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奈良県令和元年度登録販売者過去問解説問31~40


31.骨格系に関する記述のうち、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。

a 骨には、カルシウムやリン等の無機質を蓄える機能がある。

b 骨の基本構造は、骨質、骨膜、骨髄、関節軟骨の四組織からなる。

c 関節周囲を包む膜(関節膜)の外側には軟骨層があって骨を連結し、関節部を補強している。

d 骨は生きた組織であるが、成長が停止した後は破壊(骨吸収)が行われるのみである。

1(a、b)2(a、c)3(b、d)4(c、d)

正解1

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骨格系は骨と関節からなり、骨と骨が関節で接合し、相連なって体を支えています。

 骨は体の器官のうち最も硬い組織の一つです。

その基本構造は、

(1) 主部となる骨質

(2) 骨質表面を覆う骨膜

(3) 骨質内部の骨髄、

(4) 骨の接合部にある関節軟骨、の四組織からなります

 また骨には次のような機能があります。

 ○ 身体各部の支持機能:頭部や内臓を支える身体の支柱となる。

 ○ 臓器保護機能:骨格内に臓器を収め、保護する。

 ○ 運動機能:骨格筋の収縮を効果的に体躯くの運動に転換する。

 ○ 造血機能:骨髄で産生される造血幹細胞から赤血球、白血球、血小板が分化することにより、体内に供給する

a正しい

そのとおりの記述です


b正しい

そのとおりの記述です

c誤り

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骨の関節面は弾力性に富む柔らかな軟骨層(関節軟骨)に覆われ、これが衝撃を和らげ、関節の動きを滑らかにしています。関節周囲を包む膜(関節膜)の外側には靱帯があって骨を連結し、関節部を補強しています。

d誤り

骨は生きた組織です。成長が停止した後も一生を通じて破壊(骨吸収)と修復(骨形成)が行われています。骨吸収と骨形成とが互いに密接な連絡を保ちながら進行し、これが繰り返されることで骨の新陳代謝が行われます。

成長が停止した後は破壊(骨吸収)が行われるのみであるという記述は誤りです。


32.医薬品の吸収、代謝、排泄に関する記述のうち、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。

a 有効成分と血漿タンパク質との結合は、速やかかつ不可逆的である。

b 加齢等により皮膚のみずみずしさが低下すると、塗り薬の有効成分が浸潤・拡散しやすくなる。

c 医薬品の有効成分の母乳中への移行は、体内からの消失経路としての意義は小さいが、乳児に対する副作用の発現という点で、軽視することはできない。

d 循環血液中に存在する有効成分の多くは、未変化体又は代謝物の形で腎臓から尿中に排泄される。

1(a、b)2(a、c)3(b、d)

4(c、d)

正解4

a誤り

循環血液中に移行した有効成分の代謝と排泄

 循環血液中に移行した有効成分は、主として肝細胞の薬物代謝酵素によって代謝を受けます。多くの有効成分は血液中で血漿しょうタンパク質と結合して複合体を形成しています。

血 漿(けっしょう) タンパク質との結合は速やかかつ可逆的で、一つ一つの分子はそれぞれ結合と解離を繰り返しています。

有効成分と血漿タンパク質との結合は、速やかなのは正しいですが不可逆的であると言ってる点が誤りです。不可逆的だと一つ一つの分子はそれぞれ結合と解離ができなくなってしまいます

b誤り

加齢等により皮膚のみずみずしさが低下すると、有効成分が浸潤と拡散がしにくくなります。

有効成分が浸潤・拡散しやすくなるという記述は誤りです

c正しい

d正しい


33.医薬品の剤形、適切な使用方法に関する記述のうち、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。

a 口腔内崩壊錠は、口の中の唾液で速やかに溶ける工夫がなされているため、水なしで服用することができる。

b 経口液剤は、固形製剤よりも飲み込みやすく、服用後、消化管からの吸収が比較的遅いという特徴がある。

c カプセル剤は、原材料としてゼラチンが広く用いられており、水なしで服用すると喉や食道に貼り付くことがあるため、必ず適量の水またはぬるま湯とともに服用する。

d 一般的には、適用する部位の状態に応じて、適用部位を水から遮断したい場合にはクリーム剤を用い、患部が乾燥していたり患部を水で洗い流したい場合等には軟膏剤を用いることが多い。

1(a、b)2(a、c)3(b、d)

4(c、d)

正解2

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a正しい

そのとおりの記述です。固形物を飲み込むことが困難な高齢者や乳幼児、水分摂取が制限されている場合でも、口の中で溶かした後に、唾液と一緒に容易に飲み込むことができます。

b誤り

経口液剤は、液状で内服用の剤形です。固形製剤よりも飲み込みやすく、既に有効成分が液中に溶けたり分散したりしているため、服用後、比較的速やかに消化管から吸収される特徴があります。

消化管からの吸収が比較的遅いという特徴があるという記述は誤りです

*経口液剤、シロップ剤は有効成分の血中濃度が上昇しやすいため、習慣性、依存性がある成分が配合されている場合、本来の目的と異なる不適正な使用がなされることがあります。(コデイン製剤など) 

c正しい

d誤り

一般的には、適用する部位の状態に応じて、適用部位を水から遮断したい場合には軟膏(なんこう)剤を用い、患部が乾燥していたり患部を水で洗い流したい場合等にはクリーム剤を用いることが多いです。選択肢dは軟膏とクリーム剤の記述が逆になってるため誤りです。 

34.薬疹に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a 医薬品の使用後1~2週間で起きることが多い。

b 皮膚以外に、眼の充血や口唇・口腔粘膜に異常が見られることがある。

c 医薬品を使用した後に現れた発疹・発赤等の痒み等の症状に対しては、自己判断で対症療法を行うことを優先すべきである。

d あらゆる医薬品で起きる可能性がある。

 a b c d

1 正 誤 正 誤

2 正 正 誤 誤

3 誤 誤 正 正

4 誤 正 正 正

5 正 正 誤 正

正解5

a正しい

b正しい

c誤り

重篤な病態の進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を直ちに中止する必要があります。痒み等の症状に対して、一般の生活者が自己判断で対症療法を行うことは、原因の特定を困難にするおそれがあるため、避けるべきであるため誤りです

*対症療法とは姑息療法ともよばれるように根治、完全に治すわけでなく今起きてる症状、苦痛をやわらげる治療法です。

d正しい

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そのとおりの記述です。同じ医薬品でも生じる発疹しんの型は人によって様々です。赤い大小の斑点(紅斑)、小さく盛り上がった湿疹(しっしん)(丘疹しん)のほか、水疱(すいほう)を生じることもあります。


35.医薬品の副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a 一般用医薬品による副作用は、長期連用のほか、不適切な医薬品の併用や医薬品服用時のアルコール飲用等が原因で起きる場合がある。

b ショック(アナフィラキシー)は、生体異物に対する即時型のアレルギー反応の一種である。

c ステロイド性抗炎症薬や抗癌薬の使用により、血液中の白血球(好中球)が減少し、細菌やウイルスの感染に対する抵抗力が弱くなることがある。

d 偽アルドステロン症は、原因医薬品の長期服用後に初めて発症することがあるが、小柄な人や高齢者で生じやすく、原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合もある。また、複数の医薬品や、医薬品と食品との間の相互作用によって起きることがある。初期症状に不審を感じつつも重症化させてしまう例が多く、偽アルドステロン症が疑われる症状に気付いたら、直ちに原因と考えられる医薬品の使用を中止し、速やかに医師の診療を受けることが重要

a b c d

1 正 正 正 誤

2 正 正 誤 誤

3 正 誤 正 正

4 誤 正 正 正

5 誤 誤 誤 正

正解1

a正しい

b正しい

c正しい

d誤り

偽アルドステロン症は小柄な人や高齢者で生じやすく、原因医薬品の長期服用後に初めて発症する場合があります。また、複数の医薬品や、医薬品と食品との間の相互作用によって起きることがあります。

複数の医薬品や、医薬品と食品との間の相互作用によって起きることがないと言ってる記述は誤りです。


*解説

副腎皮質からのアルドステロン分泌が増加していないにもかかわらず体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われることによって生じる病態を偽アルドステロン症といいます。

  主な症状に、手足の脱力、血圧上昇、筋肉痛、こむら返り、倦けん怠感、手足のしびれ、頭痛、むくみ(浮腫)、 喉の渇き、吐きけ・嘔おう吐等があり、病態が進行すると、筋力低下、起立不能、歩行困難、痙けい攣れん等を生じます。

36.循環器系に現れる副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a 医薬品の副作用として現れる鬱血性心不全では、全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留して、種々の症状を示す。

b 医薬品を適正に使用した場合、動悸(心悸亢進)や一過性の血圧上昇、顔のほてり等を生じることはない。

c 息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳とピンク色の痰などを認めた場合は、鬱血性心不全の可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける必要がある。

d 高齢者は、腎機能や肝機能の低下によって、医薬品による不整脈の発症リスクが高まることがあるので配慮が必要である。

a b c d

1 正 正 正 誤

2 正 正 誤 誤

3 正 誤 正 正

4 誤 正 正 正

5 誤 誤 誤 正

正解3

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循環器系 とは体液(血液やリンパ液)を体内に循環させ、酸素、栄養分等を全身の組織へ送り、老廃物を排泄せつ器官へ 運ぶための器官系で、心臓、血管系、血液、脾ひ臓、リンパ系からなります。 血管系が心臓を中心とする閉じた管(閉鎖循環系)であるのに対して、リンパ系は末端がリンパ毛細管となって組織の中に開いている開放循環系です。

a正しい

b誤り

医薬品を適正に使用した場合であっても、動悸(どうき)、心悸亢進(しんきこうしん)や一過性の血圧上昇、顔のほてり等を生じることがあります。これらの症状が現れたときには、重篤な病状への進行を防止するため、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要です。

  医薬品を適正に使用した場合、動悸(心悸亢進)や一過性の血圧上昇、顔のほてり等を生じることはないという記述は誤りです。

c正しい

d正しい

37.医薬品の副作用として現れる肝機能障害に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。

a 軽度の肝障害の場合、自覚症状がなく、健康診断等の血液検査で初めて判明することが多い。

b 黄疸とは、尿酸が胆汁中に排出されず血液中に滞留することによって、皮膚や白眼が黄色くなる病態である。

c 原因と考えられる医薬品を使用し続けると、不可逆的な病変(肝不全)を生じ、死に至ることがある。

d 医薬品により生じる肝機能障害は、有効成分又はその代謝物の直接的肝毒性が原因で起きる中毒性のものと、有効成分に対する抗原抗体反応が原因で起きるアレルギー性のものに大別される。

a b c d

1 正 正 正 誤

2 正 正 誤 誤

3 正 誤 正 正

4 誤 正 正 正

5 誤 誤 誤 正

正解3

a正しい

b誤り

黄疸(おうだん)とは、ビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる、皮膚や白眼が黄色くなる病態です。また、過剰となった血液中のビリルビンが尿中に排出されることにより、尿の色が濃くなることもある肝機能障害です。 尿酸でなくビリルビン(黄色色素)が胆汁中へ排出されず血液中に滞留することにより生じる、皮膚や白眼が黄色くなる病態のため誤りです。

c正しい

d正しい

38.医薬品の副作用として現れる皮膚粘膜眼症候群に関する記述のうち、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。

a 最初に報告をした医師の名前にちなんでライエル症候群とも呼ばれる。

b 発症機序の詳細が明確にされているため、発症を予測することが容易である。

c 38℃以上の高熱を伴って、発疹・発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が比較的短時間のうちに全身の皮膚、口、眼等の粘膜に現れる病態である。

d 発生頻度は、人口100万人当たり年間1~6人と報告されている。

1(a、b)2(a、c)3(b、d)

4(c、d)

正解4

a誤り

皮膚粘膜眼症候群は最初に報告をした二人の医師の名前にちなんでスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)とも呼ばれます。

 最初に報告をした医師の名前にちなんでライエル症候群とも呼ばれるのは中毒性表皮壊死融解症(TEN)のことを言うため誤りです。

*中毒性表皮壊死融解症(TEN) とは?

中毒性表皮壊死融解症も解説します。38℃以上の高熱を伴って広範囲の皮膚に発赤が生じ、全身の10%以上に火傷様の水疱ほう、皮膚の剥離(はくり)、びらん等が認められ、かつ、口唇の発赤・びらん、眼の充血等の症状を伴う病態を言います

b誤り

皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群) の発生頻度は、人口100万人当たり年間1~6人と報告されています。発症機序の詳細は不明で、また、発症の可能性がある医薬品の種類も多いため、発症の予測は極めて困難であるため誤りです。

c正しい

d正しい

39.精神神経系に現れる医薬品の副作用に関する記述の正誤について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。


a 精神神経障害では、中枢神経系が影響を受け、物事に集中できない、不眠、不安、震え、興奮、うつ等の精神神経症状を生じることがある。

b 眠気は、比較的軽視されがちであるが、乗物や危険な機械類の運転操作中に眠気を生じると重大な事故につながる可能性が高い。

c 無菌性髄膜炎は、医薬品の副作用が原因の場合、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、関節リウマチ等の基礎疾患がある人で発症のリスクが高い。

d 精神神経症状の発生は、医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に限られる。

a b c d

1 正 正 正 誤

2 正 正 誤 誤

3 正 誤 正 正

4 誤 正 正 正

5 誤 誤 誤 正

正解1

a正しい

b正しい

c正しい

無菌性髄膜炎 は髄膜炎のうち、髄液に細菌・真菌が検出されないものをいいます。

*無菌性髄膜炎 の症状
多くの場合、発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐きけ・嘔おう吐、意識混濁等の症状が現れることがあります。これらの症状が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を直ちに中止し、医師の診療を受ける必要があります

d誤り

精神神経症状は、医薬品の大量服用や長期連用、乳幼児への適用外の使用等の不適正な使用がなされた場合に限らず、通常の用法・用量でも発生することがあるため誤りです。これらの症状が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、症状によっては医師の診療を受けるなどの対応が必要です。

40.呼吸器系に現れる医薬品の副作用に関する記述のうち、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。

a 間質性肺炎は、医薬品の使用開始から1~2日間程度で起きることが多く、必ずしも発熱は伴わない。

b 間質性肺炎は、症状が一過性に現れ、自然と回復することもあるが、悪化すると肺線維症に移行することがある。

c 喘息は、合併症の有無にかかわらず、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失しても症状は寛解しない。

d 喘息は、原因となる医薬品の使用後、短時間(1時間以内)のうちに鼻水・鼻づまりが現れ、続いて咳、喘鳴及び呼吸困難を生じる。

1(a、b)2(a、c)3(b、d)

4(c、d)

正解3

間質性肺炎とは、通常の肺炎が気管支又は肺胞が細菌に感染して炎症を生じたものであるのに対し、間質性肺炎は肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織(間質)が炎症を起こしたものです

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a誤り

間質性肺炎を発症すると、肺胞と毛細血管の間のガス交換効率が低下して血液に酸素を十分取り込むことができず、体内は低酸素状態となります。そのため、息切れ・息苦しさ等の呼吸困難、空咳(からせき)(痰の出ない咳)、発熱等の症状を呈します。

必ずしも発熱は伴わない。という記述は誤りです

b正しい

そのとおりの記述です

c誤り

合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解するため誤りです。軽症例は半日程度で回復することがありますが重症例は24時間以上持続し、窒息による意識消失から死に至る危険もあります。そのような場合には、直ちに救命救急処置が可能な医療機関を受診しなければなりません。

d正しい

そのとおりの記述です

*登録販売者の試験作成の手引、薬事日報等で入念に調査した上で作成してますが内容に関し一切責任は負いません。自己責任にて閲覧お願いいたします

イラストはすべて商用フリーのサイト様のみ使用しています。

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