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運動指導の幅を広げる!「CMS」の方法からバリエーションまで徹底解説

スポーツやワークアウトにおいて
パフォーマンスを引き出し
怪我のリスクを減らすためには
適切なウォームアップが不可欠ですよね

しかし
多くの従来のウォームアップは
全身の可動性、安定性、運動制御を
十分に活性化できていないのが現状です

そこで、この問題を解決する
コアモビリティシリーズ(CMS)をご紹介します

今回はこのCMSの具体的な方法を紹介していきたいと思います

CMSとは?

Core Mobility Series (CMS) は
Mitch Hauschildtらによって開発された
エクササイズです

CMSは、スクワット、ランジ、プッシュ、プル、プランク
個別のエクササイズとして独立して行われることも多い動作を
スムーズに繋ぎ合わせ
途切れることなく連続して行うように設計されています

これらの動きは
私たちの日常的な動作やスポーツ動作の
基礎となるものになります

一連の動きを連続で行うことで
機動性、スタビリティ、モーターコントロールを
同時に向上させることを目的としています

CMSは、以下の様な多くのメリットを提供します

  1. 全身的可動性と安定性の向上
    CMSは、全身の主要関節(足首、股関節、胸椎など)を
    フルレンジで動かすことで
    可動性と安定性を効果的に高めます
    従来の静的ストレッチとは異なり
    CMSは自重による負荷を用いることで
    より機能的でスポーツに特化した可動域の向上を実現します

  2. 神経系の活性化とパフォーマンス向上
    可動域の限界付近でのトレーニングは
    神経系に適度な刺激を与え
    活性化させる効果があります
    CMSの実施により神経系が活性化することで
    筋出力、反応時間、コーディネーションなどが向上し
    パフォーマンスの向上が期待できます

  3. 運動制御の向上と怪我リスクの低減
    CMSは、立位から床への移動
    そして再び立位に戻るという
    スポーツ動作によく見られる動きをシミュレートしています
    この一連の動作を通して
    運動制御能力を高め
    スポーツ中の予期せぬ動きにも対応できるようになり
    怪我のリスクを低減します

  4. 多様なレベルへの適応性
    CMSは、初心者から経験豊富なアスリートまで
    幅広いレベルの方に適応できます
    また
    プッシュアップの追加やストレッチ時間の延長など
    個々のニーズや目的に合わせて
    自由に修正を加えることが可能です

  5. 実施場所を選ばない簡便性
    CMSは特別な器具を必要とせず
    清潔で平坦な場所であればどこでも実施できます
    そのため、競技場やジムはもちろんのこと
    自宅でも手軽に行うことができます

このようにCMSは
全身の可動性、安定性、運動制御を高め、神経系を活性化することで
アスリートのパフォーマンスを最大限に引き出します

CMSの具体的なやり方

CMSでは以下の流れで実施していきます

a) ダイナミックシングルレッグスタンス
・片足立ちの開始: 片足を上げて股関節の高さまで持ち上げる(図1A)
・体の横への引き寄せ: 上げた足を体の横に引き寄せる(図1B)
・体の外側への広げ: 上げた足を体の外側に向けて広げる(図1C)
・大腿四頭筋のストレッチ: 足首を後ろに引っ張り、大腿四頭筋を伸ばす(図1D)
・片足デッドリフト: 反対側の足を後方に上げ、立った足のつま先に手を伸ばす。この際、脊椎は中立を保ち、上げた脚は完全に伸ばす。(図2)
・各脚1回ずつ

図1
図2

b) ヒップヒンジ+ディープスクワットTローテーション
・オーバーヘッドスクワット: 足を股関節幅に広げ、両手を頭上に上げてオーバーヘッドスクワットの姿勢をとる(図3A)
・つま先に触れる: 股関節を曲げ、つま先に手を触れる位置まで体を下げる(図3B)
・ディープスクワット: 脊椎を中立に保ちながら、股関節を深く曲げ、肘を膝の内側に入れた深いスクワットの姿勢をとる。かかとを地面につけ、つま先と膝の位置に注意(図3C)
・腕と頭の回転: 片腕ずつ天井に向かって伸ばし、手とともに頭と目を動かす(図3D)
・左右それぞれ1回ずつ天井に向かって回転

図3

c) ディープランジ+Tローテーション
・ディープランジ: 片足を大きく前に踏み出し、深く曲げる。この時、後ろ足の膝は地面から約10~15cm離し、前足の膝はつま先をこえないように注意する(図4A)
・体幹の保持: 脊椎を常に中立に保ち、腰が丸まったり反りすぎたりしないように注意する
・上半身の回旋: 両腕と頭を同時に回旋させる。この時、体幹は固定したまま、上半身のみを回転させる(図4B)
・足の入れ替え: 回旋が終わったら、足を入れ替えて、反対側でも同じ動作を行う(図4C)

図4

d)プッシュアップ+Tローテーション
プッシュアップ: 両足を揃え、腕を伸ばしたプッシュアップの姿勢をとる。この時、臀部と広背筋を意識して体幹を安定させる。(図5A)
・プランク: プッシュアップの姿勢で20秒間この姿勢を保持する。(図5A)
・Tローテーション: 片腕を天井に向けて伸ばし、T字の姿勢になる。この時、下側の腕と足の外側だけで体を支え、体幹を一直線に保つ(図5B, 図5C, 図5D)
・左右のT-回旋の繰り返し: 左右交互にT-回旋を行い、各側5回繰り返す
・プッシュアップに戻る: T-回旋を終えたら、再びプッシュアップの姿勢に戻る
・四つん這い: プッシュアップから、四つん這いの姿勢に移行

図5

f) 四つ這いリーチ+レッグレイズ
・基本姿勢: 四つん這いの姿勢になり、肩と股関節に約90度の角度を維持し、足首は背屈させる
・腕の上方向の動き: 右腕を頭上に向けて伸ばし、手のひらを天井に向け、10回繰り返す(図6A)
・腕の横方向の動き: 両腕を90度横方向に伸ばし、手のひらを天井に向け、10回繰り返す(図6B)
・脚の上方向の動き: 右足を後ろに伸ばし、10回繰り返す(図6C)
・脚の横方向の動き: 右足を横に開いて10回繰り返し、その後、反対側に10回繰り返す(図6D)
すべての動作において: 足首は背屈させ、つま先を地面に向ける

図6

g) キャメルポーズ
高い膝立ち: 膝を股関節幅に広げ、足首を背屈させた高い膝立ちの姿勢をとる(図7A)
かかとを持つ: 右手で右かかと、左手で左かかとを包み込むように持つ(図7B, 図7C)
股関節を前方に押し出す: 臀筋と広背筋を収縮させながら、股関節を前方に押し出す(図7D)
繰り返す: この動作を5回繰り返す

図7

h)プッシュアップ+オーバーヘッドスクワット
プッシュアップ: 完璧なフォームで10回のプッシュアップを行う。臀筋を収縮させ、脊椎を中立に保つ(図8A)
脚の位置調整: プッシュアップの姿勢から、両足をそれぞれ反対側の腕の外側に移動させ、ディープスクワットの姿勢に(図8B~C)
スクワット: 両腕を頭上に上げ、ディープスクワットの姿勢に移行する(図8D)
立ち上がり: ディープスクワットの姿勢から立ち上がる(図8E)
スクワット幅の調整: 必要であれば、足を適切なスクワット幅に調整
スクワットの繰り返し: オーバーヘッドディープスクワットを10回繰り返す

図8

CMSをどのように使うか?

CMSは様々なシーンで活用できます。
以下に具体的な応用例をいくつか挙ます

a) アスリートのウォームアップ

試合前のウォームアップとして実施

b) リハビリテーションプログラム

段階的な負荷増加が可能なため、リハビリ初期から後期まで使用可能

c) コンディショニング

定期的なCMS実施によるモビリティとスタビリティの向上

怪我予防のためのプログラムとして活用

d) フィットネスクラス

グループエクササイのウォームアップとして導入

e) 高齢者機能の改善

高齢者のバランス能力と全身協調性の向上や転倒リスクの軽減として使用

  1. CMSのバリエーションとプログレッション

CMS は柔軟性が高く、様々なバリエーションやプログレッションが可能です。以下にいくつかのアイデアを紹介します。

a) 時間と回数の調整

  • プランクの保持時間30秒に延長

  • プッシュアップの回数を15回に増加

b) 動作の追加

  • シリーズの最後にタックジャンプを10回追加

  • ランジポジションでの体幹回転回数を増やす (投球競技選手向け)

c) 難易度の上昇

  • 四つ這いを伏臥位に変更し、肩甲帯と股関節の可動性要求を高める

  • シングルレッグスタンスでの動的バランス課題を追加 (目を閉じる、不安定面上で実施など)

d) スポーツ特異的な動作の組み込み

  • テニス選手向け:オーバーヘッドスクワットからのサーブ動作模倣

  • 選手向け:ランジポジションからサッカーのキック動作

e)リハビリテーション特化型

  • 膝前十字靭帯再建後:四つ這い位での股関節外転強化を追加

  • 肩関節周囲炎後:Tローテーションの回数を増やす、肩の可動性焦点

まとめ

CMSは従来のウォームアップの概念を拡張し
より機能的なアプローチを提供しています

皆さんもCMSを試して
これを基本に動きを組み合わせれるか考えてみてください
考えること自体、とても面白く、勉強になりますよね

そして、ぜひその工夫を共有していただければ幸いです
一緒に、より効果的な方法を探していきましょう


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