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『真夏の雪』

お母さんがパートに出かけたあと、家から徒歩で約15分の総合病院に出かける。 戸締まりもドアの鍵の施錠もしっかりした。 コンビニを左に曲がり神社の境内を抜ける。空き地にはセイタカアワダチソウが繁茂している。私より背が高いかもしれない。 いつもの通い慣れた道。迷うことはない。 おばあちゃんが入院して半年。 日に日にやせ細って行く姿を見るのは正直辛かった。 だけどおばあちゃんの不思議な優しい目には、私をはっとさせる光が宿っていた。 自動ドアが開いて、待合室で顔なじみの看護師さん

    • (詩)『水平線』

      両手で四角を作り シャッターを切る 定規で引いたような水平線 海鳥は弧を描き 波の上を光が躍る 抱きしめたい 抱きとめて零れる想いも全部 潮騒が遠くに 何億光年も遠くに 今ここという衣を脱いで 永遠の花に触れる その瞬間 バラバラと崩れ落ちたとしても

      • 春は美しく、また残酷だ。溢れるほどの光彩陸離。その影で、祝福を浴びずに消えていく命。どこに救済を求めればいいんだろう。どこにもない、どこにもない、そうやって、辿り着いた場所。無だ。 人が人を救えるという傲慢もない。何にも囚われない。何も感じない。それはただの光。馬鹿みたいな光。

        • (詩)『Survive』

          樹木と樹木を飛び交う鳥の啼き声 心の中に在る森に潜む小動物 木陰から顔を覗かせ 消えてしまう 僕は歩いている 自分の意志なのかどうかは分からない もう随分遠くに捨ててきたもの どれだけ優しくされても どれだけ深く愛されても 癒やすことはできない 僕は疲弊して取り乱している 何が正しいことなのか 何を避けるべきなのか 木陰の中から顔を覗かせる小動物 まるい日溜まりの中へ僕を導く 太陽と月は照らす 僕の中の芯を溶かす 引き返すことなどできない

        『真夏の雪』

        • (詩)『水平線』

        • 春は美しく、また残酷だ。溢れるほどの光彩陸離。その影で、祝福を浴びずに消えていく命。どこに救済を求めればいいんだろう。どこにもない、どこにもない、そうやって、辿り着いた場所。無だ。 人が人を救えるという傲慢もない。何にも囚われない。何も感じない。それはただの光。馬鹿みたいな光。

        • (詩)『Survive』

          (詩)『GOLD』

          光の矢は降り注ぎ 砕け粒となる 透ける血管 溢れるGOLD 全人格的な生活に射す曙光 少年の僕が肩を落としている 僕は静かに背後から近づき そっと抱きしめる 僕の涙が僕の手に零れる 地図を描き 蒸発する それは偉大なる罪人の黄金の軌跡 闇はもう怖くない あなたの光 感じているから #詩

          (詩)『GOLD』