THINK SIMPLE 🍎を産み出す熱狂的哲学

Simple アップルを生みだす熱狂的哲学
https://www.amazon.co.jp/dp/4140815450/

　これも古本屋の特価のコーナーにあったので買ってみた。
ビジネス書のあたりに「Think Clearly」や「Think Smart」
など自己研鑽の本売っているが、あれらとはちょっと違う、
むしろ最近出た「Think Distribution」の系統に近いかと。

　一度アップル🍎を追い出されたスティーブ・ジョブズ氏
がどのようなコンセプトで以てアップル社を立て直したか？
という内容である。題名の通り「Simpleさを追求せよ」と
いうことだが、これは私の講師紹介というか教室に貼って
ある宣伝で
「みんな難しく考えすぎ、物事は案外単純なもの、拍子抜け
　しながら受けてください」
てなことを書いてある。入試問題のように、論理的に答えが
出せる問題であれば、答え求まる時って案外さらっと求まる
もの。むしろ間違った時の方が、何をどこでどうミスったのか？
ってことを考えられるし、学べるもんだ。さらには、シンプルさ
の中には、数多くの原理原則が整合性を持って歯車のように
並んでいるもので、どこかの歯車が欠けるだけで系全体が動か
なくなる。それは会社組織も同じだろう、根底にあるコンセプト
が固まってないといざって時に同じ方向を向けない、ジョブズは
それを「Think Simple」と表現したのだろう。組織全体がこの
「Think Simple」の考えを共有し動くことを求めてここまでの
企業に成長した。

　著者はアップルを追い出されてジョブズ氏がNEXT社を作ったとき
から協力関係にある広告ディレクターとして一緒ではあって、
ライバル関係なDELL社からも仕事貰ったことから、両社風の違い
も強調している。一例を挙げれば、アップル🍎は、弁護士から
権利関係で訴訟になるからとジョブズが忠告受けても「関係ねぇ！」
と押し切るがDELL社はそうでない、とか、市場調査についても
アップル🍎は、ジョブズの理想とするアップル社のコンセプトが
どのくらい市民に浸透しているか？に対し、DELL社は統計学的に
最大多数の顧客に向けて商品を作ることを目的にしていたよう。
端的に言えば、🍎は顧客が喜ぶ物を、DELLは顧客が求める物を、
ってことになるのだろうが、ここでシンプルさが活きて来る。
商品の型番を見ればわかるかもしれない、一般のスマフォメーカー
で、例えばASUSなどはCPU・カメラの画素数・RAM容量などなど
で一シーズンに十数種類のモデルが出るが、🍎の場合は基本
S(iPadならPRO)が付く付かないこととストレージ３種の細かく
分けて６種、ざっくりで２種と「顧客に迷わせない」ことを目指し
ている。数字だけが変わる安心さも大事なのだろう。ASUSなら
パンフもらって比べないといけないが、iPhoneならS要るかどうか
だけ判断すればいいし。中身はすごい進化をしてるのだろうけど、
敢えてそれは隠すことで、顧客の夢を煽っているのだろう。

　まぁ、これが通用するのは、ジョブズの感性や美的感覚を顧客が
認めて期待しているからだろう。ここで何度も書いてるが、芸術的
感性は数値化出来ないもんだし、株主への説明責任も果たせるか
どうかはわからん。帳簿の数字の方が余程楽であり、株主も説明責任
ばかりを求め過ぎて、帳簿の読み方しか知らない俗物をトップに
据えた企業ばかりだったことが「バブル後の失われた〇〇年」の
正体であることも何度も触れてきた。帳簿の読み方しか知らない
俗物が、芸術的感性豊かなクリエイターを見つけ出し華を咲かせる
環境を作り出せるかが今の企業人に求められることだろう。
天才は養成して生まれるものじゃない、天性の才能ある者にグランド
を与えて、そこで切磋琢磨させる環境があれば勝手に伸びる。それを
コントロール出来る監督が居れば最強だ。

　天才で運が良く、自分のグランドで伸び伸び成長出来れば、井深大、
スティーブ・ジョブズ、イーロン・マスクのような今までに無い物
を作り出す天才はまだまだ現れるだろう。それを継いでいく次世代
の天才を見つけられる相馬眼を持つ人も大事せんといかんし、型に
嵌ってそこから伸びる芽を摘んでしまわないことも大事だ。

　うちらみたいな仕事は、自分より賢くなって行く若者をどんどん
送り出してなんぼの商売、とっとと数学でも私なんぞ抜いて行き
やがれってんだ！