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でかくてきれいなお風呂に入った話

でかくて綺麗なお風呂に入りたい。
人類には紀元前からそういう願望がある。
なので古代ローマ帝国やインダス文明のもモヘンジョダロにはすでに、湧き出す温泉を利用した公衆浴場の文化があった。

しーぴぴこと私は、昨年から銭湯に勤務している。
くくりで言えば銭湯の前にスーパーが付くタイプのチェーン店なのだが、築25年ほどとなる古い作りのため私は頑なに銭湯と呼んでいる。妙に肌に合い職場としては愛しんでいるものの「でかくて綺麗なお風呂」欲を満たしてくれる代物ではない。
民宿か、下宿所とかにあるみんなで入るためのちょっと広い浴室みたいな作りだ。それもそれで悪くはない趣きがあるのかもしれないが。

※この日記では職場である銭湯をたびたびディスる可能性があり、ちくちく言葉が苦手な人にはおすすめをしない。

「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!」と麦わらのルフィ氏は言っていたが…

言っていない。ネットミーム化したこの画像は同じく少年ジャンプでかつて連載していた別の漫画の台詞だ。


指で頑張って描いた。

ルフィが言ってたならやめとくけど、言ってないらしい。ほなええか~! 


▼入場、受付、浴場へGO


早朝5時過ぎ、くそでかスーパー銭湯に着く。玄関や駐車場の入り口には謎の巨大狛犬が居る。しかし浴室の中にはこれまた巨大な古代ローマ風(?)の石膏像っぽい像があるのだ。この手の贅の限りを尽くした施設特有のトンチキな世界観が好きだ。
下足ロッカーキーにバーコードが付いていて、それをかざすと館内の様々な支払いが出来る。退館時に無人レジにかざしてまとめて会計だ。

いいなあ~~。これなら「下足キー無くなりました」「そもそも鍵かけてなくてそれで別の人が間違えて鍵かけちゃったっぽくて…」「お前んとこの鍵は足が付いていて勝手に歩いていくのか」「間違えてこれ買っちゃったんですけど」「お客様、こちら割引券をお持ちの方のみの価格となっていまして恐れ入りますが通常料金をいただいてもよろしいでしょうか」「あーなんだあ!!?じゃあ配れや割引券!!!!(ブチギレ)」とかいうふざけたトラブルやり取りやそれに伴う諸手続きが無くなりそうなものである。

大文字や赤文字にして感情を表現したいところだが、noteにはその手のシステムは存在しないらしい。

館内は清潔そのものでいい香りがする。塩素のにおいもしなければ、肥溜めのような匂いもしない。(豆知識:職場は基本的に臭いのである♪)

改札口のようなゲートをくぐって、いざ入浴。


▼入場早々試されるしーぴぴの民度。サウナと温泉で魂を洗い無事に苦海から解脱することは出来るのか。


これよこれ。
完全にこれよ。
これが「でかくて綺麗なお風呂」ですよ。

すげえ数のお風呂がある。なんと泳いでもいいプール状の湯船すらあるのだ。

同業他社目線だと様々なところに、トラブルを未然に防ぐ対策が施されていることが分かる。
髪を結ぶ用のゴム(輪ゴムだけど)も無料で用意されている。この店側のひと手間と支出により「あの人髪の毛を湯船に浸けてるから注意してちょうだい!」という苦情とそれに対応する時間や人手が大幅にカットできるというわけだ。

従業員の人々は基本的に丁寧そのもので、ホテルのコンシェルジュのような安心感がある。

あかすりタオルも角質を削る用の軽石も歯ブラシもヘアブラシもフェイスタオルもみーんな無料。嬉しいねえ。さっそく歯ブラシを咥える。ゲボべ。毛が4本くらい口の中で抜けた。ぺっぺ。タダとは、そういうものである。

すれ違うマダムたちは皆会釈をしてくれたり、私のために扉を開けてくれたりする。清々しい、心洗われるやり取りだ。
バァン!!!なんだ、この音は。私が扉を閉めるときの音である。いつの間にか私までもがカスの地域のカスの民度に近付いているというのだろうか。しーぴぴの職場はお客様の民度が低く、よく野糞されている。今年は正月飾りも盗まれた。この民度の低さは地域全体に蔓延している。

マダムを見習い、そっと開け閉めすることを心がけた。

まあシャワーやシャンプー類は普通なので割愛。ラブホによくあるなんか黄色っぽいボトルのメーカーである。

さて
入りますか、温泉。

▼色々なお風呂があるけど、しーぴぴのヒットは「漢方薬湯」。


あ、向こうのおばさんが鼻まで湯船につかってブクブクやってる。そんな汚えマナー違反も許せるほど快適な空間だ。不思議と苛立たないのは、温泉が成す癒やしの効果なのか、先程自分の行儀の悪さを思い知り人に文句を言えなくなっているだけなのか。

ブルーベリーの香り湯、ジャグジー風呂、泳いでいいお風呂、色々あるが一際目を引いたのは濃い茶色の漢方薬湯
くんくん。出汁昆布みたいなにおいがする

数種の漢方をブレンドしてあるらしい。浸かれば味が付きそうなほど濃いいテクスチャーだ。(豆知識:テクスチャーとは美容アカウントがよく使う言葉である♪)

足を踏み入れただけで若干ピリピリした。これは効くど!肩まで浸かると他のお湯とは段違いに気持ち良く感じてビビる。万人に対してそうというよりは、自分の体とこのお湯がマッチしているような感覚だ。ほえー!温泉ってキモチェー!
他のお湯ではそうならなかったのに、顔までほかほかと温まる感覚がある。

ジャグジーなのかお湯の排出口なのかが分からない部分に背中を当ててより深い浸透を試みた。さっきのブクブクおばさんを見てから幾分か自分も大胆になっている。下を見て安心する人間の良くない性かもしれない。まだ解脱には至っていないようだ。

しかし幸福度が高いと「分かるよ、早朝で空いてるし、なんか開放的になりすぎちゃうよネ。気持ち良すぎて。」とおばさんに寄り添いたくなる。
それどころか飛躍して「こんな素敵なところに来ている人はマトモな人間に違いない。今のはついうっかりなんだよね。悪い人なわけないもん!」と破綻した性善説を展開してしまう。

誹謗中傷をする人間、陰謀論に傾倒する人間、パワハラやいじめをする人間、等しく心が満たされておらず不平不満ばかりだからそんなことをしでかす。

みんなでかくて綺麗なお風呂に入りな〜?そう心の中のダレノガレ明美も言っている。

でもブクブクするのはやめようね。僕も気を付けるから。

▼まだ水風呂に入る勇気はない。コ●●とサウナとそれからわたし。


サウナの健康効果には、特にエビデンスは無いらしい。交互浴はアツ〜いのとサム〜いので体を追い込んで、それから開放されたときの心地よさを気持ち良いと勘違いしているだけなのかもしれない。

でもあるとやっぱり入っちゃうんだから不思議なものである。

ぬるーいサウナとあつーいサウナがある。

入って驚いたのはやはりその清潔感だ。

職場の男子風呂に立ち入った時、サウナに近寄ると入り口の時点で肥溜めか汲み取り式の公衆便所のような強烈な悪臭が猛烈な勢いで外へ出てきてドン引きしたのを思い出す。

ションベンすんなやナカで!!!!!

住所不定の人も多く通う職場の風呂には小汚いというかめちゃくちゃ汚いというかなお客様が沢山いらっしゃる。そういうコジ●臭も少なからずあると思うが鼻が告げている答えは一つ、直接的な排泄物の臭いだ。

しかもなんで男子風呂に入ったかというと嫌がらせで露天風呂(外なので夜間うす暗い)エリアの地面に透明なガラスの破片が無数に落とされていてそれを探して広い集めるためになのだ。

忍者でも黒っぽい鉄のマキビシを使っていたというのに、こちらは透明でより殺傷能力を高めてきている。戦争でも人道を明らかに外れた兵器の使用は禁止されているのに。

その日足を怪我したお客様が複数居り嫌な予感がしたため上司に「もしかしたら」と報告し、閉館後みんなで捜索した。袋いっぱいの大小様々な粉々のガラス片が見つかった。私が疑問を抱いて男子風呂見てくれと言わなかったら翌日までそのままで怪我人多数である。

そんな思い出が蘇る。

こちらは木の良いにおいがするのみだ。

『晴れ間は見られず、雲が主役となるでしょう』

めざましテレビのお天気お姉さんが一言。サウナにはテレビが常設されている。

天気予報は、晴れ以外を待ち望んでいる人たちへの配慮で雨や曇りを悪く云わない。
それは知っているけど、にしてもとても素敵な言葉選びだ。今日という日が特別に感じられる。いや、間違いなく特別な日だ。でかいお風呂に入れているのだから。

『ちいかわ占いです』

ちいかわ占いです?
いつの間にかめざましテレビのメインコーナーである占いは、頭にちいかわが付くようになっていた。

なんとなく今日は良い順位だという確信があった。

やぎ座は2位。交渉事がうまく行くらしい。シフトの件で揉めている職場に直談判する意志を固めた。今日の俺は一味違うぞ、社会保険に入れられませんとか、社会保険には入らなくていいギリギリの日数でもっとシフトを増やしてうち1本で働きませんかとか、そんなふざけた戯言がまかり通るのも今日が最後だ店長を出せ。

ラッキーアイテム忘れました。  



思ったより長くなってしまいそうなので前後編に分けることにする。次回は

▼雨の日の露天風呂は川遊びみたいで楽しい。
▼ふたたび漢方漢方薬湯へ。高麗人参風呂もあるよ♫
▼etc…

みたいなかんじである。
しーぴぴは果たして無事に心を洗い清めることが出来るのか?職場に直談判することはできるのか?

ここまで読んでくださり、感謝いたします。

筆者は、サンリオキャラクター大賞でクロミちゃんを応援しています。
(豆知識:30目前にして突然クロミちゃん推しになったのである♪)

さようなら。


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