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交差する世界線①

交差しない世界線の人と交わる瞬間がある。
それは、普段は交わらない人なので、
ずっとは続かない。
その交差を「幸福」と捉えるのか、
取り残された「苦しみ」と捉えるのか。
それは--その人次第だ・・・。

ある朝、私は、感じたことのない
痛みを感じることとなる。

私は、青空 紗良。34歳主婦で、
カフェで普段通り目覚めた日曜日。
そのままリビングへ向かおうと、
ベッドを降りた瞬間だった・・。
「痛い!?!」
声にならない声を発し、おずおずと座り込む。

「え・・・?」
何が起きているのか、少しの間冷静に自分の体を
俯瞰する。上半身、腰は何ともない。
ふくらはぎを触るが感覚は、しっかりとある。
痺れている訳でもない。
ということは・・・。

どうやら、足をついた瞬間に痛みが走ったらしい。
「・・・なんで?」
もう1度歩くが、身体を支えられず、
すぐに同じように崩れ込んだ・・・。

「あ、足裏が痛い・・?」
それは、唯一はっきりしていた。
ただ、
「なんなの?これ?」
という思いが、ぐるぐると頭を巡る。
予想外の痛みと出来事にパニックだった。
しかし必死に現実に戻ろうとする。

幸い、今日はパートがお休みの日だ。
いつもの日曜日なら、駅前のカフェは、
珍しく賑わっていて。カウンターで珈琲を
淹れたり、運んだりしているのだけれど。
今日は、マスターの娘さんが運動会、との
ことで、店休日となっていた。
個人でやっているお店なので、そのような
融通が効くのだが、そんな感じの経営でも
なぜだかもう3代目とかで、最近流行のSNSを
頑張っているお陰なのか、駅前という立地のお陰なのか、
地元では知られた店だ。

私のほうは、いつもながら夫は、接待のゴルフで
いなかったが、今週は後輩君が乗せて行ってくれる、
とのことで、車を置いていっている。
本当にゴルフなのかは、分らないが、今は其所では
ない。
「とにかく、病院、かな・・・。」
と思い、座り込んだまま、ベッドの上から引き寄せた
スマホで、日曜日も空いてる病院を探すことにした。
この時は、ただ何となく、
「何だか厄介なことになったな。」
と思っていただけだった・・・。

続く

紗良の勤務先「TWIN COFFE」

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