“教授”と“キングクリムゾン”

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何かのインタビューで教授こと音楽家の坂本龍一氏はジャズは好きな一方で、キングクリムゾンみたいなプログレッシヴロックが嫌いだとおっしゃっていた。

それはクラシックの肉体性を廃した複雑で奥深さとロックの身体的なリズムやシンプルなエッジの鋭さはもともと相入れないのに、それを深く考えることなく安易に融合した結果、それぞれの良さを殺してしまっているからみたいな理由だったと思う。

(これでいうと、クィーンのボヘミアンラプソディも教授は嫌いなんだろうなあ)

ジャズもヨーロッパ的なメロディと黒人音楽的なリズムの融合音楽だとするなら、一見矛盾しそう。

でも要は組み合わせるにしても、その要素の性質や要素間の相性をきちんと踏まえた上で融合させるのが大切だと教授は言いたかったんだと思う。

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僕はこの話を聞いた時、向き不向きと好き嫌いの話を思い出した。

将来、AIが人を経営する時代が来るという話をよく聞く。

経営とは人を通して問題解決を図るもの(今回はAI従業員のことは考えない)。

とするなら人間をどう捉えるかによって、経営のやり方も変わってくる。

僕の予想ではAIの場合は、人をパズルのピースと捉え、向き不向きで考えて、問題解決のための最適解を導き出すやり方をとるだろうと思う。

そのやり方は上記の教授の音楽に対する考え方に似ている。

人間が経営するより、ドライに要素間の相性の良し悪しやビジネススキルと言った測定しやすい客観的な性質を重視した素直な経営の仕方になるんだと思う。

その方が効率的で結果を出しやすそうだ。

でも、そのやり方は人の好き嫌いの感情や意思といった主観的性質を軽視する可能性が高い。

それではどれだけ給与や待遇がよくても従業員の納得感が得られず、離反される可能性すらある。

いわば業績のいいブラック企業的な経営スタイルで、従業員からは支持を得られにくい。

そこが1人による作詞・作曲と生身の人間に動いてもらう経営の一番の違いだと思う。

教授が嫌いな「キングクリムゾン」的なスタンスが好きな人も世の中には多い。

ではAI時代の経営スタイルはどうなるか。

自分が思うに、AI時代の経営スタイルは組織の基礎である従業員の納得感を得やすい人間の経営者が少なくとも初期段階ではメインをはると思う。

その上で会社の生産性をさらに上げるためにAIが経営コンサル的に経営に携わる形になると考える。

とするならば、今、経営者の自分がすることは、従業員の納得感を得られるための、将来の夢を語る構想力なり人間力の向上だろう。

まあそれが一番難しいのではあるが苦笑。

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