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インターナショナル・カルチャーショック~うちの姉兄妹~④(韓国でのインター探し その2)

(noteで短いショートショートを毎週書くことを自らに課していたら、インターナショナルスクールについての話は前回から3か月以上期間があいてしまいました。こちらは備忘録的なところもあるので、時間に余裕ができた時に、ぼちぼち書いていければと思います。前回は、韓国赴任前に、弾丸ツアーでソウルのインターを外から見学したことを書きました。今回はソウルに赴任してから、学校を決めるまでを書きたいと思います。)

 我が家がソウルに引っ越したのは6月。インターナショナルスクールの新学年のスタートは、学校にもよりますが、国際スタンダードとしてはだいたい8月20日前後です。候補にしていたインター2校もそうだったので、子供達は、そこから3か月弱の長い夏休みが始まりました。
 最初の数週間は、私も新天地での仕事に慣れるのにいっぱいいっぱいの上、出張も重なったりしたので、家族は近くのマートで生活必需品を買い集めたり、家の周辺を散策したりして過ごしていました。
 ちなみに、私達が暮らしていた二村(イチョン)では1つの敷地に巨大な住宅棟が複数あり公園も併設されているマンションが多く、近所に遊具の充実した公園がたくさんありました。また、家から徒歩10分くらいに、これまた巨大な漢江(ハンガン)という河があり、河川敷にもやはり運動場や公園が複数あったので、子供達は毎日公園をはしごして遊びまわり、すぐに日焼けで真っ黒になっていきました。
 そんな日々を過ごし、6月の末に近付く頃には新しい仕事や生活もひと段落してきてました。でも、まだ学校は決まっていません(学校に何もアプローチしていないのだから当然ですが…)。このまま新学期に間に合わなかったらシャレにならないなと焦り出し、とりあえずGWの弾丸旅行で外観だけ見ていた候補の2校Yongsan International School of Seoul(以下、YISS)とGlobal Christian Foreign School(以下、GCFS)に、Google翻訳を駆使して連絡を入れたました。程なく「一度スクールツアーに来てください」と返信があったので、私のスケジュールの都合の付くところで、さっそく見学にいくことにしました。

 先に訪れたのはYIISです。GWの下見ではわずかに外観を見ただけで敷地に足を踏み入れることもできませんでしたが、遂に学校の中が見られます。アドミッションオフィスの担当者に案内してもらい校内を見て回ると、想像通りの素晴らしい設備。綺麗な校舎、大きな体育館や屋内プール、豊富な蔵書の図書館など、学園ドラマの舞台になりそうなくらいキラキラしています。妻と一緒に「ああ、もうここに入れたい!」と頷きあったのですが、長女が通うことになるG4(小学校4年生)が定員いっぱいでウェイティングリストになるとのこと。長男のG1は空きがあったのですが、異国の地で、初めてのインターなのに2人を別々の学校に通わすというのは非現実的。とりあえずウェイティングリストに登録してもらうことになりました
 ちなみに、このアドミッションの担当者はネイティブの白人女性で、とても綺麗な発音で分かりやすく話をしてくれたので、こちらの発言はたどたどしかったのですが、無事にコミュニケーションが取れました。また、子供達の英語力は、この時点では特に問われなかった気がします。英語が話せない場合、ESLクラスがあってフォローをしてくれるということだった気がします。

 YISSがウェイティングリストになってしまったので、すぐに第二候補のGCFSの見学にも行きました。こちらでもアドミッションオフィスの担当者がにこやかに対応してくれましたが、彼女は韓国人でアクセントが独特な上、早口のせいもあり、何を言っているのかほとんど聞き取れません。妻と二人で冷や汗をかきながら、なんとか話を合わせていると、校長先生が出てきて、子供達は別室に連れていかれました。どうやら、英語力を確認するためにテストをする模様
 私と妻、そして2歳の次女は応接室で校長と話をしました。彼女も韓国人でしたが、ゆっくり丁寧に話してくれたのでなんとか意思疎通は図れます。そこで言われたのは「クラスに空きはあるので、もしも入学を希望するなら歓迎する。ただし、この学校はクリスチャン向けの教育を行っていて、1学年10人未満という小さな学校だから、あなた達が望んでいる学校とはひょっとすると違うかも知れない」ということ。
 1学年10人未満は、確かにちょっと寂しい気もする。でも、子供たちがまったく英語を話せないことを考えると、それくらいの規模の方が、先生の目が行き届いて良いのかもしれない。私はインターに通うなら、ただ英語が話せるようになるだけじゃなく、外国のカルチャーに対しても理解を深めるべきだと考えていたので、クリスチャン向けなのはむしろ好都合かなと思いました。

 30分程すると長女と長男が、それぞれ別の先生に連れられ戻ってきて、先生が子供たちの英語力についてフィードバックをしてくれました。この先生も韓国人で、ご多分に漏れず早口。言っていることが半分も聞き取れませんでしたが、子供達の英語力はあまりないので今のままでは授業についていくのは難しいということを丁寧に説明していくれているのだなというのは、なんとなく分かりました。2人とも英語に関しては、3か月間、公文式の英語をやってABCの歌を歌ったり、「ハイ!アイアム ケン!」とかってやっていたくらいなので「そりゃそうだな」と納得です。校長から「入学をするのであれば学年を落として、長女はG2、長男はK5から始めることになる」と言われました。ただ、この学校ではそれは普通のことで、英語力が付いてくれば飛び級もあるという説明でした。

 その後、学校の中を案内してもらいましたが、壁には子供が描いた絵や作品が展示されていたり、クラスごとのテーマ(スーパーマンとかパイナップルとか)に沿ってデコレーションされていたりして、仲良く楽しくやっていそうな雰囲気でした。運動スペースは、地下のマルチパーポスホールか屋上の広場。YISSのもの凄い設備とは比べるべくもないけれど、少人数であれば、これくらいでも足りると言えば足りるのかなという印象。見学後、「どうするかゆっくり考えて」と言われ、その日は学校を後にしました。

 家に帰ってから家族会議です。子供に聞くと、どちらの学校にも悪い印象は抱かなかったらしく「どっちでもいいよー」とのこと。私と妻は、どちらかというならYISSの方が良いと思うものの、GCFSも思っていたよりは良かったかなと感じていました。また、8月から入学できないリスクや、姉弟で別々の学校になるリスクは避けたいので、そう考えるとTISSは難しくなる。ざっくり両校の特徴を比較すると以下の通りです。        

     YISS        GCFS

料金      高い       30万位安い(安くはない)       
設備      充実            シャビー
生徒数  1クラス20人・複数クラス    1学年5~10人
人種      多様           ほぼ東アジア系
教師     欧米中心          ほぼ韓国人
雰囲気    ハイソサエティ       アットホーム
空き具合  G4はウェイティング     2人とも空きあり
その他    クラブ活動も充実      クリスチャン向け


 ステータスを追い求めるならYISSの一択だけど、英語が話せない子が入った際に気後れするかもしれないなぁ。料金も年間で約60万円の違いは結構大きい。ただ、GCFSは教師がほぼ韓国人で、生徒も数が少ない上にほぼ東アジア人ばかりなのは、せっかくインターに通わすのにどうなんだろうという気持ちもあり、正直、なかなか結論は出ません。
 でも、入学するには日本の小学校の担任ら2人以上から推薦状を取り寄せたり、健康診断を受けたりとやることはたくさんあります。とりあえずGCFSに入学するために必要な書類をそろえながら7月いっぱい様子をみていましたが、YISSの席が確保できたとの連絡はありません。
 そろそろ決めないといけないタイミング。最後は「GCFSでも良い?」と子供達に聞き「いいよ」との返事を聞いた上で、結局は入ってみないと本人にとって良い学校かどうかは分からないし、最悪、転校だってできるのだからと割り切り、8月からGCFSに入学させることを決めました。

 いろいろ悩みつつ、成り行きで物事が進んだ面もありましたが、何はともあれ、やっと学校が決まってホッと一息。こうして、我が家のインターナショナルスクール生活が始まるのでした。


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