不登校を乗りこえて10 心のサイン
この文章は、息子と娘が不登校になった頃の記録です。
ご興味を持っていただけましたら、
不登校を乗り越えて1~今悩んでる人へ~からお読みください!(^^)!
ゴキブリ事件
リビングでテレビを見ていた私のところに息子が走ってきた。息子の部屋にゴキブリが出たそうだ。「ちょ、早く来て!」と私の服の袖を引っ張る。部屋へ行くとエアコンのそばに1匹のゴキブリ。「お願いだから捕まえて!絶対捕まえて!寝れんから!!」と珍しく感情的に言葉を発していた。
私も苦手だが、この家にはゴキちゃんと戦える人間はいない。モップを持ってきて捕まえようとするが意外と動きが早く「ぎゃー!!ぎゃー!!」と格闘していた。
その様子を見て息子がゲラゲラと笑っていた。夫も娘も笑っていた。そうしてるうちに息子の部屋の山積みの参考書の中にゴキちゃんは消えていった。
「寝れんから絶対捕まえて!!」と息子。だが、ゴキちゃんもそんなに馬鹿じゃない。部屋を掃除しながら探したが出てこなかった。私がゴキちゃんと格闘してるときに息子は食事リビングへ向かった。食事以外でリビングに出てくるのは何年ぶりだろう。
夫がテレビで映画を見ていて、息子はだまって椅子に座り見ていた。偶然にも昔一緒に見た映画だったのであらすじの展開を夫と話しする様子が見えた。
小学生時代は本当に明るくて、歌番組やドラマはいつもチェックして、TVに疎い私や娘も楽しませてくれた。リビングは息子を中心に笑顔が絶えなかったが、息子が出てこなくなり本当に寂しかった。ソファも全員は座れなくなったので、一人ひとつずつのソファタイプのチェアに変えたり、ダイニングも大きめにしたり息子がリビングへ出てきやすいように私達は待っていた。
だから、息子がリビングに出てきて家族と触れ合い笑ってる様子を見るだけで涙が出るほどうれしかった。ゴキちゃんに感謝だ。笑
家族の変わらない様子に息子も安心したような表情だった。結局ゴキブリは出て来なかったので私が息子の部屋で眠ることとなった。笑 息子はリビングで夫と娘と最後まで映画を楽しんだようだった。
口数が増えてきた
その日から心なしか息子の口数が増えた気がした。自分の読んでいる漫画を私にどんどん持ってきてきたり、買い物に出かけるときは積極的についてきてカゴを持ってカートを押してくれたり、荷物を家まで運んでくれたりした。
「ごはん何?」「買い物行く?」など私との会話を考えて見つけて声をかけてくれる様子だった。
家族の変わらない愛情に一瞬でも満たされたのならいいなぁ。何年も一人きり部屋へこもり続けるのはきっと孤独だっただろう。リビングではいつも私と夫と娘がいて、私達は息子が出てくることを待っていたが、息子が作った壁は簡単には取り払えない。リビングがワイワイとする日には息子だけ別世界な気分になっていたかもしれない。
はぁ。とても繊細だなぁ…。
私がそうなのだが息子も娘も絶対に今話題のHSPだ。(子供はHSCというそうだ)私は自分で言うのはおかしいと思うが繊細さんだ。この期間に繊細さんの本というものを興味本位で読んだ。繊細さんとはその人の持つ気質だ。
本を読んで、これはまさに私だと思ってしまった。私は興味や好奇心旺盛な繊細さんだ。HSS型というらしい。この本のおかげで私は長年抱えていた生きづらさ、人とは違うような何かを理解することができた。何に疲れるかって自分に一番疲れる.….笑。
そしてまさに私の子供達もそうだと思った。人が気づかないところまで気づいてしまう繊細さんはとても疲れやすく敏感だ。この本で言うなら夫は非繊細さんだ。笑 なぜ夫の非繊細さを受け継がなかったのか不思議に思ったが、繊細さんに遺伝ではないのだそう。このことについてはまた今度の機会に文章にしたいと思っている。
今を生きる学生達
今コロナ渦を生きる学生は、緊張を高める進級が重なったり、マスク生活を強いられ、オンライン授業など数年は変化に目まぐるしかったはずだ。
誰もが違和感を感じる世界で上手に元の生活に戻っていける子供もいれば、バランスを崩してしまう子供もいただろう。不登校になってしまう子供は増加したようだ。
娘の懇談へ出かけたとき夏日だった。教室にエアコンはついているのに汗がダラダラと流れる。感染防止のため窓が開いていて、以前の学校とは全く違う息苦しい世界だ。この中で過ごす子供達も教員も過酷だなと感じた。
学生だけじゃなく、何年も家族と会えなかった人もいるだろう。孤独はつらい、一人じゃ寂しくて生きられない。
ストレスを感じてしまうほどの大きな問題や、心にひっかかるが仕方のない悩みは誰もが持っているだろう。そこにコロナ渦のさまざまなストレスや緊張、孤独や焦りが加われば人の許容範囲を簡単に超えてしまう事があるかもしれない。
心の病は、決してその人がただ弱いというだけでなるものではない事を、理解する人が増えた。それだけどんな人にとってものストレスのかかる時代なのだ。心も体もつながっていて、何か違うと感じる環境に時にサインとして教えてくれる。不登校も子供から発せられる何かのサイン。心は複雑だ。自分の事なのによくわからないというようなこともある。もしかしたら、問題は一つではないかもしれない。
つづく
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