやらなかったのかと言われたらそんな事はないだろうし、個人差もあるだろうし……でも心構えがあるのとないのとでは違いますよね。

装着自体は本当にすぐに終わりました。流れは子宮内膜検査と同じく、検査台でお股をご開帳し先生にミレーナを装着してもらうという簡単なもの。時間にして1分かかったか、かかってないかくらい。

ただね、子宮内膜検査からして苦手なのにミレーナは子宮の中に物を入れちゃうわけですからね、入れた瞬間から激痛。 何故予想出来なかった、自分。
診察室に響き渡る叫び声。「痛い!!! 痛い!!! です!!!」

ちなみに麻酔なし。院によっては対応してくれるようですが、まあそこまでじゃない、というのがデフォルトなようです。入れてみて初めて痛いかどうかがわかるわけですから、仕方がないのかもしれませんが。

そして、装着が完了してもまだ馴染んでない訳ですからその後もじんじんと強い痛みが続きます。ピルのおかげでだいぶ忘れてたけど生理痛の激重鈍痛ってこんな感じだったよねえええいてえええていうか出血してるううう。装着後出血することは一般的なようで優しい看護士さんがナプキンをくださいました。

そして、処置後激しい痛みにより吐き気、めまい、そもそも動けないという状況になりましたが、それもあるあるらしく優しい看護士さんがベッドで休ませてくださいました(この痛みをあるあるで済ませてしまっていいのか?という疑問が頭をよぎる。)

小一時間休ませてもらったもののいっこうに痛みに変化なし、痛みで唸り声が止まらない、早く家に帰って心から休まりたい、という思いからどうにか体を引きずって帰路につきました。徒歩で。

つけてから2週間、重い痛みが継続

装着してからの数日は痛くて痛くて全く動けずベッドの中でうめき、呪詛を吐き、痛み止めの服用間隔を待っては飲み、時にはフライングし、屍のように過ごしていました。

2週目くらいまでは重い生理痛が継続。経血量はミレーナを装着した際に鮮血がどばっと出たきりで、その後は少量が断続的に出ていました。小ナプキンでいいけれど、トイレに行く度に交換するくらい。3週間が経つ頃には痛みも多少落ち着き、しかし下腹部には常にちくちく痛みがあって時折強まったりして、気持ちは休まらず体も疲れていました。

この痛みと少量の出血が続いた状態で、通常の生理日も来たと思われます。血の量は低容量ピルの時よりも少し多く感じましたが、以前の生理時よりははるかに少なかったので効果は実感できました。

生理が終わったと思える頃には生理痛もかなり和らぎ、経血量はより少量になりおりものシートで対応。少し付着するか、トイレに行く度にペーパーに付くという程度まで減りました。

他の変化としては、胸の張りを感じるようになりました。これは寝起きに顕著で今も続いています。

そして装着してから一ヶ月後。検診してもらった結果、位置ずれもなく異常なし!という事で一安心。

痛み止めが必要な下腹部痛が2週間ほど続いたのが気になりましたが、珍しくないので心配しなくて大丈夫とのことでした。こ、この痛みが珍しくないのか……とやはりびっくりしてしまいます。予定では今後も3ヶ月検診、6ヶ月検診、その後年一回ずつと続く予定です。

検診を終えた現在は痛みも血まじりのおりものもなくなり、通常生活を送ってます。一生この痛みが続くかと怯えていたので、本当に良かった。

装着から1ヶ月、率直な感想は

という訳で、装着から1ヶ月ちょっと経った現時点での素直な感想は、「割と後悔」となりました。

低容量ピルと相性が良かった私にとって、ミレーナは痛い期間がプラスされただけ。同程度の効果を得られてこの痛さを味わうならピルで良かったな~、という気持ちです。

たまたま仕事がない期間だったので家で休めましたが、もし仕事があったらしんどすぎてぶっ倒れていました。痛み止めと気合でなんとかなるレベルじゃなかった。

子どもを考えているのであれば出産後であったり、低容量ピルが使えない血栓症のリスクがあがる年齢になってから検討する、というのでも良かったかなあと思います。

ちなみにミレーナを入れていても、状態が落ち着けば性交渉に問題はありません。妊娠したい場合も婦人科ですぐに抜去できますが、抜去時にも出血や痛みがあると聞いて今から縮み上がってます。

ピルと違って飲み忘れの心配がないというのもミレーナの利点の一つですが、これはパターン化してしまえば毎日飲むのは大して問題でない私にとって大きなメリットではありませんでした。ピルを突然の外泊や旅行などに持って行き忘れることはありそうですが、このコロナ禍にあっては旅行も当分なさそうですし、心配するほどではないかなと感じました。

コストパフォーマンスは本当に本当に素晴らしい&ありがたいのですが、私にとってはそれを覆すくらいの痛みでした。ですがこれが数ヵ月先、1年後と時間が経って生理自体がなくなる(約20%の割合でなくなるらしい)のであればまた感想は変わるのかも……しれません。取り合えず来月の生理がどうなるのか今から楽しみです。

もし私と同じ非出産経験者がミレーナを装着するのであれば、痛み止めを飲んでおき、着脱しやすく汚れの目立たない色の服を着て、ナプキンを持っていく事を強くおすすめします。

今回こんなことになると予想していなかったので私の移動手段は徒歩でしたが、車やバス、迎えに来てくれる人がいるならそれに越したことはないと思います(自転車はお股への圧と振動がキツそう。)

また、婦人科も出来たら自分に合うところを選びたいですよね、これが難しいのですが。基本的に最初に処置してもらった医院で経過観察するので(他院断られました)長く付き合う可能性がある以上、不安だな、合わないな、と思ったらその直感を大切にして欲しいです。今回ここには書きませんでしたが、対応で結構嫌な思いをしたので……。

全ての男医者が無理解ではないとは分かっていますが、個人的には女医者にお願いしたいジャンルだなと思いました。お医者さんといえど自分の感覚は自分にしか分からないので、あなたの気持ちに寄り添い、汲み取ってくれる先生と出会えたらそれが一番ですよね。安心感、めちゃくちゃ大事です。

目下の悩みは抜去・再挿入時にこの痛みをまた味わうのか?ということ。ピルやミレーナの快適さを知ってしまった以上、それらを知る前には戻れない……が、この痛みはもう二度と経験したくない……

日本の決定権を持つ人に、早急にこれら以外のものも導入することをお願いしたい。腕の下にチップを入れる避妊具や小さいサイズのミレーナなど、海外にはもっとたくさんの手段があります。婦人科系の諸々の軽減税率も、いつまでも待ってます。

皆さんも、自分に優しく生きやすく過ごせる選択肢を増やすためにも、ガンガン声出していきましょう。

執筆=kahavi1
画像=Unsplashより

※読者の指摘を受け、一部インクルーシブな表現に変更しました。(2020/12/6 18:00)

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