腹横筋を最適に鍛えるポジションとは?体幹トレーニングプログラムを提供する方法
深層筋である腹横筋は
体幹の安定性において重要な役割を果たしており
腰痛予防やパフォーマンス向上に
貢献することが知られています
しかし、腹横筋のトレーニングには
様々なエクササイズやポジションがあり
「どの方法が最も効果的か?」
という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
本記事では、超音波画像診断を用いた研究結果を踏まえ
腹横筋を最適に鍛えるための効果的な
ポジションについて考えたいと思います
異なるコアスタビリティトレーニングポジションにおけるドローインとブレーシングによる腹横筋のリクルーションの比較
従来、腹横筋の活動は
触診や筋電図を用いて評価されてきました
しかし、これらの方法は
深層筋である腹横筋の活動を
正確に捉えきれないという限界がありました
そこで近年、注目されているのが超音波画像診断
この方法は
リアルタイムに筋肉の厚さや収縮の様子を観察できます
さらに超音波は
深部に到達しやすいという特性を持つため
他の計測方法では評価が難しい深層筋の活動も評価できます
そのため、より客観的かつ定量的に
腹横筋の活動を評価することができるのです
様々な体幹トレーニングポジションと腹横筋の活性度
Moghadamら(2019)は
異なる体幹トレーニングポジションにおける腹横筋の活動を
超音波画像診断を用いて比較しました
対象となったポジションは以下の7つです
仰臥位
フックライング
膝関節股関節90°屈曲位
膝関節伸展位股関節90°屈曲位
ブリッジ
片膝伸展ブリッジ
バードドッグ
この研究では、腹横筋の活性化の指標として
安静時の筋厚に対する収縮時の筋厚の比率である
「Activation Ratio(AR)」と
側腹筋全体の厚さの変化に対する腹横筋の厚さの変化の比率である「Preferential Activation Ratio(PAR)」
の2つが用いられました。
その結果、ブリッジポジションにおいて
腹横筋のAR、PARともに有意に高い値を示しました
他のポジションと比較してブリッジポジションでは
腹横筋をより選択的かつ効果的に活性化できることが
示唆されました
なぜブリッジポジションが効果的なのか?
ブリッジポジションでは
自重によって体幹が不安定な状態となるため
体幹を安定させようと腹横筋がより強く活動すると考えられます
なぜブレーシングで高い腹横筋活動が認められたのか?
ブレーシングは
腹横筋を含むより広範囲な腹筋群の co-contraction(共収縮) が
求められるためと考えられます。
一方で、ドローインでは
腹横筋を意識的にisoliert(単独収縮)しようとするあまり
他の腹筋群の活動が抑制され
結果として腹横筋全体の活動量が低下した可能性も考えられます
この論文から考える腹横筋のトレーニング戦略
今回の研究結果を踏まえ
効果的な腹横筋エクササイズのプログラム作成の
ポイントをまとめます
ドローインとブレーシングの使い分け
ドローイン: 初期段階では、ドローインを用いて腹横筋の isoliert な収縮を促し、その感覚を習得する
ブレーシング: ある程度腹横筋の活動が得られるようになったら、ブレーシングを取り入れる、より実践的な体幹安定性の強化を目指す
エクササイズの選択方法
腹横筋の活動が低い、またはドローインがうまくできない場合
仰臥位や四つ這いなど
体幹にかかる負荷が少なく安定したポジションから開始し
ドローイン動作の習得を目指すある程度腹横筋の活動が得られる場合
ブリッジポジションなど
より体幹に負荷がかかるポジションへ移行し
ブレーシングを取り入れながら
より実践的な体幹安定性の強化を目指すさらに高いレベルの体幹安定性が求められる場合
片膝伸展ブリッジやバードドッグなど
さらに不安定性の高いポジションや
不安定な環境下でのトレーニングを取り入れることで
パフォーマンス向上を目指す
まとめ
今回の研究結果から
ブリッジポジションが
腹横筋を効果的に活性化する上で
有効なポジションであることが示唆されました
また、腹横筋だけでなく
多裂筋や横隔膜、骨盤底筋群など
他の体幹筋との協調性を意識したプログラムも重要と思われます
今回の内容をぜひ
クライアントに合わせた
最適な体幹トレーニングプログラムに役立てみてください
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